JALとANA、「中国台湾」と表記=中国大陸・香港向けサイト、外交部が抗議

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(台北 19日 中央社)外交部(外務省)は18日、日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)が公式サイトの一部で「台湾」とされていた表記を「中国台湾」に変更したとして両社に台北駐日経済文化代表処(大使館に相当)を通じて抗議し、修正を求めたと明らかにした。両社のサイト上では19日現在、中国大陸向けの簡体字ページと香港向けの繁体字ページで出発地などを検索すると「中国台湾」の表記が確認できる。台湾向けの繁体字ページや日本語のページ、英語のページなどでは従来通り「台湾」とされている。

今年4月末、中国大陸の民用航空局から海外の航空会社44社に自社サイトなどで台湾を「国」として扱わないよう要求する通達があったとされ、これまでエア・カナダをはじめ、複数の航空会社が台湾に関する表記の変更を行っている。

サイト上の表記変更について、両社は中央社のメール取材に、利用者にとってわかりやすい表記としたと説明。また、台湾向けのページや日本語などでの表記を今後変更する可能性があるかどうかについては、「変更の必要があれば、検討していく」(JAL)としている。

外交部の李憲章報道官は、同部はこの件について非常に高い関心を寄せていると中央社の取材に語った。中国大陸当局による圧力は中華民国が独立主権国家であるという事実を変えられないとし、世界各国の政府や企業に対し中国大陸の無理な要求に応じないよう呼び掛けた。

19日午前の同部定例記者会見では、李報道官は日本の航空会社2社の対応について「非常に不満だ」と表明。言語や地域によって異なる表記をとった善意には感謝するとしながらも、抗議を続けていく方針を示した。

菅義偉官房長官は19日午前の記者会見で、この件における日本政府としての対応を記者から問われると、「政府当局が民間企業の活動に対して強制力を持って特定の政治的立場に基づいた措置をとることを要求するのは好ましくないと考える」との立場を示した。この観点に基づき、中国大陸側に外交ルートを通じて日本側の関心を表明したという。

(顧セン、陳葦庭、黄名璽、楊明珠/編集:楊千慧)