チームラボで作品制作に関わって2年経ちました

メンタル面と炎上とを考慮して、いつ書くべきか、いっそ書かずかとも思ったのですが、気持ちが動く間に筆を進めていました。 お蔵入りするのも何ですし、先日嬉しいフィードバックもあったので、期を見計らって公開しています(とは言え、ヒヨって中身はかなり削った)。 1 年目の記事は「チームラボで作品制作に関わって1年経ちました」にて。

自分の備忘録的に、あるいはこれを見つけて読むほどにチームラボについて興味を持つ方を想定して書いているので、非常に文章量が多いです。 まずは最近担当した作品について、次に思うことなど書いています。

このコンテンツには半ば宣伝的な内容が含まれていますが、完全に自由意思で書かれています。また正確さを欠く内容もあるかと思います。 特別の明記・名言がない限り、別所を含む、私個人のあらゆる発言やそれに準ずるものは、私の所属する一切の団体やそれに準ずるものに関せず、私個人の見解や思想に依るものです。 もちろん同じく制作に関わる人たちの総意でもありません。要するに方々から怒られたら消します。

2 年目に関わった作品

1 年目と 2 年目 (3 年目) と横断的に関わった作品もありますが、前回記事以降から関わった作品について書いてみようと思います。

フランス・お台場 / Borderless

時系列前後するのですが、間もなくリリース & 最近話題になっているので、先にこちらの話を書こうかと思います。 昨年のロンドンに引き続き、お台場とフランスの大規模会場で「境界のない群蝶(儚い命)」の担当をしています。

色や大きさ、形の違う蝶々が人々から生まれ、集い、あらゆる作品(ときにはモニタ)を横断し、 ときに新しい演出を作り出す、しかしひとたび触れれば死んでしまう、という作品です(色んな意味で境界がない)。

作った人間のエゴ話をすると、蝶には人間味を与えたくて、個体差がついています(CG で良くやるやつですが)。 脚が遅かったり速かったり、群れやすかったり孤独になりやすかったりする蝶がいます。

遅い個体は群れから離されてゆき、そしてまた後から飛んでくる他の蝶と群れたり、 速い個体は速い個体同士で固まりやすく、しかし一度離れれば一気に別の集団を作り始め、 孤独な個体は上手く群れられず、それぞれの個体はひっついては離れを繰り返します。

蝶は是非に触って (ほどほどに!) 死なせて見てほしいと思います。 死なせてしまうことで、幼児期の無自覚な残虐性とかを思い返したり、追体験してもらえると嬉しいです。 この辺りは猪子さんの言う「自然で遊んでた頃の体験を~」というコンセプトを上手く取り込めてるような気もします。

リアルな蝶を見かけるたびに死なせるなんてことはしないのに、デジタルだと平気で死なせてしまう。 そして、基本的に人が干渉しないと蝶は生まれないです。つまり、もしかしたらあなたの友人・恋人・お子さんから生まれた蝶かもしれない。 そういう見方をしても面白いかもなぁと。

どこの展示に出してもそうだったんですが、結構みなさん喜び勇んでバシバシ叩いて死なせます。 なので、訪れたところで蝶が見れない、1 匹もいないなんてことは全然あり得ます。

まだまだ裏側の仕様盛り盛りで、細かいことはもう割愛しますが、あとは他作品との連動がどうなってるのか見て貰えればなぁと。 例えばグラフィティネイチャーの蝶が 4F から飛んできて 3F の群蝶に紛れ込んだりもするので、発見したらそっと見守ってあげてください。

基本的に他作品とセットになる群蝶はまず単体で紹介されることがなく、見かけ地味で(いて当たり前になりつつあって) そのために感想を見かける機会も少ないのですが、先日たまたまTVに映して頂いて「残酷だなぁ」というコメントをお見かけしました。 そう捉えてくれる人が出て来てくれることが嬉しい。たまに人間臭いというコメントをもらうこともあります。嬉しい。

佐賀屋「MoonFlower/月花」

色々あってサポートに入り、途中で自分にリードが変わった作品です。 お皿を機会学習を用いてセンシングし、位置情報や形状を基にテーブル上と周囲の演出を変化してゆきます。

2 年目の多くの時間をこの作品で過ごしていました。何せ数が多い。コースの数 * 12 か月分、 ほとんど毎月演出が変化していくので、多分 1 コンテンツの情報量で言えばラボ過去最大級と思います 自分の担当は全部じゃないけど主に花で、しかし花の演出の多いこと。

当初複数人で制作にあたり、途中で 2 人になったり、4 人に増えたり、リードを引き継ぎ、 リソースが変容しつつ、しかも毎月リリースがあるという、メンタル的にも体力的にもハードな現場でした。

何度かトラブルがあり、お店の方には大変ご負担をかけたこともありますが、サービスの方の数々のサポートや、オーナーの懐の広さに大変救われました。 一人残って対応していたとき、オーナーが出してくださった夜食は最高に沁みた、そうでなくても美味しいですが。

1 年目にも書きましたが、クライアントの方々に本当に恵まれています。 新しいことにチャレンジしようとすると、どうしてもトラブルや課題が後出しで出てきます。 我々がそれらを解決することが求められるのは勿論ですが、クライアントの方々がそこに理解を示して頂けることは本当にありがたいです。

オーナーもシェフも良い体験を提供するためにこだわりを持ってコミュニケーションを取ってくださり、 「演出のために」器に拘り、料理に拘りしています。特に初夏期間にシェフが作ってくださった稚鮎の天ぷらとお皿、演出の連動感が素晴らしく、 まさに皿の上のアユが川に生れ出たように見えて、「してやられた」感が凄かったです。なお個人的には演出は夏~秋がお気に入り。

※お店で提供されるコースメニューは時期や食材の調達可不可によって都度変わっています。

(私からすると) 少々値段は張りますが、興味を持っていただけたときは、何かの記念の日や特別な人と体験して頂けると。 引きで見るのと席に座ってみるのとで全然体験が違って、引きで見ると単調に見えますが、 食事を邪魔しない程度に絵をうるさくしない様にしてたり、座った高さで見栄え良くなるようになっていたり、 でもシーンの切り替わり時には、演出的に派手に散らしたりなんてことを当時考えていた記憶があります。

よくあるコメントで「川のシーンでは青色が出て食欲減衰しないの?」というものを見かけますが、 スポットライトの色を調整するなり、料理の方でも工夫してくださっていています。 もちろん個人差もあるでしょうが、その辺のはきちんと気にかけていますし、気にかけてくださっています。

「X」

まだ情報解禁が許されていないのですが、フランスなみに大きな作品に関わっています。こちらは情報解禁後に追記しようかと思います。 凡たる自分の人生でこれより上と思えるものを作れることってあるのかなぁとぼんやり思ってます。

セントレア空港お絵かき飛行機

この夏セントレア空港でオープンするチームラボの演出の 1 つに「お絵かき飛行機」があります。 フルに参加しているわけではなく、コンテンツ展示の検証までの開発と、演出についての相談役として参加させていただいています。

こちらについても出ている情報以上に口外できないのですが、それなりに大きな作品となりそうで、解禁後に追記しようかなと思います。 そもそも空港全体にいくつもコンテンツがあるって、フランスに負けないくらい規模が大きいですね。

プロトタイピング 3 件

BlackWave の迷路

他に別作品のプロトタイピングが 3 件ありました。例えばある作品を今ある別の展示会場で展示したり検証できるようなシステムを組んだりしていました。 内 1 件がめでたく成就して、堂島リバーフォーラムで波の迷路として展示されます。

あとは導入のお手伝いがチラホラとかです。

ラボ展・ラボ作品・批評について

この項目の多くについては「チームラボのコンセプトとか貢献とかを考える」で語っているのですが、これを機に改めて文字にしようかなと思い書いています。

ラボ展にはこれまで展示してきた色んなコンテンツが収められていて、ある種の「生きるラボ図録」のような形式になっています。 そこに「Borderless」というコンセプト・テーマを以て、全体を上手くまとめられていったのかなぁと個人的にはそんなことを思っています。 (本来のコンセプトや、中心人物たる猪子さんの思想は公式なり各種情報サイトでご確認ください)

どうか展示会場の混雑時などは、少しのお気遣いを以って、安全に観覧していただきたければ幸いです。 我々が可能な範囲で安全面に留意することはもちろんですが、館内暗い場所がありますし、コンセプトの下、著しく厳しいルールはありません。 それが故に、観覧していただける皆さま間で、少しずつのお気遣いが頂きたく、またそうすることでより良い体験になるかと思います。 作品は人が干渉して変化してゆきますし、なにより喧嘩とか怪我とかでつまらなくなったら勿体ないですね。

繰り返し展示をする価値

ラボ展に限らずですが、「また同じようなことばかりしている」という批判(批評?)を見かけることがあります。 これについては、個人的にはプラスの要素も多くあると思っています。

繰り返し各所で展示することは「広くデジタルコンテンツ、技術、(真偽はともかくとして)アートに触れる機会を設ける」ことに貢献していると思いますし、 展示する側としても、ブラッシュアップの機会、作品の発展形を探る良い機会になっています。

※都度ブラッシュアップできる、展示場所によって変化できるのはデジタルの利点ですね、 逆に一意に品質を保つのも技術(というか合理性)が求められますが、継承しながら作り上げる方法もエンジニアが多いチームの 1 つの作り方だと思います。

もちろん新しいものを作り出していくことも必要だし、なんなら制作する側の人達の多くがそれを望んでい(るように見え)ます。 ラボ展では大規模化することにより体験がまた少し変わること、あるいは「今の体制やこれまでのコンテンツでやれることの程度」が見えてきたこともあり、 今後、チームラボは新しい切り口を求めていく必要があるのでしょう、きっと。

繰り返し展示することに、収益的な目的ももちろんあるでしょう。クライアントを介さない自由な作品作り(あるいは実験)をするためには収益を得る必要があり、 新しいことに挑戦するためには資本的体力は絶対に必要です。その辺りは私は知る由もないのですけれども。

※もちろんクライアントを介したとして、すり合わせはあれど、ラボが自由に作らせてもらっていない、なんてこともないと思いますが。

ひとまずもし今まで見た作品をラボ展で見て頂けるときには、規模拡大したことによってどう体験なり印象なりが変わったのかとか、 色んな作品が Borderless でどう繋がってるのかとか、どっかしらブラッシュアップされたのを発見したりとか、 そういうところを探して頂けると、楽しめるんじゃないかなぁと思います。

批評・コンセプトについて

たかだか 2 年目の人間で、ろくにアート(美術)史を学んだことがあるわけではないことを予めご了承ください(したがって内容はペラい)。 どちらかと言えばエンジニアというかテクニカル寄りという認識でいますし(もちろん演出は作るし、思うところがあって手を動かすが)、 「アート」という言葉を大事にしている方たちがいることは十分に承知した上でこれを示しています。 異なる視点の人間から見た 1 つの意見としていただけると幸いです。

見る人が沢山いるとは思えないけど、フワフワぼんやりして整理されてないし、この項目色んな人から怒られそうだ。

※「批評」とは次の通りらしいです。> 事物の善悪・優劣・是非などについて考え,評価すること。「文芸-」 「作品を-する」「三省堂 大辞林」より引用

まず 1 つに、チームラボは以前から「アート」という文脈でコンテンツを作り、売りに出しています。 したがって「最近になってアートの文脈を出しはじめたのはおかしい」という形の批判は見当違いかなぁと思います。 歴史的経緯、文脈を重要視するのであれば、ラボの作品(ひいては類似する展示形態をしている作品)を批評するにあたっても、過去の経緯を遡るのがフェアかなと。

2 つ目に、アートであるかどうか、どう解釈し、定義していくべきなのかは、自分には良く分からないです。 ただ良く分からないが、「(※形が漫画や音楽など特定のジャンルに振り分けられないもので)何かしらのコンセプトや主張したい、 表現したいものを以って作られたものであっても、それはアートとは捕らえられないことがある」ことだけ理解しました。

ひとまず細かい教育的な分野でのアートの定義については専門とする方々にお任せするとして、 時折、コンセプトなり主張なりが、無視されているか、忘れさられているようなコメント(批評?)があるのは、少し勿体ないなぁと思うことはあります。

情報量や作品の表に出てくる程度はともかくとして、作品ごとにコンセプトは設けられていて、 WEB でも公開されていたり、猪子さん本人が語っている記事が公開されていることもあります(猪子さんのトークは結構繰り返し同じ内容だったりする)。

名だたる作家の方たちの経緯、背景を知ってから(あるいは後で調べたりする)展示会を見に行く・批評するように、 ラボの作品を見に行く・批評するときにも、これまでの経緯や背景を考慮して貰えると見方が変わることはあると思います(作家さんの背景知っていた方が面白いことよくありますね)。 なので、それを知ってもらえないままの批評になるのは少し勿体ないなってなることはあります。

※コンセプトを踏まえず、前例や社会的影響力、絶対的価値を基に批評するというのも、あるのでしょうけど。

※もっとも、チームラボは展示会場に積極的な解説を掲載しないことが良くありますし、 「体験して欲しい」を前提とするものも多いので、なんなら解説を掲載するのが野暮のようになることがままある気もします。

もちろん情報なしで素直に体験して頂けて、素直に、ストレートに、好きとか嫌いとかを感じてもらえることだって価値があることだし、 なんなら「体験して感じてもらう」がコンセプトのところもあるわけだし、いっそ個人的にはそれくらいの難しくない価値基準の方が好きだったりします。 当然ですが自分も作品に好き/嫌いというかピンとこない)はあります。

いずれにせよ「アートとは」という積極的な議論へ展開されて行っているあたり、その概念・定義の形成に一石を投じたという価値があったはずで、 「価値観を変えたい etc」という猪子さんの思想に、見事に乗っかってしまっているとなぁとぼんやり思ってます(少々言葉が悪いですが)。

それでもって何よりもの 3 つ目ですが、(チームラボに限らず、何かを作ってる人が)「アートでない」と言われたところで手を(思考を)止める理由はないと思っています。 全然アートのことを良く分かってないのに方々から凄い怒られそうですが、これから出てくる色んな人なり作品の可能性を「アートでない」という言葉で狭めてしまうことがないと良いな、とも思います。

確かにインタラクションし干渉して変化するけど、「こう見えて然るべき」見たいな見せ方の提供が、 通俗(一般)的に用いられる意味での「エンタメ」のように、ある種プロパガンダ的な映りかたするのが気に障る人が多いのかなぁ。 でもそれだと宗教絵画とかどうなんだって話ですし。やっぱり自分には分からないことが多いですね。まだまだ。考えることも足りてない。 きっとアートについての勉強も必要ですね(※念のため、私以外に、キチンとアートについて学んでる人とか、考えてる人は沢山います)。

もし見た人が何か感じて思ってを持ち帰って、なんならより良いものを作ろうってなってくれるなら、今の自分にはそれで十分かもしれない。

チームラボを目指してみる人へ

1 年目の記事に多くこのことについて書いてあります。言いたいことはほとんど変わりません。 付け加えるとすれば、最近はますますハードルが上がったものと考えて良いです。今自分がチームラボのインターンなり採用なりを受ければ、間違いなく通らないでしょう。

インターン生でありアルバイトである高尾さんの記事も大変参考になると思いますので、興味がある方は是非読んでください。 尤も、私から見た彼は非凡の領域に達していると思います(後天的だとしても、そしてますます活躍されることを楽しみにしています)。

1 つだけありました。尊敬する(そして大変お世話になっている) CV チームのリーダーが、最初期の作品を作った後にそれを紹介している動画があって、 その中に「今できないことをすぐにできないと決めてしまう人はラボに向かない」という(類の)コメントがあり、確かにそうだなぁ、反省しなければと思いました。 このコメントは正しいと思います。動画なぜか消されてしまったのが残念。

技術同人誌書いてます

あとは多くのことを経験して、多くのものを作ってみましょう。自分にはそれが足りてないなと思います。本当に。 今の時代制作する環境は無料で提供されてますし、情報も多く転がっています。そして多くの物を作ってる人は、面白人が多いです。 手を動かさない手はありません。

少々宣伝染みますが、自分も含み、コンテンツ制作に取り組んでいるメンバーが集まって書いた同人誌も販売しておりますので参考までに。 先に紹介している高尾君も素晴らしい記事を執筆してくださっています (自分ももう少しハイレベルなコンテンツが書けると良いんですけども、とっかかりばかり書いてます)。

IndieVisualLabの同人誌

その他

以前ラボで仕事をご一緒させていただいた方から、批判的な内容についても取り上げて欲しいとあったのですが、 色々書くと酷く長くなるし、ここで取り扱うのもどうかとなので、特に最近思ったことを短めで。

(1) せめてお子さんがいる方はもう少し時間の都合がつくようにしてあげたい。既に大きなプロジェクトは落ち着いてきてますし、 余計なお世話だし、自分がどうのこうのできる話でもないんですが、(実力不足も原因とは言え) 一度心の余裕をなくした自分が改めてそう思います。

何かを作るにしてもある程度の余裕がないと、良いものが出来なくなるし、無理くりできたとしても、次に繋がらなくなってしまいます。 知の継承と共有を目指していくなら、素晴らしい人材を大事にしていただきたく(自分がそれに収まるかどうかは兎も角として)。

(2) もうちょい企画段階でクリエイター側の意見を吸い上げる機会があっても良いかもなぁと思います(もちろん希望する人が)。 自分のことはさておき、チームラボには優秀なクリエイターが沢山います。企業体制だから実現できることもありそうで、 ボトムアップ的な作品作りも今後増えると良いなぁと思っています(私のレベルではまだまだやりきらないが)。

基本的には匿名だけど

あとは、内に向けた批判というわけではないのですが、実際に作品制作にあたり、すごい能力を発揮していて、 (私が、勝手に)自慢したい人たちがいるので、そういう方たちに日が当たることがもう少しあっても良いかなぁと思います。

最近になってそういった露出も増えてきて、これを執筆している前後で発行された雑誌「PEN」でも私の尊敬する方々が掲載されているので、ご興味がある方はぜひに。 個々の方の内容が厚いわけではありませんが、特集として何ページにも渡って書いて下さってます。

Pen(ペン) 2018年 7/1 号 [アートの境界を超えるクリエイティブ集団 チームラボの正体。]

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  • 価格¥ 700(2018/06/18 15:20時点)
  • 出版日 : 2018/06/15
  • 雑誌 : ページ
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  • ISBN-13 : 4910279610786
  • 出版社 : CCCメディアハウス

実際のところ、社の方針としてほとんどのケースで制作にあたった人たちの個人名は出しておらず、それが良い方向に働いていくことも良くあります。 個人名主義であれば、指名制度のようなものが成立し、なかなか上手く李おーうの管理ができないかもいれませんが、 一方で匿名であれば、その時に最適なリソースの管理と、最適な人材の割り当てができる可能は高くなります。

自分なんか新人一発目の仕事で大きな作品を作らせていただいたわけですが、指名制度だったらあり得なかったでしょう。

とはいえ、であるならであれば「アートコレクティブ」であることはもっと知って欲しくて、 多様な作業をこなしていくカタリストがいて、短い時間を押して撮影・広報してくださる人たちがいて、何よりもバックグラウンドには SI のチームがいて、 トータルで初めてチームラボの作品が成り立ってるんでないかと思ってます。

失っているものが見えてきた 2 年目

終わりになりますが、以下のことは極めて私事です。

細かいことは 1 年目の記事 を参照して欲しいのですが、 要するに、大してアートの文脈も才能も勉学的な優秀さも環境も持ち得なかった人間が、2 年目を生き延びることができました。

ただこういう世界に踏み入ってみたいという挑戦心だけのために、 「本来経験するべき、知っているべき、必要とされるべきことを大概捨てて生きている」ところがあり、 2 年目を振り返ってみれば、まぁ良い年しながら情けない位に子供のように生きてるなぁという感覚があります。 支えてくださった、成長させてくださった方々に、この場においても改めて感謝いたします。 願わくば今後もお付き合いいただきたく、離れて行ってしまった方々におかれましては、そのそれぞれに良い未来があることを祈ります。

1 年目では必死過ぎて気が付きませんでしたが、2 年目を以って見えてきたこともあり、 得たものもあれば失ってる(失った)ものも結構あるなぁとヒシヒシ感じています。ある種覚悟していたことでもあるんだけれども。

シンプルに言えばプライベートと心的余裕の多くは捨てられている(た)し、 楽しいもの作れてないなぁ、というぼんやりした飢餓感のようなものは最近よく感じてます(実力不足だから致し方ないとも)。 小さいブログポストすらも全然できてないですね。

挑戦する・したい・していない人たちへ」さて、とは言え、明確に持たざる人間が、 色んなものを捨てながら、決してメインは張らないものの、有名?企業というバックグラウンドに威を借りながらも、 結果的にはロンドンへ行き、フランスへ行き、大規模展示にも加わわったわけだ。 自分を見て「あんなやつができるんだから」と思い、何かに挑戦したい人の背中を押せるなら幸いと思う。

teamLab 2001 - 2016

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  • 出版日 : 2016/12/01
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追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして衝突して咲いていく - Light in Space

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  • 発売日2017/03/15