米ファースト・レディー、親子引き離す移民政策を批判 「与野党が一致して対策を」
ドナルド・トランプ米大統領のメラニア夫人やジョージ・W・ブッシュ元大統領の妻ローラ・ブッシュ氏が、メキシコからの不法移民の親子を引き離す政策をやめるよう訴えている。
トランプ大統領の移民に対する「ゼロ寛容」政策が批判を浴びるなか、メラニア夫人は報道官を通じ、「米国は全ての法を順守する国であると共に、心のある統治がされる国であるべきだ」と訴えた。
一方、ローラ・ブッシュ氏は米紙ワシントン・ポストへの寄稿で、「ゼロ寛容政策は残酷で、非道徳的だ。胸が張り裂けそうだ」と述べた。
成人の越境者は拘束・収容され、不法入国の疑いで刑事裁判にかけられる。多くは亡命を求めている。その結果、何百人もの未成年が収容センターに送られ、親と引き離されている。人権保護団体は前例のない政策だとして批判を強めている。
米国では最近の6週間で2000近い家族がこうした状況に置かれた。
ファースト・レディー達の主張は?
メラニア夫人が政策について発言するのはまれだ。声明で同夫人は「子どもたちが家族と引き離されるのを見たくない。両党派(議会の共和党と民主党を指す)が協力し、移民政策の改革を達成してくれることを願う」と述べた。
ローラ・ブッシュ氏はワシントン・ポストへの寄稿で、「政府はスーパーマーケットを改築した場所に子どもたちを留め置いたり、砂漠のテントに住まわせようとするなんてことに関わってはいけない」と述べた。
さらに、「この光景は、第2次世界大戦中にあった日系米国人の強制収容所に気味が悪いくらい似ている。強制収容所は米国史上最も恥ずべき出来事の一つだ」と指摘した。
誰が批判されるべき?
トランプ大統領は、この政策の根拠となる法律は「民主党から引き継がれたもの」だと批判しているが、どの法律を指しているのかは定かではない。
トランプ氏は16日にツイッターに「民主党は、彼らが作った家族を国境で無理やり引き離す政策を、共和党と一緒に新しい法律を作ることで変えられる! だから11月にもっと共和党議員が選ばれる必要がある。民主党が得意なのは高い税金、高い犯罪率、そして妨害だけだ。残念!」と投稿した。
しかし批判する人々は、親子を別々に収容する政策は、5月にジェフ・セッションズ米司法長官が発表したもので、議会での採決なしに止められるものだと指摘している。
この移民政策には共和党内でも賛否両論がある。賛成派は、犯罪を犯した親から子どもが引き離されるのは当たり前だと主張している。
乳幼児を含む子どもだけの収容が増えたことで、シェルターや里親家庭の数が足りなくなっているとの報道もある。
民主党の議員グループは17日、ニュージャージー州にある米移民税関捜査局(ICE)の収容センターを訪れ、子どもたちと引き離された収容者を視察した。
ジェリー・ナドラー議員はツイッターに「母国で過酷な暴力と危険にさらされ米国に亡命しようとした際に子どもたちと引き離された収容者たちと、施設内で話を始めた。後ほど施設の外で記者会見する」と投稿し、「#FamilesBelongTogether(家族は一緒に)」「#EndFamilySeparation (家族の離別を止めろ)」のハッシュタグを添えた。
こうしたなか、トランプ政権はテキサス州の砂漠地帯に子どもたちを収容するテントの仮設住宅地を建設する計画を立てている。この地域では、気温が40度にまで上がる。
地元出身のホゼ・ロドリゲス議員はこの計画を「全く非人道的」で「許しがたい」と説明し、「道徳的な責任感のある人なら誰でもこの計画をとがめるだろう」と述べた。
テキサス州トルニヨーにあるこうした施設では、17日に抗議デモが行われ、参加者は「家族は一緒に!」「子どもたちを自由に!」と叫んだ。この施設には数百人の子どもが収容されている。
<おすすめ記事>
正式な手続きを踏まずに米国国境を越えようとする家族の数は増え続けている。セッションズ長官はこれを確認し、5月には現在の移民傾向は「終わらせなければならない」と話していた。
ICEによると、「ゼロ寛容」政策が施行されてから最初の2週間で、乳幼児を含む658人の未成年が、共に国境を渡った成人と引き離された。
しかしこうした措置は以前から行われており、2017年10月から今年4月の間に、700家族が影響を受けたとの報道もある。
多くの場合、家族は大人が拘束を解かれた後に引き合わされるが、数週間から数カ月にわたって引き離されている人々もいるという。
家族が引き離されるケースはオバマ前政権でも確認されていたが、人権活動家によるとその数はごくわずかだった。