※前回の記事の続きです。
書かれている内容は筆者の見解であり、事実を完全に担保するものではありません。
あくまでも解釈の一つとして、ご参考ください。
また本人並びに他者へのカップリング発言は他のファンの迷惑になったり進行の妨げになる恐れがある為、マナーとして決してしないようにしてください。
運命の日 6月17日
この日何があったかを、あなたは知っているでしょうか。
そう、かえみと寝落ち耐久配信です。
間違いなくVTuber界の歴史に刻まれた、歴代最高峰の百合配信……それがこの配信でした。
この配信は深夜3時という真夜中でありながら、同時接続数26000人を突破しています。
内容については、筆者にはただただ『尊い』『最高』といった陳腐な言葉で表現することしかできません。
それぐらいに素敵なものなので、この記事を読み終わったら改めて上記アーカイブをご視聴お願いします。
しかしこの配信だけ切り出したところで、この二人の織りなす物語の素晴らしさ全てを理解しきることはできません。
『理解すべき文脈が多い』……それがVTuberを楽しむ上での、現状最大の障害になっているのは否めません。
それ故にこの記事では、この配信に至った大きな流れ・奔流について説明させて頂きます。
この記事を読むことで、少しでも彼女たちの歩んだ道について知ってもらえたら幸いです。
超会議の後のすれ違い
前回の記事をお読み頂けましたでしょうか。
彼女たちは4月28日の同室配信、そして翌日のニコニコ超会議を経て、その関係性の一つの大きな節目となったというのはご理解頂けたと思います。
そんな彼女たち二人は、翌4月30日に共通イラストレーター繋がりでの『あきでろもいみと』(鈴谷アキ、モイラ、樋口楓、月ノ美兎)コラボで共演しました。
この配信内では王様ゲームを行い、命令として「エアポッキーゲーム(ポッキーゲームをする演技)」が二人にぶっ込まれたりする中、「アキくんとでろーんが委員長を褒める」というゲームをすることに。
アキくんが「髪が綺麗」「声が綺麗」など褒める中、でろーんと委員長は以下のようなやりとりをしました。
楓「すごい動くね」
兎「お前やる気あんのか……。まだあるでしょ……?」
楓「たくさんごはんを食べますね」
兎「違うでしょ」
楓「違うくないでしょ」
兎「……違うよ」
と、望む言葉を言ってくれないでろーんに対する悲しさが委員長の発言から滲み出ています。
そしてその後も、
兎「これは勝者アキくんで決定かもしれないですね」
楓「いいよ」
兎「『いいよ』……!? 『いいよ』って言ったの楓ちゃんですか? おいコラ……!」
楓「アキくんに取られたってことにしてください」
兎「……もー、仕方ありませんね。アキくんちゃんが今回はね、勝利です。わたくしを気持ち良くさせられたのはアキくんちゃんでした」
といったまるで当てつけに口論しあう痴話喧嘩のようなやりとりをしています。
ここから「素直に褒められたい月ノ美兎」と「相手を褒められない樋口楓」という二人の関係性が見えてくるかと思います。
このように前回の同室配信・超会議からは打って変わって、二人は「お互いを意識してしまい、今まで通りのやりとりができない」状態になっていたのです。
五月頭は、そんな二人の関係から始まりました。
汝は人狼なりや?
そんなコラボの後も、二人はJK組感想会(5月1日)でもコラボをしています。
しかしその後、二人のやりとりには今までと比べてちょっとした変化が起こっていました。
5月5日、VTuber人狼の放送中、観戦しながらツイッター上でしずりん先輩と三人で通話していることを明かした二人。
砕けた口調でリプライを飛ばし合う二人。
他にも
ファンアートにこんなコメントをするなど、二人が仲良く通話している様子が観測されます。
さらには5月11日の午前2:30頃、ねづみどしさん(月ノ美兎・樋口楓のイラストレーター)のMirrativ配信に同時に出現し、「偽物です」と同時に発言する様子も見られました。
これは後日委員長の口から語られるのですが、朝まで一緒に通話をしていたようです。
このように二人が配信外において仲の良い様子がどんどん観測されていきます。
にじさんじ人狼などでもかえみと人狼になるような運命の悪戯を経験しつつ、リハーサルにおいても仲の良い様子を見せています。
これにより当初のぎくしゃくした関係の様子も薄れ、二人がより仲の良い友人となっている姿がファンの間にも見えてきていました。
ただ委員長の配信では基本的に樋口さんはコメントなどはせず(呼ばれると出てくる)、間接的にしかその仲の良さが観測できない状況は続いていました。
それはおそらく前回の記事でもあった樋口さんの意思である「委員長の足を引っ張ってしまうのではないか」という思いが強く出ていた結果なのだとは思います。
向けられた悪意と、支える樋口楓
五月の下旬から六月の頭にかけての事。
オフラインイベントなども立て続き開催され、起立しNIGHTでは二人で朝まで通話した出来事が語られる一幕もありました。
そんな中、一つの問題が起こります。
詳細については省きますが、簡略的に言うならばこの時期アンチの活動が非常に過熱していました。
樋口さん、並びに月ノさんに対して、謂われの無い誹謗中傷が寄せられたのは想像に難くありません。
特に月ノさんに関しては知名度が大きいこともあって中傷が酷く、若干活動が減少した様子も相まってファンの間では「もしやこのまま引退するのではないか」との不安・心配の声も出てきました。
そんな中、行動を起こしたのが樋口楓さんでした。
6月5日にエルフのえるさんとUSJで遊んだ様子を楽しげに語っていた樋口さん。
樋口さんは元々『かえる』(樋口楓・えるのコンビ)として活動を早くから始めていたこともあり、ファンの間では6月はそちらに注力しているのではないかとも思われていました。
しかし突然のMirrativゲリラ配信(6月6日)にて、次の内容が樋口さんの口から語られます。
「美兎ちゃんは元気だよ」
「元気そうだったよ。ちゃんとごはんも食べてるー言うてたし」
「美兎ちゃんのコラボも6月中にやろうかって話はしてるから」
「6月もにじさんじのことをよろしくお願いします」
「うん、てことでね。みんな、ちょっと、どう?」
「この告知を聞いて、なんか『ハッピー』になった人もいるん……かな? きっと」
話からは樋口さんが月ノさんのことを心配し、そしてそれを支えていたことがうかがえます。
そしてそんな彼女が「美兎ちゃんは元気だよ」と繰り返し話すことにより、当時不安に苛まれていた月ノ美兎さんのファン、そしてにじさんじや樋口楓さんのファンは大きな勇気をもらったのです。
今までは「委員長の為」と思って表立って関わらないよう一歩引いていた様子の樋口さん。
しかし彼女は改めて「委員長の為」に、前に出ることを決意したのではないでしょうか。
暴走する好奇の目と、月ノ美兎のアンサー
そんな中、樋口さんの方にも若干のトラブルが発生します。
お絵かきの森の配信の中で、「かえる(樋口楓・える)のカップリングか、かえみとのカップリングか」という選択肢を選ぶイラストを提示され、言葉を詰まらせる場面がありました。(6月10日)
それに対してファンの間では「配信者に対して配慮が足りないのではないか」という議論が巻き起こります。
そんなファンの様子に悩んだ樋口さんは、黒い砂漠プレイ動画(6月11日)内において少々躊躇いがちに次のようなメッセージを出しました。
「かえるルートとかえみとルートどっちがいいって、ファンアート書いてくださった方いるじゃないですか」
「その件に関してマシュマロとかで、私のところにも来て」
「でも二人とも大切なお友達っていうか配信仲間っていうか、にじさんじメンバーだから」
「そんな選ぶとかはもちろんできないけど、みんなが『かえるかわいい』とか『かえみとてぇてぇ』とか、言ってくれんじゃん」
「私はそれだけで嬉しいし、それで喧嘩とかは、やめて欲しいなって、思う」「私は別にいいんだよ」
「『かえるばっかでかえみと少ないですね』って言われたけど、お互いの予定もあるし仕方ないんだ……」
「ごめんね、なんか全然、偏ったことしちゃって。ごめんね」
そんな言葉でファンに謝る樋口さん。
「『かえみと』や『かえる』を語られること自体は嬉しいが、それが争いの火種にはなって欲しくない」
という考えが見受けられます。
ここからも仲間を本当に大切に思っているんでしょう。
そんなハプニングもある中で、久々の月ノ美兎さんの配信――みとラジが行われました。
ゲストのパゲ美さんと、いつも通りのエンターテイメント性溢れる内容の配信で、その姿にファンは安堵します。
月ノさんからファンに向けて、「応援ありがとうございます。長文メールもちゃんと見てますから」とのメッセージも。
そして最後に(1:21:26から)
楓ちゃんとかもMirrativで凄く言及とかしてくれていて、本当に嬉しかったです。ありがとうございました。
と樋口さんについても個別にお礼を述べていました。
この時は下手な対応を取れば周囲に迷惑がかかるような、お互いに触れるのが大変難しいタイミングだったと思います。
そんな中でも相手への敬意を表す二人の気持ちが重なったのが、この時期だったのです。
秘密の一週間
そうして以前イベントによって語られた二人の寝落ち通話を元にして、「寝落ち耐久配信コラボ」の開催が決まりました。
それが最初に告知されたのがMirrativ6月6日の配信。
当初から「寝落ち通話」という話で樋口さんは話を進めていたと思います。
少なくともあえてオフラインかオンラインかには触れず、オンラインと思わせるようなミスリードを行っていたのは確かです。
そんな中で始まった6月16日(寝落ち配信当日)の夕方でのお絵かきの森配信。
冒頭から「iPhoneマイクで音質が悪い」「察してください」と語る楓さん。
この時点で「何を察すればいいんだ!? まさか……!?」とファンの間では騒がれていました。
もちろんかえみとファンとしては「委員長とのオフライン」を想像するわけですが、都合の良い妄想だと自ら否定するわけです。
しかしこれを読んでいる方にはおわかりの通り、実際はちゃんとオフラインでした。
そういうとこだぞでろーん!
そして深夜、委員長の参加するゲームイベント『RAGE』のリハーサルの為に配信が遅れている中、突如始まった楓さんのMirrativゲリラ。
配信の不具合から無言でしばらく続くMirrativの配信に、ファンは困惑します。
――そしてしばらくして始まった配信が、これです。
ここで始めてお絵かきの森配信が月ノ美兎さんの自宅で行われていることが判明し、寝落ち耐久配信はオフラインコラボだという事実が確定したのです。
これまでの一週間近く、ファンはずっとオンラインコラボ配信だと思い続けていた……!
我々はでろーんの手のひらの上で踊らされていたのだった……。
まとめ
そうして二人は冒頭にあった、6月17日かえみと寝落ち耐久配信を行ったのでした。
その中でも語られていますが、これまで彼女たちは多くのトラブルに襲われてきました。
(月ノさんが4kg痩せたと言っていたのは、おそらくそのような心労もあるのでしょう)
しかしそんなトラブルにも負けず、月ノさんはみとラジにおいても「今後とも月ノ美兎をよろしくお願いいたします」と発言しています。
そしてその裏には、ずっと支え続けた樋口さんの力があったのだと思われます。
以前、「かえみとは正義」という言葉で樋口さんのフォローをした月ノさん。
それに対して今、樋口さんは「美兎ちゃんは元気だよ」とファンに伝えるべく彼女をフォローしてみせたのです。
そんな二人の絆が、この配信を成立させたのでしょう。
ささやかなすれ違いから始まった5月。
それでも絆を深めていった二人の前に、突如現れるハプニング。
しかしにじさんじの開始当初から培ってきた絆が、そんな二人を支えて寝落ち耐久配信というハッピーエンドに導いてくれたのだと思います。
そんな王道の物語が、ここにはあるのです。
……そしてそれはともかく百合です。
オンラインかと思ったら当然のようにオフラインだったり、二つ布団があると思ってたら部屋にはベッド一つしかなかったり、電気を消した状態で始まるやたらとエモいしりとりだったり、不意打ちで頭を小突いたり。
ファンの妄想にしても出来すぎと言われるであろう配信でしたが、それ故にそのクオリティはすさまじいものとなっています。
まだ未視聴の方は、是非その目で、その耳で確かめてみてください。
そこには、この世の真理が存在しています。
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かえみとを推していましたが徐々ににじさんじ箱推し勢になりつつあります。