福井市立の小学校で、50歳代の男性教頭が、30歳代の男性教員が提出した5月の勤務時間の出退勤の記録を無断で改ざんした上、教員に過少申告するよう促していたことがわかった。教員は一般的に「過労死ライン」と呼ばれている100時間(単月)以上の残業を申告したが、実際には100時間以内に収まる形で市や県に報告されたという。市教委は取材に対し、「改ざんは事実」と認めている。教頭は、校長の聞き取りに対し、「もっと効率化すれば、勤務時間を減らせるはずだと思った」などと話しているという。
福井市立小学校の勤務時間改ざん、専門家は「氷山の一角」
福井市教委の話によると、この教員は、普段から残業が多くなりがちで、教頭と教員は、仕事のやり方を調整できないか何度か話し合っていたという。しかし、5月は宿泊学習など行事の準備が忙しく、教員は土日にも出勤していたという。
出退勤の時間は自己申告で、パソコンで決められたフォーマットに記入するが、残業時間が100時間を超えると赤字で警告が出るという。この学校では、出退勤時間を記録したファイルを、パソコン上で共有フォルダに保存しているといい、誰でも書き換えられる状況だった。6月に入り、フォルダ内に入っている5月の出退勤記録を確認した教頭が、当該教員の記録を見て、100時間以内に収まるよう記録を改ざん。その上、教員にさらに過少申告するよう促したという。教員はその後、言われたとおりにさらに過少申告して記録を提出。校長は、教頭が記録を取りまとめたため、改ざんには気がつかなかったという。
この教頭は、同じ小学校に昨年も在籍しているが、改ざんしたのは初めてだと話しているという。
福井市教委の小林真由美・学校教育課長は、取材に対し「管理職が勝手に勤務時間を書き換えることはあってはならない。今週中に教頭本人に厳重に注意したい。また、誰でも勤務記録が書き換えられる状態を改めたい」と話している。
(取材・文/高山千香)