CULTURE / ANTENNA
09 Jun, 2018
是枝裕和・細野晴臣が語る、パルムドール受賞作『万引き家族』の音楽と創作を続ける理由
photo: Yoko Kusano
text: Jin Otabe
第71回カンヌ国際映画祭で最高賞であるパルムドールを受賞した映画『万引き家族』。是枝裕和監督による「犯罪でしかつながれなかった家族」を描いた本作は、6月8日(金)より全国で公開となった。
本作の音楽を担当したのは音楽家の細野晴臣。是枝監督は、細野が音楽を手がけた『銀河鉄道の夜』(1985/杉井ギザブロー監督)や『メゾン・ド・ヒミコ』(2005/犬童一心監督)を観て、いつか自作の映画音楽も担当してほしいと常々思っていたのだという。
今年のカンヌ国際映画祭の審査委員長を務めた女優、ケイト・ブランシェットの言葉を借りれば、“Invisible People(インビジブル・ピープル=見えない人々)”に光を当てた『万引き家族』は、普段、我々が日々を生きていく中で見過ごしている、あるいは見ないふりをしている大切なものの存在を思い起こさせる。細野の音楽が、絶妙なバランスでそのアシストをしていることは間違いない。
5月末、アメリカ・ニューヨークでの打ち合わせから帰国した是枝を細野が都内某所の喫茶店で迎えた。約30分という限られた時間の中で二人が交わした会話は、『万引き家族』が到達した映画音楽の理想的なあり方に始まり、そして、二人が飽くことなく創作を続けていく理由にまで及んだ。