自在コラム

⇒ 日常で観察したことや環境問題、金沢大学での見聞、マスメディアとインターネットについての考察を紹介する宇野文夫のコラム

★大阪地震、メディアの第一報

2018年06月18日 | ⇒ニュース走査

    あさ午前8時ごろだ。足元がグラグラと揺れた。間もなくNHKで地震速報が流れた。「大阪北部で震度6弱、M5.9」。「やっぱり来たか」と。先日6月7日に土木学会が、今後30年以内に70-80%の確立で発生するとされる「東海トラフ地震」後の経済被害は最悪の場合、1240兆円とする推計を公表してニュースになったばかり。発表した土木学会長が「日本が最貧国の一つになりかねない」と迷言を吐いて反響を呼んだ。足元がグラグラと揺れた金沢は震度2だった。

    テレビメディアは今回の地震でどのような災害報道をするのか、各局をザッピングしながら観察した。災害報道ではまず全体把握をしなけらば概要が分からない。つまり、ヘリコプターによる映像と中継をどこのテレビ局が流すのか。一番早かったのは、やはりNHKだった。8時25分、大阪市北区中之島周辺のビル街や橋、道路などの空撮映像を中継に入れた。途中、中継する記者の音声は何度か途切れたが、崩れたビルや道路もなく、テレビを見ていた全国の視聴者は少し安堵感を覚えたのではないだろうか。

    地震の発生とほぼ同時に飛んで、大阪のど真ん中の上空から中継を入れるのにわずか25分。感じ入った記者のコメントがあった。「私は朝7時から伊丹空港でスタンバイしていましたが…」。朝7時と言えば、誰も地震を想定していない。つまり、NHKは常に震災を想定していつでもヘリを飛ばせるように記者、記者、操縦士をスタンバイしているのだ。NHKは災害報道でダントツかもしれない。受信料を徴収しているので、災害報道にかけるコストが違うのだ。ちなみに民放でヘリ中継の映像を見たのは8時49分、テレビ朝日のモーニングショーで、茨木市上空からの映像だった。

    リアルな緊張した場面もあった。8時58分、NHKのヘリからの中継映像は高槻市の学校のグラウンドに児童・生徒たちが集まっている様子だった。まもなくして、今度は地上からの映像で箕面市の学校のグラウンドに集まっている児童たちをリポートする中継映像に切り替わった。すると、映像に男性が割り込んできた。音声はよく聞き取れなかったが、「子どもたちを撮影しないでください」と。すると記者が「あなたは学校の教員なんですか」と。すると、男性は「そうです。子たちは動揺しているんです」と。確かに、映像では先生が話しているのに、何人かの子どもたちはカメラが気になるのかこちらを向いている。

    学校側の「抗議」を受けて、NHKは素早く画面をスタジオに切り替えた。グラウンドでの映像は誰か個人を特定するようなアップの映像ではなく、取材する側からすれば学校側が過剰に反応していると思ったかもしれない。被災地の現場では、取材する側もされる側も極度に緊張感が高まっていて、どんなハプニングに展開するか予想できない。中継からそんな様子が見て取れた。

⇒18日(月)午前・金沢の天気   くもり    

    

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