続報・店舗流通の商法
発覚!「銀行約款違反」の意味するもの
あの「ほっかほっか亭」の子会社・店舗流通ネット㈱が
銀行約款違反で「節税」か?
昨年末、12月7日に東京地方裁判所でひとつの民事訴訟が結審した。
判決は被告である「店舗流通ネット㈱」(反訴原告)の全面勝訴に終った。
本クライムTVが、この裁判の進捗を当初より見守ってきたのは、この事件
が現代日本の様々な矛盾や歪み、病巣を象徴するものであるからである。
ところが係争の中で、被告「店舗流通ネット㈱」の「脱税」を想起させる
「銀行約款違反」の事実が発覚して・・・・・。
○「おいしい節税?」か「脱法行為?」か
国が「税収の減少」を理由に「消費税率アップ」に躍起となる中、縦割り行政を活
用すれば「おいしい節税?」も可能と証明したのが「店舗流通ネット㈱」だ。
この「店舗流通ネット㈱」を含むグループ企業は「ほか弁」で知られ、東証1部上
場の「㈱ハークスレイ」が実質的な親会社である。
「店舗流通ネット㈱」を含む同グループ企業の商材は「居抜き店舗」で、その手法
については、本クライムTV(生き血を吸う「委託型店舗」の実態)に詳しい。
ちなみに現在「店舗流通」を含むグループ企業「TRNコーポレイション」は名証セ
ントレックの上場を廃止し「ほっかほっか亭」の展開で知られる「㈱ハークスレイ」の
傘下、100%の子会社となった。
さて東京地裁の裁判では、東京・神田で17ヶ月間、店舗流通の「業務委託型店
舗」を営業していた原告が「同社との契約は、その内容が公序良俗に反するもので
あるから無効である。」と訴えたことに始まる。
営業期間の「17ヶ月の総売上約2700万円から、約2000万円を天引きされ、堪
らず閉店するや違約金と称し500万円を要求された。」とする経緯から「店舗流通
ネット㈱」に契約そのものの「無効」を申立てたのだ。
被告となった店舗流通も即、提訴を受けて反訴、契約通り「違約金500万円を払
え」と応じ、公判は提訴から約8ヵ月で結審、地裁の判決は店舗流通の全面勝訴に
終った。
裁判の結果は東京地裁が「契約は有効」の判断を示したのである。
しかし本件訴訟の中で勝訴した「店舗流通ネット㈱」側に衝撃的な事実「銀行約
款違反」を契約条項として明記していることが発覚した。
原告側が「契約無効」と訴える要件のひとつが「店舗流通ネット㈱の銀行約款違
反である」と明確に告発したのだ。
◎ 銀行約款違反の契約書
「店舗流通ネット㈱」は同社との契約者を「業務委託型店舗」と呼び「業務委託契
約書」に署名捺印を求める。契約条件である連帯保証人も同様にサインさせる。
しかし、この第34条でなる「業務委託契約書」の第13条(売上金の入金)」の5項
では「甲(店舗流通)は乙(契約者)に対し、売上金入金用として、甲(店舗流通)名
義のキャッシュカードもしくは入金専用カードを貸与する。」明確にと規定している。
「業務委託契約書」と表題され、店舗流通の代取名と契約者、連帯保証人の双方
が署名捺印した表紙には「売上金の入金口座」として「三井住友銀行渋谷支店」の
「普通 ○○○○○○○ 名義:テンポリュウツウネット(カ」と口座番号も表記されて
いるのだ。
提訴した契約者は条項通り、店舗流通名義の口座「キャッシュカードを貸与」され
神田駅前で、17ヶ月の営業期間中、毎日の売上金を入金していた。
その総額は「約27百万円」に及ぶ。
渋谷の三井住友銀行法人部に聞いてみた。「もちろん、それが事実であれば即、
口座は封鎖します。」と部長は言い「書類のコピーを取らせてください。」と口座番
号の入った「業務委託契約書」を複写して受領した。
しかし数日後、この部長は豹変し、当方の問い合わせに対して「この口座に関し
ては一切、お応えできなくなりました。」となった。理由は「言えない」との事。
○ 銀行キャッシュカード
言うまでも無く、国は税収を以って経営される。
個人であれ企業であれ、自らの「収入」を正しく申告し、行政はこの「収入」に課
税、徴収するのが法治国家の基本ルールである。
企業法人でいう収入とは、経済活動により「他社」あるいは「他者」から支払われ
た金員、ここから人件費、原材料費などの諸経費、原価を差し引いた金額が収益
になり、国はこの収益に課税する。
従って法人格である企業は「他者からの収支」を正しく申告する義務を負う。これ
は法治国家で事業を経営するものの「基本の基」である。
企業間の入金業務は「A口座からB口座へ」が主流だ。必然的に金融機関が、
これを媒介し受領、支払い業務は成立するのである。(もちろん支社、支店からの
振込みが同じ口座で行われることはある。これはキャッシュカードを発行する銀行
が、口座名義会社の組織、業務内容を確認した上で発行されるもので、他法人へ
のカード貸与は厳禁であることにかわりは無い。)
例えば入金を受ける側が、自らの銀行口座キャッシュカードを支払い側に渡し
「これで入金振込みをして欲しい」とした場合、金融機関の記録には「A社からA
社への振込み」の記録に成り「A社口座に他社からの入金」の記録は残らない。
例えば、これを故意にした場合、税務行政は企業の「入金額」を確認できない。
キャッシュカードの発行元である金融機関、銀行が「企業、個人を問わず、口
座キャッシュカードの貸与、貸し出」を口座開設契約の際の契約約款で「禁止事
項」とする理由だ。
キャッシュカードの「他社貸与」を許せば「企業への入金」は確定できないため、
ここで想起されるのは脱法行為である「脱税」だ。
○金融庁銀行局はバツ点だ!
銀行を所管する金融庁銀行局にも聞いてみた。「キャッシュカードの発行につい
ては銀行の裁量権」であり「キャッシュカードの他者への貸し出しは、銀行約款で
禁止しているのだから問題無い」との説明を繰り返す。
商業契約書条文に「銀行口座キャッシュカードを貸与する」と明記、実際に「貸与
したキャッシュカード」で、他社に入金させて居る企業があり、これは「企業の収支
隠蔽にならないのであろうか?」との疑問には「課税については財務省・国税局の
所管」と銀行局は事も無げに言う。
○財務省・国税局もバツ点だ!
国税局の所管課にも聞いた。
しかし「キャッシュカードとか銀行口座については金融庁の所管で・・・」となり「い
や、ことは都内を中心に飲食店600店舗を展開し、みずほ銀行新宿支店、三井住
友銀行渋谷支店、三菱銀行の3行に口座を開設、自社口座のキャッシュカードを3
行で600枚発行させて、年商200億円の売上げ・・・」と説明しても「やはりキャッシュ
カードや銀行に関しては金融庁で聞いて貰わないと・・・」に終始した。
行政官を取材していて何時も感じるのは、他省の所管にことが係わると急に「ホッ」
としたり、嬉しそうな表情になるのが不可解だ。
○キャッシュカード発行元・三井住友、三菱、みずほ
東京地裁の公判中、三井住友銀行、三菱銀行、みずほ銀行の3行に「店舗流通
ネット㈱」グループ企業の「無担保社債」を約1億円の所有が判明した。
「無担保社債」とは一般に一番リスクの高い社債と認識されているものだが、その
名称が示す通り、出資者に保証が無いのでハイリスクな投資と言われる。
国の認可を受けている銀行が「居抜き店舗商法」の企業に「無担保社債」で参加
しているのに驚くが、3行が自らその裁量権で規定した「銀行約款(キャッシュカード
の他社への貸与)」黙殺し、店舗流通ネット㈱が開設した預金口座で、単純計算し
てみても1行200枚のキャッシュカードを発行したことになる。
都市銀行には「節操」は存在しない。
念のため付け加えるなら、この店舗流通ネット㈱名義口座のキャッシュカードで毎
日、売上金を振り込む600店舗は別法人や個人で、同社と契約したもので、この契
約は「雇用契約」では無い。
つまり、紛れも無く「他社、他者へのキャッシュカードの貸与」であり、銀行約款の
違反にあたる。翻って言及すれば、ひとつの口座で数百枚のキャッシュカードを発
行すること自体、異常である。
三井住友、三菱、みずほの3行は、キャッシュフローが活発なお客様には「建前
制度のダメ点官吏」を横目に「約款違反」を承知の上で3行が3口座で600枚余の
キャッシュカードを発行したと解釈するしかない。
○ 東京地方裁判所公判
「店舗流通ネット㈱」を被告とする東京地裁の公判で「銀行約款違反」が明らかに
成ったのは、原告から「民事訴訟第220条2号」に基づき「文書提出命令申立書」が
提出された為だ。
申立書は、三井住友銀行・渋谷支店に、原告が営業していた17ヶ月間「店舗流
通ネット」から「貸与されていたキャッシュカード」の口座番号を指定して、同口座の
契約内容の提出を裁判所に求めたのだ。
つまり「銀行約款違反の条項が明記された契約書は税法を毀損し、公序良俗を
損なうことを証明する為」との理由である。
法的には「公序良俗に反する条項を含む契約は無効」の規定があるのだ。もちろ
ん通常社会でも「銀行約款違反」の条項が明記された契約書を是とはしないだろう。
驚愕の展開が繰り広げられたのはこの後だった。
○ 黙殺された「キャッシュカードの貸与」
原告側が繰り返し求める「銀行約款違反(キャッシュカードの貸与)」を裁判官が
黙殺したのである。裁判所は、その理由も一切、説明していない。
「店舗流通ネット㈱」の法廷代理人弁護士も同様である。もっとも被告側弁護士は
都合の悪いことは、裁判官の質問にも応えない。
いわく「契約時、1800万円の工事費の出資を条件に原告との契約を勧め、現実
には工事費が200万円と成っても、被告会社の月額金請求額は代らないのか?」
あるいは「契約期間は5年。これを17ヶ月で閉店しても被告会社の請求額はかわら
なのか?」に「会社へ帰って聞いてきます。」と言ったきり応えていない。
本裁判で特筆するのは、裁判官から原告側に「弁護士を委任するよう」繰り返し
薦めたことだ。対して当事者である原告から「本件は甚大な経済被害を受けた事
件であり、その経済的被害は弁護士を委任する経費に耐えない。最後まで自身
で戦いたい。」との上申書を提出して終った。
そして12月7日の判決である。被告「店舗流通ネット㈱」の全面勝訴である。
「店舗流通ネット㈱」と原告の「業務委託契約」は有効であり、被告会社が請求す
る「閉店違約金を契約者と保証人は支払え」とするものだった。
判決及びその前後にも、被告会社の「銀行約款違反」の事実に関する裁判長の
説明は無く「完全無視」となった。
被告「店舗流通ネット㈱」の契約者と成ったものが、17ヶ月で売り上げた約2700
万円余を「貸与したキャッシュカード」で全額入金させ「業務委託費」として約700
万円を返却(契約者は返却された700万円で、17ヶ月間の人件費、原料費、光熱
費等を負担する。)し、堪らず閉店を申し出ると「違約金1500万円(後に500万円
に減額して債務承諾させる。)」を請求する商法は『有効』と判定されたのだ。
◎ 前例主義の司法行政
本件をクライムTVが取材したのは約2年に及ぶ。本件は当初、店舗流通本社の
在る「渋谷警察署」に詐欺事件として持ち込まれた。
※ 警察組織及び東京都公安委員会
しかし、渋谷警察知能犯罪課は当事者の提出する被害届、訴状の受理を拒否し
た。理由は対応した警察官が「これは犯罪では無い」と断言するところから始まり、
契約書で「承諾」したのだから「犯罪では無い」と繰り返した。
当事者は「詐欺事件は総て、本人の承諾から始まる。」「オレオレ詐欺も被害者を
騙して入金を承諾させる。」と反論した。そもそも警察官が「被害届、訴状」を受け取
らない「これは犯罪では無い」と仕分けしたら「検察も裁判所も要らない」とも反論した。
同じ論旨を上申書として、桜田門の本庁にも提出したが「渋谷警察署の裁量権
の範疇」との判断に、同趣旨の「苦情申立(法律行為)」を東京公安委員会に提出
した。
3ヶ月程、後に東京都公安委員会からは「渋谷警察署は適切に対応している」と
「言っている。」との文書が届いた。
警察組織の一連の動きを要約すれば「前例の無い犯罪に触らない」が鉄則のよう
だが、経済犯罪を仕掛けるものは必ず「新規のセオリー」を構築して仕事に入る。
つまり、現行の警察組織は経済犯罪に無力なのだ。経済犯罪者は同じ手法を
使わない。
※ 東京地方検察庁
警視庁の判断に納得できず、本件を告訴状として東京地方検察庁にも提出した。
一月ほどして検察庁より「経済犯罪は個人の罪状で、法人格である企業の犯罪
は告訴できない。」等の趣旨による文書と一緒に告訴状は返送された。(付け加え
るが、提出された告訴状には「店舗流通ネット㈱」の代表取締役の氏名は記載され
ている。)
即、この検察の文書に「法人格であっても企業は、これを構成する個人の組織
で犯罪を行う。」検察の見解をそのまま解釈すれば「詐欺は個人ですれば犯罪」
これを「企業法人名で行えば犯罪とならない」となるする抗議文を送付した。
その後、東京検察庁から一切の回答は無い。
◎ 機能しない「御上」を支える爛熟社会
司法、立法、行政の三権分立は義務教育で教えられる制度である。
しかし「ペットの肥満に悩む爛熟した社会」は、民間と2.5倍の格差を守る官吏
族を繁殖させてしまった。
生活者にとって足元の治安を所管する司法さえ「寒い官吏」と成り果てたことを
認めるのは辛い。しかし現実は「暴力団対策法」を施行、社会から暴力団を排除す
る建前を社会に示し、暴力団の係わっていた事業に警察組織OBが居座り、上が
る収益は既得権益となった。
パチンコ業界は言わずものがな、今や経済界の株主総会を牛耳るは、全国に11
~12団体ある警察OB組織の幾つかが担当していると言われている。
警察OBが暴力団を装い「取立て」に回ったのが「肝臓売って金払え!」で注目
を浴びた「日栄」事件だが、警察組織はこの事実を隠蔽した。
最近、施行された「暴排法」もいわゆる「企業舎弟」を排除する建前のもと、長く
東西を代表する広域暴力団、最大の資金源「原発作業員の供給」を警察OB組
織に移行させた現実がある。(末端、原発作業員の待遇は、変らない。)
その警察組織を主導する「検察の調書改ざん事件」に至っては、新種のシロアリ
に足元を食い荒らされていたのと同じことだ。
◎ 自壊する宦官社会
かつて石原都知事は現代社会を「宦官政治社会」と評した。「宦官」とは中国の
阿片戦争、清王朝の崩壊をもたらした官僚主導社会の象徴である。
今や現代日本が阿片に替えて「金」を基準にして、清王朝以上の「爛熟した官
僚社会」に陥ったことは事実である。「法、制度」の基本理念が「人間社会の円滑
な運営」に根ざすコトが忘れられた社会は確実に崩壊するのが歴史の必然だ。
清王朝やローマのネロ、明治維新を例に挙げるまでも無いだろう。
罰則の無い職務規定を守られる官僚が「裁量権」を連発し、その官僚とアメーバ
のように連動する「所詮は金貸しの銀行」が特定の客にだけ、税法を阻害するのを
承知の上で「他社へ貸与するキャッシュカード」を大量に発行する。
「おいしい節税」を展開する組織は司法行政の「裁量権」にも守られながら、安
全に庶民から生血を絞り取れるのである。
仮に危うくなれば警察OBの幾人かを「参与、顧問」に派遣させれば鉄壁である。
脱税を摘発された企業に経理担当課長として急遽、国税庁OBが就任するセオ
リーもあるのだ。
◎ 「未必の故意」が行列して・・・・。
法律用語にいう「未必の故意」とは「法行為者が積極的に係わったわけでは無
いが、予測できた危険を放置したワザとの一種」だ。もちろん金融機関組織が官
僚の天下り先、最大手としての故意であると言っても良い。
居抜き店舗を商材とする「店舗流通ネット㈱」の商法にとって現物、現金確保の
カナメと成るのが「銀行約款違反を明記した業務委託契約書」で、三井住友銀行
渋谷支店、みずほ銀行新宿支店、三菱銀行の3行、3口座で600枚余の「他社貸
与専用キャッシュカード」は店舗流通商法の柱だ。
金融庁銀行局が「銀行の裁量権」と言い、財務省国税局が「キャッシュカードは
金融庁」と「未必の故意」のボケをかますのだから、3行は安心して自ら銀行約款
を違反して「600枚余のキャッシュカード」を発行できる。
契約者が「被害」を訴えた処で、警察組織は訴状を受け取らず、検察は「詐欺は
個人の犯罪で、企業に個人犯罪は・・・」とまたもやボケかましである。
仕方なく民事裁判として提訴しても裁判官は「銀行約款違反」が条文に明記され
た「業務委託契約書」の有効を判定し、原告の申し立てる「銀行約款違反」の証拠
を理由を説明せず「不採用」として「店舗流通ネット㈱」の勝訴とした。
霞ヶ関には「未必の故意族」が頑強なコロニーを組み繁殖しているのだ。
この事件にはオマケがあって余程、店舗流通ネット㈱グループの「おいしい節税」
商法が気に入ったのか、東証1部上場「ほっかほっか亭」のハークスレイ㈱がTOB
で、店舗流通ネット㈱を含むTRNコーポレーション㈱を傘下にしたことだ。
「ほっかほっか亭」は1000店舗弱のフランチャイズを展開している。三井住友銀
行、三菱銀行、みずほ銀行は果たして、この店舗数の「他社へ貸与」するキャッシュ
カードの発行に応じるのだろうか。
ちなみに三井住友銀行・渋谷支店、みずほ銀行・新宿支店の「他社に貸与された
キャッシュカード」で振込みを受ける「店舗流通ネット㈱」名義の普通預金口座は現
在も生きてランニングしている。