トップ > 静岡 > 6月19日の記事一覧 > 記事

ここから本文

静岡

前伊東市長逮捕 市長が市議会定例会で陳謝

◆「市民に迷惑かけた」

家宅捜索で押収した書類を運び出す捜査員ら=伊東市役所で

写真

 収賄容疑で伊東市前市長の佃弘巳容疑者(71)が逮捕された事件を受け、小野達也市長が十八日に再開された伊東市議会六月定例会本会議の冒頭、「議会と市民に迷惑を掛けた」と陳謝し、市幹部ら三十人とともに頭を下げた。市がリゾートホテル跡地を購入した経緯について、一般質問に立った議員からは疑問の声が上がった。

 杉本一彦議員(伊東新時代。)は、市が「伊東マンダリン岡本ホテル」跡地(同市桜木町、約四千平方メートル)を購入することに反対してきた一人。この日の一般質問では、今年三月九日の市議会福祉文教委員会で、市が図書館建設を名目に跡地を取得後、三年近くたっても計画が進まない現状に「土地ありきの取得では」と指摘した後、二日後に佃容疑者から釈明の電話があったことを明かした。

 佃容疑者が電話で「宅地分譲する計画が決まっているところを覆して自分が購入を(業者に)お願いしてきた」と話したといい、杉本議員は「購入は図書館建設の思い入れより、私利私欲が強かったのかなと感じてしまう」と当時の対応を疑問視した。

 市側は問題の土地について、市内の建設会社「東和開発」が競売で落札した情報を得て、交渉が始まったとしている。

 一方、ここ数年の年商が三億~五億円台の東和開発がホテルの解体費込みで約一億五千万円を投じて土地を落札したことについて、市内の建設会社幹部は「分譲地で採算が取れる保証はなく、あらかじめ転売先が決まっていないと年商の半分の買い物はできない」と疑問を口にした。

(中谷秀樹)

◆逮捕された前市長 メガソーラー後押し

 逮捕された佃弘巳容疑者は、市長退任後に就任した「市特別顧問」の立場で市内で計画される大規模太陽光発電所(メガソーラー)の関係者を連れて県庁を訪問するなど、事業を後押しする行動を取っていたことが十八日の市議会一般質問で明らかになった。市民の反対運動を受け、後任の小野達也市長がメガソーラーを規制する考えを示していた時期で、市とは逆の動きをしたことになる。

 関係者によると、佃容疑者が同伴して担当部署を訪ねた業者は、住民の反対運動が続く同市八幡野の計画とは別の事業の関係者。時期は昨年末以降とみられ、県が判断する許可について問い合わせたとみられる。その際、佃容疑者は二〇一七年五月の市長退任後に小野市長が新設した特別顧問の立場で動いていたという。

 重岡秀子市議(共産)が事実関係を問いただすと、小野市長は「訪問があったことは承知している」と認めた。市内のメガソーラー事業の大部分は佃市長時代に計画の届け出がされている。一部市議は「市民の市政に対する信頼は失墜している。佃前市長がメガソーラーでも業者との癒着がなかったか精査する必要がある」と訴えている。

(中谷秀樹)

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

中日新聞しずおかの記事はこちら

新聞購読のご案内