TateyamaKaito’s diary

@kaito_tateyama

東大で降年、留年、休学をしてこれから退学する話

 退学することをほぼ決めてから、ブログをいろいろ見たりしていると、あまりにも優秀な人が多くて悔しくなってきたので書きました。これは人生の失敗談と、これからがんばっていくぞという話です。

1年目
 僕はもともと頭の出来が悪くて、それを人より何倍もの時間をかけてカバーする人間でした。ゲームをしたり、友達と遊んだりといった記憶はあまりなくて、どちらかというといつも時間をかけてなにかに取り組んでいた気がします。特に中学3年生の頃から数学に憧れて、ひたすら高校数学をやっていました。そして、努力の結果、東大に受かりました。合格祝いで先輩から言われた、「自分の力で手に入れた環境を色んな見方で楽しんでいってほしい」という言葉がほんとうに嬉しくて、やったぞ、俺はやったぞ、これからは自分の手で未来を切り開くんだ、やっていくぞという気持ちを抱えて東大に入りました。
 そして、いろいろあって、足の病気になって詰みました。
 後から分かったことですが、このとき同時に躁うつ病がはじまっていたらしく、精神的にもダメでした。前期(Sセメ)のテストに行けず単位をほぼ落とし、後期がはじまってからもキャンパスに通うのがつらくなり、結局数学のテストだけ受けました。出席してなかったからなのか、テストの点が悪かったのか、49点で数学の単位も落としました。

 

2年目
 本当は1年目で自主留年か、休学の申請をすべきでした。というのも、降年してから単位を取りにいくのと自主留年して単位を取りに行くのでは後者の方が他クラス聴講の50点制限がない分有利だからです。(しかし、東大は毎年制度が変わっているので、現役の方は手引きなどを見てください)当時は手引きを見る気力すらなく、精神的につらい中教務課に何度も質問をしに行きました。一般に、教務課は学生のみを相手にするときアレなことがあります。これであれこれされてもアレなので詳しいことは書きません。(これは事実ですが、僕が3年目に休学を決めたとき学内の主治医の方が、「休学手続きで教務課の人と話をするなら、大人がついて行ったほうがいいね」とおっしゃってつきそってくれました。)精神的につらくて、それでも教務課と話をしなければならないときは、大人の人と一緒に行った方がいいと思います。学内には頑張って調べれば助けてくれる大人がいます。もちろんハズレもいるので、本気でガチャを回しましょう。もし、調べる気力がなかったり、ガチャが無理ならあきらめて、休学をした方がよいと思います。結局、訳も分からず精神的ダメージのみを蓄積させて6月になり、そこではじめて「自分は精神的な病なのでは?」と思って家の近くの精神科に行きました。
 ハズレを引きました。
 単純に、医者と患者は人と人との関係です。その人が悪いのではなく相性なのだと思いますが、割とこれはハズレだなーと今でも思います。とにかくうまくいかなくて、自分は嘘をつきまくり、自分が病気であることを証明するためだけに医者に通っていました。そして医者に通うこと、嘘をつくことそれすらもつらくなって、10月にはまったく通わなくなりました。前期も、そして後期も、すべて単位を落としました。前期から後期にかけて降年しました。精神的にこのあたりがほんとにやばくて、それどころではありませんでした。8階に住んでいたので、死ぬか生きるかという線をずっとずっとたどっていました。
 そして留年して、1年生になりました。

 

3年目
 躁うつ病の人にはあるあるだと思いますが、春がめぐってきて元気になりました。大学に通うぞという気力が湧きました。これは躁です。まったくよくないのですが当時はいけるぜ、ここから挽回するぞという気持ちでいっぱいでした。東大では前期が4年間までなので、後がないという気持ちもそれに拍車をかけていたと思います。本当に人生は難しいものです。
 それでもよかったのは、ここで学内の保健センターに通い始めたことです。とてもよいお医者さんに恵まれて、ここではじめて躁うつ病と診断されました。
 しかしまた6月頃から鬱の波がやってきます。とてもつらくてどうしようもなくて、なにかを吐き出したい、家族にも、友達にも言えない気持ちを投げたいという思いからはてなアノニマスダイアリーに投稿したりしていました。これでちょっと気が楽になったりしました。
 薬をいろいろ試していて時間が足りなかったというのが振り返ってみたときの結論です。自分に合ううまい組み合わせが見つかったときはすでに8月で前期の単位を落としており、後期でうまく挽回できる自信もなかったので休学を決めました。主治医の先生と別れるとき、「あなたは自分のことをよく分析できていて、その病気を抱えているからこそできることがきっとあるよ」と声をかけられたことを覚えています。基本的に一人なので、こういう優しい言葉をかけられるとどうしても心に刺さっていつまでも大事にしてしまうんですよね。今書いていて泣きそうになりました。病状はかなりよくなって、躁鬱の波もほとんどなくなったけど、いつかこのためにこれがあったのかと思えるようなときが来るのかな。来たらいいなぁ。
 休学してしばらくは寝ていました。ほんとうにただ寝ていました。そして、4年目が巡ってきました。

 

4年目
 一年間休学すると決めたので、今年の夏まで休学です。(一応、まだ様子見なのでもろもろ決めてから退学することにしています。)無事医者を見つけて薬などの情報を引き継ました。そして3年目の10月から精神的に元気になってきました。これは躁ではありません。機械学習にあこがれて、kaggleに取り組んでカーネルすら超えられなかったのもこの時期です。そもそもプログラミング自体がはじめてということを思い出し、実装というか、ifとかforが分からないので4月から競技プログラミングをはじめました。(本当は去年夏にも興味があって少しやったのですが、精神的に荒れていたのですぐに挫折していました。なので再挑戦ということになります。)
 最近になって、ようやく自分の進路と向き合う勇気が出てきました。機械学習系か、数学系に進みたいなと思っていたのですが見ての通り、進学選択に参加するのすら怪しい状況です。また、東京にしがみついていたせいでお金がなくなり、地元の大学に通う方がよいという状態になってきました。というか、学費すら怪しいと思っているので、大学に通うことができるのかどうか、まだ親と相談している途中です。このままド田舎で就職先もなくたとえ就職したって撤退戦のようなことを繰り広げるよりは、ぎりぎりまで粘って4年消費して大学に通い、その間に技術を身に着けて東京に行きたいという気持ちがあります。特に学生というライセンスがなければ、インターンなどもきつい、という認識なので。(これはソフトウェアエンジニア周りのイメージです。)

 これで僕の失敗談は終わりです。別に就職先を得て退学するわけでも、起業して退学するわけでもありません。この先が見えず真っ暗な中、手探りで毎日ひたすら情報科学とプログラミングの基礎を勉強しています。それだけです。

 

数学
 そもそも、僕が東大を目指したのは中学3年生のときに行ったオープンキャンパスがきっかけでした。当時、数学に憧れていたので迷わず数学科の模擬授業を受けました。5次以上の方程式には解が存在しないと思っていたので無限回の操作で解けることに衝撃を受けたり、質問コーナーで憧れの数学科の人たちにlogzのzを複素数にした場合はどうやってlogを定義するのか質問をしたりしました。生意気な子供だったと思います。数学が好きな人の中には、ガロア理論を知ったかぶりして有限回の操作というところを見落としちゃったり、なんでlogの導入には積分もあるのに学校ではそれを採用しないんだろうみたいな疑問を抱いた人もいるのではないかと思います。割とあるあるな気がする。
 当時は親から、何やってるんだこの子はと思われ、周りには友達はおろか先生さえもあまり理解をしてくれなくて、ひとりぼっちだなぁと思っていた自分には、東京がとても素敵な地に見えました。大きくなって、東大に進学して、周りにそんなたくさん数学が好きな人がいるわけじゃない(これはクラスによります)と分かっても、東京という地がそれほど理想的なところじゃないということを知っても、それでも僕の中にはこの風景があって、今でも東京への憧れが強く存在しています。
 そして、この年になって、数学者はおろか就職すら怪しくなった状態でもまだ数学が好きです。精神が(本当に)安定してきたのと、Twitterを始めて僕より数学がつよい方々を見ていて趣味で数学をやるのもいいなあと思って、息抜きに岩波の数論Ⅰを読んでいます。久々なので、群とか環辺りから復習をして、一ページ一ページきちんと読んでいます。楽しいです。いつ数論Ⅱに入れるのか定かではありませんが、小さなころに憧れていたフェルマーの最終定理を、いつか概形だけでも追えるようになれたらいいなと思います。

 

今やっていること
 これはお願いなのですが、ソフトウェアエンジニアとして食っていくために僕はどういうことをすればいいのか分かりません。これを読んだ方の中にソフトウェアエンジニアの方がいらっしゃいましたら、私はこのスキルで食っています!というのをぜひ教えてください…。(というかここまで読み進める人はいないと思うのでアレですね。)参考までに、今やっていること、興味のあることを載せます。まともにプログラミングを始めたのは今年に入ってからで、覚悟を決めたのは最近のことなので、実質何もできていませんが…

- [機械学習]PRMLを読んでいる途中。3回やって、kaggleは自分にはほんとにまだ早いと悟ったので基礎から学んでいます。参加しても、カーネル写経だけになっているのがつらくなったので。
- [Rails]Rails Tutorialを読んでいる途中。とりあえずRailsでなんらかのwebサービスを作りたいという思いがあります。
- [Rust]TRPL2ndを読んでいる途中。これは憧れです。あと、何年か後には所有権などの概念が大事な世界になってくるのではという勘があって、学んでおきたいと思ったからです。
- [CSS]CSS Animationで遊んでいる。yui540さんのアニメーションが好きです。いつかサマーウォーズの非公式ファンサイトを作りたいなぁと思いながら小さなアニメーションで実験を繰り返しています。
- [JavaScript]とりあえず新しいやつを学んでnodejs, フロントエンドのJSでHello Worldをしました。非同期処理とか、コールバックあたりがまだよく分からない、というレベルです。PeerJSを触って、webRTCってすごいなぁと思ったのですが世界があまりに複雑すぎたので、3分間networkingを読み進めています。
- [Linux]Linuxのしくみという本を読んでいます。手を動かして学べるので楽しいです。
- [競技プログラミング]楽しいです。複雑なアルゴリズムを把握する、というのが機械学習を学んでいて自分に不足しているなと感じたので、ここでその能力が鍛えられるのではという期待があります。

 以上です。今になって思うのですが、健康で努力ができるというのはほんとうにありがたいことです。この先どうなるか分かりませんが、命を燃やして、がんばってつよく生きていこうと思います。

Add StarAT274 (green)AT274 (green)AT274 (green)nizi26i26 (green)nizi26i26 (green)nizi26i26 (green)nizi26i26 (green)kobaryo222912 (green)zunda2nd (green)zunda2nd (green)threetea0407 (green)noimin343Syarlathotep
  • id:t-sin

    はじめまして。精神をやったことのある人間として、痛いくらい記事が理解できてしまったため、ちょっと書こうと思います。

    > ソフトウェアエンジニアとして食っていくために
    ということなのでみっつ。

    まずはじめに、なにか一つの言語に絞ってみると、プログラミングの基本的な概念を理解できると思います。既存のコード(コードが公開されているソフトウェア)を読んだり、本を写経(あるいは変換)してみたり。

    次に、これは興味の湧いたものでいいのですが、たとえば記事を読むにRustなどの公開されたコードや、言語の実装などを眺めてみて、そもそも言語とはどう実装されているのか、など基盤に目を向けつつ、雰囲気を頭に入れていくと、だんだんとその言語のことがより深く理解できていくと思います(何度も読み直すことになると思いますが)。好きな言語に対する深い知識は、今後別の言語でも役に立ちます。

    あと、技術系記事のトップランクを読み漁ってみたりするのもよいと思います。最近のトレンドを知ることができ、なんならそこで触れたことのない技術や言語、ソフトウェアのことを知るきっかけにもなります。

    ぼく自身もまだペーペーのプログラマですが、興味を尽かさず、苦しまず楽しんで上記をやっていくのがいいんだと思っています。数学への興味が覚めやらぬようなので、きっとそこは、好奇心を全開にすればなんとかなるのではないかと信じています。

    長いコメントでしたが、参考になれば幸いです。

  • id:TateyamaKaito

    t-sinさんコメントありがとうございます!
    特に言語の実装や基盤から深く理解するというところが参考になります…(浅く、使えるレベルの理解が多かったので…)
    少しずつ深く潜ってみようと思います。