日本語学校、激増で私立大学超え…一部の学校、外国人労働者を実質「人身売買」で違法労働に加担
「Gettyimages」より
先日から話題となっている「日大アメフト事件」では、「危険タックル」を指示したとされる監督と選手の関係に注目が集まった。報道を見る限り、監督は極めて強権的で、試合に勝つためには手段を選ばない人物だったようだ。アメフト部内には、異を唱えられるコーチはいない。しかも監督は、大学の幹部まで務めている。
大学生の一選手が逆らえるはずもない。たとえ悪いとわかっていても、「危険タックル」という反則を犯すよう追いつめられた。監督に嫌われれば、選手生命すら危うくなってしまうのだ。スポーツに反則はつきものであるとはいえ、極めて悪質なタックルだった。にもかかわらず、日本中が騒然となり、選手には強い同情が集まった。その背景には、あの監督と選手に似た関係が、一般社会でもよくあるからではなかろうか。
スポーツでは何より「勝利」が追求される。同様に企業は、「利益」を重視する。安倍政権の「成長戦略」の不発ぶりが明らかになるなか、企業では利益至上主義の傾向が強まっているように映る。利益追求のため手段を選ばず、法律スレスレの行動を社員に求める経営者もいる。そんな経営者からの指示に対し、毅然として拒否できる人ばかりではないだろう。
外国人労働者問題をテーマにしている筆者にとって、取材先のひとつが日本語学校の職員たちだ。近年の留学生急増によって、日本語学校業界は“バブル”に沸いている。しかし、そこで働く職員には、学校経営者から反則を犯した選手と似た状況を強いられ、悩み、苦しんでいる人が数多い。
“偽装留学生”
「選手の記者会見を見て涙が出そうになりました。私には、あんな勇気ある行動は取れません」
そう語るのは、関西にある日本語学校で留学生のリクルートを担当するA氏(40代)である。
日本国内の留学生は2017年6月時点で29万人を超え、12年末から11万人以上も増加した。その恩恵をもっとも受けた日本語学校の数は、18年4月現在で680校に達し、私立大学の数を上回るほどに増えている。A氏が勤務する日本語学校の業績も好調だ。学校の規模は拡大し続け、500人以上の留学生を受け入れるまでになった。
「学校とはいえ、うちの実態は『教育機関』とはかけ離れています。留学生の多くはベトナムやネパールなどの出身者ですが、彼らの目的は出稼ぎで、勉強する気もない。それをわかって学校は受け入れる。留学生の質などよりも、利益を優先しているからです」(A氏)
留学生には法律で「週28時間以内」のアルバイトが認められる。そこに目をつけ、ベトナムなどアジアの新興国の若者は、出稼ぎ目的で日本語学校へと入学する。そうした“偽装留学生”を学校側も喜んで受け入れているのだ。
日本への出稼ぎには、ほかにも「実習」という手段がある。だが、実習生の場合は、手取りで月10万円程度しか稼げない。また、最長3年(今後は5年に延長)までしか日本で働けず、職場を変わることもできない。