ピアニート伯爵(伯爵だったのだ)のデビューは、「蒼い鳥」という歌の演奏動画だ。
こちらの文章にも書いたが、この曲は当時の私にとって啓示みたいなものだった。
あの動画を投稿していなかったら、という想像をすることは簡単でもあり、難しくもある。ピアニートという存在は、仕事からプライベートまで、私の生活にあまりに根源的で多大な影響を与えてきた。
この多宇宙を俯瞰できるなら、当然ながらそこではありとあらゆる可能性が実現しているはずで、私が生まれたすべての世界線を考えれば、そもそもピアノを弾いていない世界だとか、この時点ですでに存在をやめている世界までも、あるには違いないのだ。しかし、「あの動画を投稿していなかったら」というたったひとつの if は、その仮定の小ささに対して先の展開があまりに大きく異なる、そんな特別な if なのではないか。
つまり、人生に特異点というものが存在するのであれば、あの動画を投稿した瞬間はまさしくそれなのではないか、とも思うのである。
先の仮定は、アイマスに「蒼い鳥」という歌が存在していなかったら、という仮定に置き換えることもできる。つまり私にとって「蒼い鳥」が特異点であったのだ!
今日はあの動画から11年も経って、仕事としては初めて、「蒼い鳥」作曲者であらせられる椎名さんの曲を弾いてきた。この感慨というのはなかなかご本人にも伝わらないだろうけれども、ともかく、巡り合わせやら歳月やら、いろいろに思いを馳せた日であった。
出不精で人付き合いも悪い、意識を高く持つのもニガテな私ではありますが、こうして「すべての出会いに感謝」する日も確かにあるのです。
大きな地震のあった日に極めて個人的な記事で気が引けるのですが、書いておかねば、と駆り立てられました。
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