政府が6月12日、文部科学省が毎年発行している『科学技術白書』の2018年版を閣議決定した。朝日新聞が報じたところによると、「科学技術について日本の基盤的な力が急激に弱まってきている」とし、引用数が多く影響力の大きい学術論文数の減少などを指摘しているという。
白書によると、中国やアメリカなどは論文数が増加傾向にあるのに対し、日本の論文数は、2004年の6万8000本をピークに、2015年は6万2000本と、減少の一途をたどる。ちなみに、主要国で論文数が減少しているのは日本のみとのこと。
データを見るに、たしかに日本の科学技術が弱まってきていると取ることもできるが、Twitterでは白書のこの指摘について、
“「力が急激に弱まった」のは、普通に考えれば予算を減らして余計な仕事を増やしたからなのだと思う”
“「躾のために食事を与えなかったら衰弱死しました」的な趣を感じる”
“「首を締めたら動かなくなった」並みのコメント”
と、政府が科学技術研究への支出を減らし続けた結果であり、当たり前すぎるという批判が殺到。この他にも、
“自分で日本の学問を衰退させる原因を作っておきながら、他人事のように「科学技術について日本の基盤的な力が急激に弱まってきているとする」科学技術白書を閣議決定”
“財政支出を減らしたら経済弱まった。
氷河期世代いじめたら子供が減った。
科研費減らしたら科学力が弱まった。←New!!
・・・日本の偉い人達って、すごい馬鹿なんじゃないかな”
“この間、大学の教員をさんざんしばき倒し、正規を非正規に置き換え、予算を削減してきたわけで、当たり前だ。今、この国は学術の何たるかの分からない馬鹿者によって統治されている”
“「何もしてないのにパソコンが壊れた」みたいなやつ”
と自らが支出を減らしておきながら、まるで他人事のような見解を出したことへの批判も多い。
さらに、6月14日、日刊工業新聞が「社説/科学技術白書 若者に挑戦する意識を植え付けよう」というタイトルの社説を掲載。結びの一文に「若者に現状に甘んじることなく、研究に限らず、何事にも世界にチャレンジする意識を植え付けることが重要ではないだろうか」と記し、若者のやる気のなさに転嫁するような内容だったため、
“これを「精神論」と呼びます。最も自然科学的ではないものです”
“「精神論ですべてを解決しようとする馬鹿」の見本”
“「大和魂があれば竹槍でB29を撃ち落とせる」的な趣を感じる”
“会社に守られて記事書いてる人にそんなこといわれても何の説得力もない”
“チャレンジする日本の若手がガンガン海外に流出してる事実をどう捉えているのだろうか。研究資金が豊富云々以前に薄給&不安定なポストってのがあると思うのだけど”
とこちらも多方面から批判が殺到している。
朝日新聞によると、海外の研究者と共同で書いた論文ほど注目を集めやすいが、日本の研究者は海外との交流が減っており、海外へ派遣される研究者の数は減少、また外国人研究者の日本への受け入れは横ばいだという。
白書は、政府に対し研究への十分な投資や若手研究者が腰をすえて研究に取り組める「環境の整備」などを求めたというが、はたして投資が増えることはあるのだろうか。
(飛鳥 進)
■関連リンク
・日本の科学技術「力が急激に弱まった」 白書を閣議決定
https://www.asahi.com/articles/ASL66539WL66ULBJ005.html
・社説/科学技術白書 若者に挑戦する意識を植え付けよう
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00477378