佐賀市本庄町の南部バイパスの溝口信号から入った住宅地の付近は、手入れされた矢竹の生け垣がある。
その一角の静元寺の道路沿い150メートルほどの矢竹の生け垣は、盆と正月前に寺の檀家(だんか)さんが、剪定(せんてい)はさみや電動刈り機で高さや幅をそろえている。うきは市から毎回参加する岡村悟さんは「枯れた竹を抜き、根が若返るように手入れされてきたから、長い間残ったし、これからも守っていきたい」と話す。作業後は、炊き出しのおにぎりなどを食べ、檀家交流会が行われる。
寺は、鍋島清虎(藩祖・直茂のいとこ)の館であったのを、その子の道虎が建立。寺の奥さんから、ここの竹で弓を作り「今山の戦い」(1570年)に、出陣したと聞く。そうすればこの竹は、手入れを続けられ450年も同じ状態を保っているのだろう。
「葉隠」の山本常朝とも行き来のあった了意和尚の木造彫刻は、1727年と製作年代がわかっている貴重な仏像で、寺の開山堂に鎮座し、目玉が威光を放っている。
なにげないところに、思わぬ歴史が潜んでいるようだ。
(地域リポーター・上原和恵=佐賀市)