久しぶり。しっきーです。最近は仕事以外の時間はずっとDAWをいじって作曲してました。
今年に入ってから音楽制作ソフト一式をインストールして、途中でやる気がなくなったりもしたけどなんとか作曲して投稿できるくらいにはなった。なんだかんだ5ヶ月くらいはやってたと思う。
自分は音楽の経験が一切なく、そこからどうやって曲作れるようになったかを手短に書いていく。興味のある人は見ていってくれ。
作った曲
実はさっきYouTubeとニコニコのアカウントを作って投稿した。
ニコニコは下記リンクから
曇り空/しっきー【初音ミクオリジナル曲】 - ニコニコ動画
曲作ってるって言ったら映画などを撮ってる友達(名前は出したくないらしい)がMVを作ってくれたのでそれを使ってる。感謝!
以下、どうやって曲を作ったかと、その感想など。
作曲に必要な機材
作曲の最初のハードルは製作環境だ。自分はすべての作業をPC上で完結させてたけど、それでもそこそこお金がかかる。
買ったのは
- studio one3 professional
- 初音ミク V4X
- Ilya Efimov『NYLON STRUM』(ギター音源)
- MIDIキーボード
- 高いヘッドホン
で、合計で7万くらい。
DAWはいくつか種類があって、自分は「Studio one」を買った。
DAW(ダウ)というのは、「Digital Audio Workstation」のことで、ようは楽曲制作の総合開発環境。パソコンで音楽やる上では必須。3万円以上するけど最初からたくさん音源が入ってるので、これさえあれば作曲を始めることができる。お試しで無料ダウンロードできるDAWもいくつかあるが最後まで作りたいなら課金するしかない。
Ilya Efimovの『NYLON STRUM』というのは無知ゆえに買ってしまったマイナーなギター音源。DAW付属の無課金音源で曲を作ってたんだけど、ギターだけどうしてもうまくいかなかったので課金。思った通りの音はでなかったけどもったいないから使ってる。うまく使えるかどうかわからない音源の一つ一つが1万円以上もするので、お金ないと音楽はつらい。
MIDIキーボードは入力装置。これもほぼ必須。自分が使ってるのはこれ↓
KORG USB MIDI キーボード microKEY2-37 マイクロキー2 37鍵
- 出版社/メーカー: KORG
- 発売日: 2015/11/21
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高いヘッドホンもあったほうがいいらしい。自分が使ってるのはこれ↓(普通のイヤホンジャックでは使えないので変換アダプターが必要)
SONY 密閉型スタジオモニターヘッドホン MDR-CD900ST
- 出版社/メーカー: ソニー(SONY)
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あとは、DTMに必須の機材として「オーディオインターフェイス」がよく挙げられる。あったほうがいいのはわかるけど自分は持ってない。
環境構築
地味にハードルが高い。自分でやっててもけっこう詰まったので、パソコン苦手な人は大変かもしれない。
基本的にはプログラミングと同じで、勘とGoogleを頼りにしながら問題を解決していく。ただ、音楽界隈は知見を共有する文化がプログラマーほどは根付いていないので、ググっても解決策がすぐには見つからないことが多い。
ちなみに、自分が使っている「Studio one」というDAWは比較的あたらしいやつで、良いソフトだと思うけどネット上に情報が少ないという欠点がある。もし過去の自分にDAWを薦めるとしたらユーザーが多い「CUBASE」か「Logic」が良いと言う。
曲の作り方
自分の場合は、頭の中にある曲を何度も繰り返して固めてから、必要なことを調べながら少しずつ実装していく、というやり方でやった。
頭の中で作詞作曲する→メロディを実装→コードを追加→ドラムやベースなどを追加→ミキシング
といった感じ。
これはあまり賢いやり方ではないと感じていて、行き当たりばったりでごちゃごちゃしてるし、リズム感のない曲になってしまう。
次の曲はある程度の雰囲気が決まったら、ドラムやシンセサイザーをいじってノリやグルーブ感を研究するところからやりたいと思ってる。ただ右も左もわからないうちはこういう作り方をするしかなかった気もする。
音楽理論
音楽を始めようと思って調べると、「音楽理論」というやつが目につくと思う。まったく知識がなく情報収集をしている段階では、この音楽理論とやらが作曲のほとんどを占めるんだろうな、と思っていたのだけど、そんなに大したものではなかった。小学生でも楽器やってれば感覚的に理解してることだと思うし、適当なバンドマンでも多分知ってる。卓上で理解しようとするから逆に難しく感じるのではないか。
もちろんまともにやろうとすれば難しいだろうし、理論をきちっとやってこそできる発想もあるのだろうけど、ポップスの曲を作り始められる最低限のハードルは低い。初歩的なキーとスケールとコードの概念と、コードにはTとDとSがあって並べやすい順番がある、みたいなことを知ってれば作曲にとりかかれる。
歌詞とメロディとコードを作る、いわゆる「作詞作曲」は、学習コストはほとんどない。もちろん熟達するほど音楽制作におけるここの比重が大きくなるのだろうけど、音楽初心者からすればこの後の「編曲」という作業や、あるいはその前段階の「音作り」のほうが勉強しないといけないことがたくさんある。
編曲(ミキシング)
「曲できたぞ!」と思って作った曲をiTunesに入れて聞いてみたら、他のアーティストの曲と比べて音が明らかに小さい。その時は設定を間違えたと思っていたのだが、調べてみると「音圧を上げる」という作業が必要だということがわかる。
デジタル音源は一定の音量を超えると「音割れ」してしまうのだが、音割れにならないギリギリまで音の波形を大きくすると、大きくて迫力のある音に聴こえる。ほとんどのプロのアーティストの曲は音圧がギリギリまで高くなってる。
最近は音圧ギリギリまで上げる風潮ってよくないよねという声も挙がっていて、YouTubeやSportifyなんかには曲の音圧によって自動で音量を調整してくれる機能も実装されているんだけど、それでも音圧があるほうが良い音に聞こえやすいのは否めず、基本的にミキシングの段階で音圧を上げる作業は必要になる。
自分はこの段階で一度心が折れてしばらく作曲を放置してしまった。
理屈としてはそれほど難しくない(らしい)。
- 各楽器を適切な音量と配置にする
- イコライザーで不要な帯域をカット
- コンプレッサーで波形を均一にする
という作業をやって綺麗に整理できれば、波形を膨らませて音圧出しても変な音になりにくいというざっくりとした理解。あとはディレイやリバーブなどのエフェクトを加えて空間を演出したりなどもする。
理屈は簡単だけど実際に「いい感じ」にするのは難しく、変化がわかりくいので作業が楽しくない。個別の楽器をいい感じに加工できても、総合的にみればバランスが悪くなってたりするので、とにかくよくわからないまま細かい調整を重ねるつらい作業が続く。
そして、そもそもミックスの問題ではなく、作詞作曲の時点でクソとか、もともとの音源がしょぼいのでミックスしてもよくならないとか、色んな要因が絡まってダサい音になってたりする。ミックスしたり楽器の構成をいじりなおすという作業をしばらく続けていたのだけど、どうしても良い音にはならなかった。
投稿した曲だが、結局面倒くさくなり、各楽器を無難にイコライズした後、マスター音源にリミッター(マキシマイザー)を雑に二段がけしている。音圧ギリギリまで詰めると音が歪んでしまうのでほどほどのところで妥協。
まだまだ勉強が必要だが、次の曲作るときはミキシングの過程も最初からある程度想定しながらやって、もう少しマシな音圧にしたい。
「音作り」が難しい!
この感覚は音楽を始めるまではなかったものだけど、YouTubeなどでプロの音源を聴くと「めっちゃ音良い!」と感じる。くだらないポップスでも音のクオリティはすごい。
作曲の作業で個人的に一番難しかったのは、音を作る、音を組み合わせていい感じにする、というところ。作詞作曲、楽器の編成、音源そのもののクオリティ、ミキシングの工程などそれぞれあって、その組み合わせで音が決まるので、良い音というのは一朝一夕で作れるものではないのかもしれない。いっそのこと生の楽器を弾けるようになったほうが早いのではないかという気さえしてくる。
自分の頭の中ではめっちゃいい曲なんだけど、実装できたのはノリもグルーブもない平坦で魅力に乏しい感じの曲。脳内で超越的なものを措定してしまっているのか、自分の技術が決定的に足りてないのかもよくわからん。
課金すれば音源のショボさは解決するかもしれないという期待はちょっとある。「NATIVE INSTRUMENTS」の音源や「WAVES」のプラグインを使えば音の質は向上しそう。有名な人はみんな使ってるし。ただ、本当に効果があるのかはわからない上に、どれも1つ1万円以上する。音楽界隈の金銭感覚は他ジャンルよりも桁が一つ多い。なんでこんなに高いの?
あと、波形を組み合わせて音を一から作るシンセサイザーというものがあって、蕎麦屋にとっての天ぷらくらい、DTMerにとってシンセサイザーは重要なものらしい。シンセが使えれば、自分の好みの音を自由に作ることができる。リードもベースもコードもシンセサイザーで作れれば音源に課金する必要はなくなるのではないか。というわけで次の課金はシンセサイザーだ!
音楽やってみての感想
曲作って投稿するまで特に難しいことは何もやってない。ただ、一つ一つは常識的に考えればわかるしググったらすぐに解決することでも、それが絡まりあってる状況は巨大な学習コストの総体なので、突破するのは結局のところけっこう大変だと思う。教科書的なインプットや論理思考よりも、勘とスピードが頼りになる。
作業中の感覚は、プログラミングとかなり似ている。わからないことをググったり本で調べたりして少しずつ実装していく。ただ、プログラミングは正解かどうかがわかりやすいのに対して、音楽の場合はそれが良いか悪いかを自分の耳で聴いて判断する必要がある。だから、当たり前かもしれないが「聴く」ことが音楽では一番大事。音楽理論を学ぶのも「聴く」ため。初歩的な音楽理論がわかれば、協和音か不協和な音かを判断できるようになる。ただ、理論どおりに作れば安全だが、理論的上は不協和だったとしても曲の流れ次第ではハマる音になる。だから最終的には「良い感じに聴こえるかどうか」が全て。
音楽制作の作業は、同じフレーズを何度もループ再生しながら良い音を探すのだけど、ずっとやってると「頭おかしなるで」ってなる。何度も再生しながら音の是非を判断する作業はけっこう精神が削られる。音楽ってノリが良くて女子にモテるというイメージがあるけど、実際は執拗に同じことを繰り返す神経質な作業が多い。
一曲最後まで作ってみて思うのは、他の音楽を聞いたときに感じることが以前とは全然違う。何の楽器使ってるかわかるし、どこにこだわってるかとか、ここが面白いとか、そういう色んなことを感じるようになる。「世界が違う」ってレベルの情報量の差なので、これまでまったくやってこなかったジャンルに挑戦することには価値があるなってのが素直な感想。
投稿した曲について
正直気に入っていない。聴けば聴くほど嫌いになっていきそう。ただ、音楽に手を出し始めた段階で、何かしらの形で世に出すというのは決めていた。わかってる人はわかってることだけど、「作って公開する」というのは何をやる上でも決定的に重要。次はもっと良い曲が作れると思う。
音楽を始めようと思った深い理由とかははないのだけど、仮に趣味でやろうとした場合でも、「20代後半から音楽に手をつけるとか遅せーよ、やって何になるの?」と最初は自分でも思ってしまったので怖いね。実際には全然やってよかったと思うし、もっと他の色んなことにチャレンジして学習コストをごりごり噛み砕いていきたい。
音楽を長くやるつもりも現状はないけど、せっかく勉強したので自分が納得できる曲を作れるまでは作曲を続けていきたい。これからしばらくはブログではなく作曲をメインにやっていくつもり。ある程度いい曲が作れるようになったらもっと具体的な学習の仕方などもブログで書いて共有していきたいね。
もしブログ見ている音楽クラスタの方がいたらこれから仲良くしてください。ミックスや音作りなどわからないことばかりなので、Twitterなどで積極的に情報交換していきたいです!