最近何かとCPUスペックが足りない気持ちになることが多くなりました。具体的にはコンパイルとか、コンパイルです。
そして年々劣化の一途をたどるMacBook。反面、着実に進歩を遂げる他メーカー。正直なところ、ハードウェア的なMacBookの優位性はすでにありません。タッチバー(笑)
というわけで、Razerと迷いましたが、海外ではDevelopper Editionなども販売して*1おり、よりLinuxサポートの充実している(ようにおもえた)new XPS 13 2018年モデルを購入。
前もって断っておくと、僕はOSのインストールだの環境のカスタマイズだのは一切やりたくない人間です。が、同時に作業環境に関しては強いこだわりがあるのでカスタマイズ性が高い必要があるのです。
その点、macOSは最初からEmacsっぽいショートカットが使えたり、コマンドキーのコンビネーションが優秀でホームポジションを崩すことなく殆どの作業が行えます。キーボードショートカットのカスタマイズもやりやすく、karabinerなどのサードパーティツールを使えばさらに高度な設定も可能です。
そしてLinuxユーザーは常々カスタマイズの自由さや、環境選択の自由さ、宗教的自由さ、とにかく何かと自由度を強調してWindowsやMacユーザーを見下した言動を取るので、きっとどのデスクトップ環境を使ったとしてもキーボードショートカットくらいは半端ない自由度で設定できるんだろうなーすごいんだろうなーと、そういう期待で心がいっぱいでした(フラグ)。
ハードウェア的なnew XPS 13の感想
めっちゃいいです。
13インチで4Kという過剰スペック
画面きれいすぎてウケる
地味に便利なタッチパネル
通常の作業では使わないんだけど、ソファでだらだら寝転んで作業してるときとか地味に便利。地味だけど。
英字キーボードが選べる
最近、よーーーーやくDellをはじめとしていくつかのメーカーが英字キーボードの販売に対応しはじめました。
宗教論争に加わる気はないですが、基本的に海外メーカーの作るラップトップの日本語キーボードはカスもいいところです。なんで右側があんなに詰まってるんだよ。気持ち良いタッチ感のキーボード
優等生的なうち心地だとおもいます。MacBookのあのパチパチはなんなんですかね。うるさいし、指痛くなるわあんなん
軽い
大体1.3kgくらいですね。こんくらいなら余裕で持ち運べます
かっこいい
背面のDellのロゴはだっさいですが、他はなかなかいけてます。
安い
4K、メモリ16kg、CPU i7の全部盛りにしても20万でした(20%割引クーポン込み)。MacBookで同等のスペックにすると30万になってしまい、しかもCPUは一世代古いです。10万円あれば追加で4K HDRのディスプレイが買えてしまいますね
タッチパッド
いいですね。
MacBook登場以前はどこもおまけ以下のカスみたいなタッチパッドしかつけていませんでしたが、今では遜色のないレベルにまで仕上がっているとおもいます。まぁWindowsにしろLinuxにしろOS側のサポートがダメなんで無意味ですが。
これだけ使い心地よければWSLもあるし、Windowsのままで開発機として使えるんじゃね……?
んなわけない。
起動して最初にうけるのはbloatwareの洗礼。
ウィルスソフト(言葉通りの意味です)ことマカフィー、Dellなんとかサポート、Dellなんとかかんとか、Dellなんとかテクノロジーなどのゴミが大量に立ち上がり、様々な問題を引き起こしてやる気を削いできます。
Dellが入れたゴミ以外にも、Windowsには最初から無駄なものが大量に入ってます。マイクラはいらんやろ。いや、まぁWindowsはゲーム用なんだからマイクラやキャンディクラッシュが最初から入っているのは正しくて、仕事に使おうとしている俺が間違っているのか……?
なにはともあれリカバリードライブの作成です。すでにWindowsを使い続ける気は失せて、Linuxに載せ替えるつもりでしたが念には念を入れたいです。
ですが残念、リカバリードライブの作成に失敗しました。
世の中で言われている方法(問題を引き起こすDellのソフトを止める、USB2.0*2のメモリースティックを使う、Windows Defenderを使う……etc)は一通り試しましたがうまくいきませんでした。ほぼ丸裸にしてもリカバリードライブの作成に失敗する素晴らしいOS。ま、ゲーム用ですからね。リカバリードライブがどうとかは些細な問題なんでしょう。仕事に使うOSじゃないんで、マジで。
あるいはDellがなんかわざとクソをやらかしている(リカバリーUSBなんちゃらを4000円で売りつけようとしているところが怪しい)可能性も捨てきれませんが、もうどうでもいいよ……
さよならWindows、さよなら指紋認証。ようこそLinux
さて、Linuxのインストールです。
デスクトップへのインストールは一昨年くらいにも一度やりましたが、ラップトップはずいぶん久しぶりです。セキュアブートやらDellの一風変わったBIOS画面やらでめちゃくちゃ苦労しましたが割愛します。
ディストリビューションですが、いい加減UbuntuにもうんざりしていたのでArch Linux……を優しくしたらしいManjaro Linuxを試してみることにします。
デスクトップにはメジャーなものを一通り選べるようになっています。以前使っていたXfceと迷いましたが、Xfceは「背後にあるウィンドウをスクロールするという」基本的な動作ができず、また見た目もダサいしカスタマイズがめんどくさかったのでやめます。結局、リーナスも使っていて、HiDPIのサポートも比較的マシらしいということでGNOMEを選びました。
Manjaroファーストインプレッション
ManjaroというかGNOMEですが、GUIがかなりまともになっています。Linuxといえばタイポグラフィがいまいち(特に日本語)な印象がありましたが、Noto Fontsの導入によって全てが改善しています。
またフレームワークにもMaterial Designが取り入れられており、操作感も(ややもっさりではあるものの)悪くありません。タッチパッドもちゃんと認識しています。デフォルトではMacほど賢く動きませんが、そもそもまともに動作するとはおもってなかったので嬉しい驚きです。
さらに感動したのが、HiDPIディスプレイの自動認識です。何も設定しなくても2倍でスケーリングしてしてくれています。
しかし2倍はいけません。これだと1600x900の解像度になってしまい、FullHDのモデルよりも作業スペースが劣化してしまいます。
ようこそ「Linuxの世界」へ……
小数点のスケーリング問題
これがHiDPIディスプレイで小数点のスケーリングを行う方法みたいです。
ちなみにManjaro(GNOME?)が採用しているのはWaylandではなくXorgのようです。
め、めんどくせえ〜〜〜〜〜!! しかもGUI環境ごとに追加の設定も必要じゃねーか!
というわけで保留。
マルチディスプレイ環境でのスケーリング問題
HiDPI の設定は全てのデスクトップに適用されるため HiDPI ではない外部ディスプレイには全てが大きく表示されてしまいます。
なんでや!! Linux使いはラップトップ使わないの????
マウスが画面の全体で使えないという問題が発生することもあります。これは 既知のバグ であり xserver-org のパッチがあります (もしくはパンするという方法もありますが、別の問題が発生する可能性もあります)。
色々と試行錯誤しましたが、最終的にLinuxがクラッシュして強制終了したのでダルくなってぶん投げました。HiDPIサポートは微妙だという噂はきいてましたが、せいぜいちょっと不安定だとかその程度だとおもってロクに調べていませんでした。まさか使い物にならないとは……
もういいよ……どうせラップトップ側とかSlackくらいしか表示させておかないし……
キーバインド設定の自由度クッソ低すぎ問題
これが本当にストレス。
そもそも僕がMacを使ってた理由の何割かはキーボードショートカットがデフォルト状態で賢く、また過不足ない感じで簡単にカスタマイズできるから。そしてカスタマイズをするとホームポジションから動かずにほぼ全ての作業ができるように作られているから。
あとはTerminalとChromeとVimしか使わないのでいつでもLinuxに移行できる……そう考えていた時代がオレにもありました……
Xfceもそうでしたが、Linuxのデスクトップ環境は見た目はMacをパクっているのですが、キーボードショートカットはWIndowsのパクりです。
なのでデフォルト状態だと恐ろしく使いにくいです。特にSuperキー関連は使いもしないクソアプリのホットキーに割り振られているため、うっかり触ると意味不明なメッセンジャーアプリなどが立ち上がりまくったり、画面の解像度が変わったりします。だれがキーボードショートカットでディスプレイの設定を変えるんだよ。
デフォルトキーバインドの絶望的な使いづらさもそうなんですが、GUIからカスタマイズできる項目も非常に貧弱です。そもそも設定だけでいくつアプリがあるんだ。
またLinuxといえば自由ですが、GUIの色々なレイヤーが自由にキーボードを取り合う*3ので、あるアプリでは有効だったキーバインドが他のアプリでは無効になったり、同じアプリ内でも有効だとおもっていたらinputにフォーカスを奪われた瞬間に別の機能で上書きされたりします。自由の自家中毒ですね。
基本的なキーのリマップはxremapという神ツールがあるのでそちらでやればいいのですが、上にも書いたようにアプリのレイヤーや状況によってはうまく動きません。
その際たるものがActivities Overlayとかいう無能機能にSuper keyを奪われてしまいショートカットが使えなくなる問題です。
Activities Overlayとは
WindowsにおけるWinキー単体押しの機能に、MacのMission ControlとSpotlightの機能を足して割らなかったようなブサイクな機能です。
ランチャーとして使って欲しいようなんですが、だいたいWindowsと同じくらいのモッサリ感で起動するのでイライラします。Linux使いは常々Apple系OSのアニメーションをdisる傾向にあるのでもっとシャキシャキ動いてくれることを期待していたんですが、これまたMacのLaunchpadの丸パクリなApplication一覧画面といい、やらんでいいアホもっさりアニメーションでお出迎えされてしまい開いた口がふさがりません。
というか、商用でないにしてもこうも堂々とUIや機能をパクるのって普通にどうかとおもうんですが……
このクソ機能ですが、デフォルトではSuper_Lに割り振られています。Windowsと同じですね。
そして、gnome-tweaksからSuper_Rに割り振ることができます。
無効化は、できません。
そして、上述したxremapの設定や、fcitxのカスタマイズを全て横取りして、無効化します。
Stackoverflowの導きにしたがってgsettingsから直接書き換えればいけますが、gnome-tweaksを開くたびにSuper_Rに戻されてしまいます。:-1:
gnome-tweakはPythonで書かれたツールです。なのでパッチを当てて、GUIからdisableできるようにしました。
動きました。すごい! Pythonさいこう!
しかし、サスペンドから復帰するたびに元に戻ってしまいます。
たぶん、ロックダウンとか、gnome-settings-daemonとか、色々あるんだろうけど…ネイルわれちゃって…ぃたいょ…
なんでSuperキーにひっつけられたゴミ機能を無効化するためだけにこんなクソ苦労しないといけないんでしょうか。正直ここで試行錯誤している時間を時給換算したらもう一台くらいMacBook買えたんじゃねえ???
もうめんどくさいしさ、ラップトップ開くたびにさ、手でgsettings書き換えればいんじゃない? ね?
Slackで日本語入力ができない
以前Xbuntuを使っていたときはそもそもIMEを入れなかったので気がつきませんでしたが、Fcitxがクッッッソ不安定です。GNOMEとの相性なんでしょうか。
色々と試しましたが、どうしてもSlack上で日本語入力ができません。
もういいよ……ChromeのタブでSlack開くからもういいよ……
スリープ中にバッテリー食い過ぎ問題、そもそもバッテリー食い過ぎだよ問題
Manjaroは最初からtlpが稼働しているのでオッケーかとおもったらそんなことはなかったよ……。
ていうかtlpのブラックボックスなやり方、Linuxっぽくなくて気に食わない。"without the need to understand every technical detail" じゃないよ。
スリープ中のバッテリー消費もBIOSの設定いじったりしたけど結局解決に至らず。満タンで寝ても次の日みると30%以上減ってたりする。うちのおんぼろMacBookでももうちょっと頑張るぞオイ。
なんか動いてるサービスとか地道に調べて消していかないとだめっぽい。Minimalisticって言うからArch系列を選んだのになんかWindowsとやってること変わらんな……
ホームポジション教徒にとってLinux GUIは安住の地ではない
仕方ないね。
HiDPIサポートはまぁ色々と不利だし仕方ないかとおもいます。
でも特に作業効率にダイレクトにかかわるキーボードショートカットがクソゴミ貧弱状態なのは本当にダメ。デフォルト設定があれほど馬鹿にしてるWindowsを劣化させた悲しいアホな上、標準で提供されているカスタマイズ手段も貧弱です。
「OSSなのでソースコードが公開」されているのはまぁその通りなんだけど、「両端のSuperキーの片方押しでIMEオンオフを切り替えてー、Super+C,Vとかでコピーアンドペーストをしたい」っていう本当にささやかなカスタマイズをしたいだけなのに、なぜ現状の混沌としたLinux GUI事情を紐解いて各所にパッチ送りつけないといけないんでしょう。ハイコンテクストなのはWebフロントだけで十分です。
「Apple信者」なんてフレーズがありますが、開発者の多くがMacBookを使っているのはただ単に消極的にベターなチョイスだからです。
そして今回人柱になって感じたのは、もうしばらくはベターなチョイスなんだろうなということです。
僕はOSそのものには特にこだわりがなくて、自宅では普通にWindows使うし便利ならなんでもいいじゃんという考え方なんだけども、とにかく仕事道具として使う場合はホームポジションを崩すことなくほとんどの作業ができるという点にエクストリームこだわっていて、今のところLinuxはそれを満たせませんでしたという話です。
こんな人なら大丈夫なんじゃないかな
逆にMacを使っていてもCocoaキーバインドに依存していない人、Karabinerを使っていない人、ショートカットに何のこだわりもない人。Mac特有のアプリに何も依存していない人。シングルディスプレイ派の人。バッテリーがモリモリ減っても問題ないひと。
こういう人は問題なく移住できるとおもいます。たぶん。
消耗。
ちなみにどういうカスタマイズをしたかとかは手元のメモで随時まとめているので、今度公開します。もしかしたら3ヶ月後くらいには安定してるかもネ。
以上です。