人間の生き血を吸う「ドラキュラ」商法、人を喰らうダーティ・ビ
ジネスの全貌が今、暴かれようとしている。ネタは低成長時代
を象徴するように、いわゆる「居抜き店舗」である。
東京・渋谷を拠点とする、この企業グループは中心となる「T
RNコーポレ-ション㈱」を含む5社で構成される。
グループの中でも「店舗流通ネット㈱」は機動部隊としての役
割を果たす会社で、その手口は飲食店に特化した「投資」話で
誘い「業務委託型店舗」と称する落とし穴で仕上げる。
昨年まで実際に17ヶ月間、東京・神田駅前店の「業務委託
型店舗」であった人物が、東京地方裁判所に提訴。悪徳商法
の全貌が明らかになった。!
当クライムTVでは「店舗流通ネット㈱」の「業務委託型店
舗」の契約書」を入手。同社の指示する「取材内容は文書
で」に応じて、取材依頼をグループと連結決済上の親会社
で、あの「ほっかほっか亭」で知られる「㈱ハークスレイ」に
本件に関する取材を申し込んだ。
しかし10日後、専任の弁護士を介して「取材拒否」の回答を
受けている
○業務委託型店舗の結末
「店舗流通ネット㈱」にのせられ「業務委託型店舗」で居酒屋を開業したら、17ヶ月間で
「加盟金」名目の130万円を加え1850万円取られた。
これでは店の営業が立ち行かず「閉店」に同意すると「違約金1500万円払え」と、保証人
までも取り立てられるのが「店舗流通ネット㈱」の『業務委託型店舗』の正体であったと、その
被害に遭ったI氏は語る。
このあくどい仕掛けは、まず「投資する」と言ってI氏に近づき、I氏がその気になると一転し
て「加盟金」取られたという。「闇金の保証金」と手口が酷似する。
「闇金の保証金」とは、経済的に困窮するものに「まず、保証金を払って入会すれば必要
資金を貸し付ける」とするもので、これは犯罪、違法である。
I氏が「投資」が受けられると思い、加盟金を払った時点で「店舗流通ネット㈱」が完全な支
配権を持ち「条件変更」するのも闇金と同じ展開だ。
I氏を支配した「店舗流津ネット㈱」は、あからさまに「投資」話から、手持ちの居抜き店舗を
背負わせる「業務委託契約」へ変更する。「業務委託」とは「外注」と同じ筈なのに加盟金を
取る矛盾の説明は無く、これも闇金と同じ、連帯保証人をも付けさせるのだ。
いよいよ、ここでI氏の神田駅前店の開店、正に開業者の「生血をすする」ような以下の現
実が展開されるのだ。!!
① 保健所の営業許可と消費税の隠匿
この手口に乗った飲食店開業者は、飲食店の営業だから所轄の保健所に自身の名前で
登録し営業許可を貰う。飲食店の名称だけは開業者の所有というが、この保健所登録も実
は同社の巧妙な手法で、開業者に「店の経営者が自分である」と錯覚させる効果がある。
加えて、飲食店だから食中毒などを出したら、この登録者の責任になるのは言うまでもな
いが、店主に「店の経営者が自分」と錯覚させ続け、後述するが「店舗流通ネット㈱」による
「消費税の隠匿」が行い易い基盤も整うのである。
ここから、ますます妙な展開に成るのだ。!
② 店舗の賃貸契約に名前の無い店主
保健所の営業許可が開業者の名前であっても、この店舗の賃貸契約書には「開業者」の
名前は無い。貸主か借主に「退去」を命じられれば法的権利も一切無い存在なのだ。
店舗の不動産は、いわゆる「転賃貸」「又貸し賃貸契約」で、不動産所有者と借主である
「店舗流通ネット㈱」の契約である。この契約は借主が所有者に無断で「又貸し」すれば違
法だが、契約時から「第三者の使用」に所有者の承諾があれば合法だ。しかし現実の「不動
産使用者」にとっては、全く救済の無い、法的に未整備の契約形態なのだ。
つまり一方的に店舗を使用する「第三者」が不利益となる賃貸契約の中で、開業者は開
店営業するのだが「店舗流通ネット㈱」は、この点を一切説明していない。
宅建法に「重要事項説明義務」なる規定があるが、法人登記の業務内容に「不動産業」を
含む同社は明らかに違反である。罰則は刑事罰の規定。
③ 毎日の売上金は「店舗流通ネット㈱」の銀行口座に全額振込み
加えて開業すれば、日毎の売上金は客から預かる消費税分も含め全額、即日あるいは3
日以内に指定銀行口座に振り込む。「売上げ報告書」も義務になるが、レジがバンキング方
式で日毎の売上額はすべて「店舗流通ネット㈱」に送信記録される。(このレジスターは「店
舗流通ネット㈱」からリースされ、なんと!店主の負担となる。)
月間1度の精算日に「店舗流通ネット㈱」の取り分(これが高額。後述する)を天引きして返
金してくるが、この間の仕入れ金や人件費、諸経費は全て開業者の負担なのである。
④ 店の経営権は全て「店舗流通ネット㈱」
「初期投資0円スタート」「新しい飲食店の展開」をキャッチコピーとする「店舗流通ネット
㈱」は飲食店の起業希望者を呼び込み、安易に「飲食店を経営出来る」と誘い込んで居る。
当クライムTVが入手した「店舗流通ネット㈱」の「業務委託契約書」では、契約者の営業
する店舗の「経営権」はナント「店舗流通ネット㈱」にあるのだ。
つまり、この「業務委託契約」で飲食店を営業しても実際の営業者は「経営者では無い」の
である。まさに「ダレがやるか!」の契約なのである。
⑤ 消費税が溶けて消える仕掛けが発覚!
消費税は顧客が払い、店舗の経営者がこれを預かる仕組みである。しかし「店舗流通
ネット㈱」の「業務委託型店舗」では、これが溶けて無くなる事実が判明した。
前述した通り、同社の展開する「業務委託型店舗」では、経営権は「店舗流通ネット㈱」の
ものである。これも前述したが「日毎の売上金は消費税分も含め即日入金」する。
しかし毎日、顧客に渡す領収書に「店舗流通ネット㈱」の社名は一切無いのだ。
領収書そのものは、同社が「業務委託型店舗」と称する飲食店にリースし、バンキングで
接続したレジスターで打ち出すのだが「店舗流通ネット㈱」のヘッドはどこにも無い。
領収書の発行人は店名(店名だけは店主のものとして契約)若しくは店主になる。但し、
何度もいうが、日毎の売上金全額は「経営者である店舗流通ネット㈱」の指定口座に即日
振込まれて居るのである。
この点では抜かりなく「店舗流通ネット㈱」は、その業務委託契約の中で「消費税は契約
者の負担」と開業者にその責任を振っている。しかし、何度もいうが経営権は「店舗流通
ネット㈱」で「日毎の売上げは消費税分も含め全額」を「業務委託型店舗」から振り込ませ
ているのである。
「店舗流通ネット㈱」は「消費税」に関して税務当局の追及を受けると、業務委託契約書
を示し「消費税は契約者の負担」と言い逃れてきた。
しかし、その「契約者」から同社に振り込まれた売上金(消費税を含む)が、月に1度の精
算の間に「溶けてしまう」仕掛けが次の「業務委託料」の項で明らかとなる。
○業務委託料が「債務」になる!
「店舗流通ネット㈱」が「業務委託型店舗」と呼ぶシステムは、その店舗の経営権が同社に
あると明確に規定している。売上報告書を提出させ、日毎の売上金を全額口座振込みさせ
ているのだから、その通りなのであろう。
つまり「店舗流通ネット㈱」が「業務委託者」なら、店主は「受託」する側にあたる。社会で
はどのような業種でも「仕事を出す側」が「仕事をする側」に対価を払うものだ。
しかし「新しい飲食店の展開」「初期投資0円スタート」と喧伝し、飲食店開業を誘う「店舗
流通ネット㈱」と契約を結んだ受託者は、同社に売上金から高額金を天引きされ、いつの間
にか同社の「債務者」になってしまうのだ。
おまけに「業務委託型店舗」の契約を結んだ店主は、自ら営業する店舗の賃貸契約に名
前も無い。不動産所有者から、あるいは「店舗流通ネット㈱」から「退去」と命じられれば、私
物を持って帰宅するしかない立場である。
日毎の売上金にしてからが、報告書付きで全額、指定振込む立場だ。
そして月1度の精算日「店舗流通ネット㈱」より「業務委託料精算書」が届く。精算書には
「店舗使用料」等の名目の高額な料金が天引きされ、残金が戻るシステムだ。
「残金」が戻ってくれば良いのだが、飲食業は社会の景気動向を敏感に反映する。月間
の総売上が、同社の天引き額を下回る事態も頻発する。
だが「店舗流通ネット㈱」の取る高額な「店舗使用料」は変わらない。
足らない月は、マイナス付きの「業務委託料精算書」が店主に届く。念のために付け加え
るが「店舗流通ネット㈱」は、大手飲食のフランチャイズのように、店で提供する食材等は
扱って居ない。
従って「店舗流通ネット㈱」の精算で、戻り金が無い場合、店主は仕入の金、店舗従業員
の人件費、光熱費等の経費の全てを工面しなければならないのだ。。
加えて売上金が「店舗流通ネット㈱」の「天引き額」に足りなかった場合、店主は保証人
共々、同社の渋谷本社に呼ばれされ「債務承認ならびに債務弁済契約書」なる書類に署
名、捺印を強制される。
通常の社会では、事業の赤字は「経営責任」の一端だが、同社の「業務委託型店舗」では
「債権者」と成ってしまうのである。闇金業者そこのけの悪どさである。
○溶けて無くなる消費税発覚!
法治国家では「税が利益に優先する」まして消費税は「顧客からの預かり金」である。店舗
の実質経営者であり、消費税分も含む売上金全額を振り込ませる「店舗流通ネット㈱」に納
税する義務があるのだ。
保健所の営業許可、自前の店名で「自分が経営する店」と錯覚する「業務委託型店舗」の
開業者だが「業務委託料」名目で売上金を取り上げられた状態、その上「足らない」などと
「店舗流通ネット㈱」から請求される環境では、顧客から預かった消費税を納税するのは困
難となるのは明白なこと。
「店舗流通ネット㈱」は国税から消費税について聞かれると店主と交わした「業務委託契
約書」を示し「店主の負担」を口実に言い逃れている。しかし、顧客が店に払った消費税は
「店の経営者で、消費税分も含み売上げ全額」を受け取るものに納税義務がある。
顧客からの「預かり金」である消費税は、誤魔化しのための契約書では無く、現金の流れ
の中に明確な「納税義務者」が居るのだ。国税庁は悪質事業者の経営実態を再度、精査し
「消費税が溶ける」実態にメスを入れるのが役割であろう。
以下は、東京・神田駅前のビル2階で、居酒屋「かこみ」を17ヶ月間
営業したI氏の実体験である。
○ 居酒屋「かこみ」
東京・神田駅前の居酒屋「かこみ」がオープンしたのは平成20年10月。
開業者、I氏は本業が店舗空調の工事業で、本業のモデルルームを兼ねて、台東区の
駒形にも、同じく居酒屋「かこみ」を経営して居た。
神田駅前店の開店は、堂々の2号店の開業にもみえた。
神田駅前店は貸ビルの2階、30坪ほどの店である。同店を開業した切っ掛けは、経営す
駒形の「かこみ」に「店舗流通ネット㈱」の営業社員が訪れたことから始まる。
「店舗流通ネット㈱」の営業社員は「神田に出物の店が・・・」と持ちかけ「資金が無い」と
断るI氏に「店舗流通は投資会社・・」「初期投資0円スタート・・」とのせた。
○ 業務受託シュミレーション
平成20年6月26日、I氏に以下の書証が「店舗流通ネット㈱」の社員によって届けられ
ている。神田駅前店の「業務受託シュミレーション」と称するものである。
左中段に「投資総額」とある。後になって「弊社は投資会社とは言って居ない」とうそぶく
が「店舗流通ネット㈱」で作成し、I氏に届けた書証である。
「初期投資0円スタート」と、起業希望者に呼びかける会社が契約者宛に発行した書証
の「投資総額」とは、契約者に同社が「この額を投資する」との意味に取れるものでもある。
投資総額の下に「店舗内装、設備費」として「¥18,800,007」の金額が見える。その下、
「イニシャルコスト」とあるのが「加盟金」である。(I氏は「¥1,500,000」とある加盟金を
¥1,300,000に圧縮して貰ったという。)
○「想定売上高」のトリック
シュミレーションの中央に「売上増減率」「想定売上高」と続くが、中心となる数値に契約者
を追い込む目的で数字を羅列している。。つまり「想定売上高¥4,500,000」である。
神田駅前の店は、前契約者(鶏の蒸し焼き店)が「月商¥3,500,000揚げて居た」とI氏は
同社営業社員に聞かされていた。「想定売上4百50万なら会社の審査が通る」「神田は店
の立地が良いから他からも引き合いが多い」と結局、意味も判らず同意させられた。
「会社の審査に掛ける事業計画書を提出して欲しい」I氏は営業社員の求めるまま「月間
想定売上高¥4,500,000」として、社員の指示する様式で事業計画書を作成して渡した。
I氏が自ら売上高を想定し、事業計画書を作成して「審査を求めた」との体裁を偽装する
「店舗流通ネット㈱」の手口である。
加えて、実はこの「想定売上高」に大きな意味合いがあったことを後で知ることになるのだ。
○ 「売上管理料は・・・・高いほうの3%」
「店舗流通ネット㈱」が「業務委託契約」と称する書類の第14条第1項によれば、売上管
理料として「・・予想月間総売上高の3%の金額もしくは月間総売上高の3%の金額のいず
れか高いほうの金額を支払う。・・・」と規定している。この条項をI氏の神田店の営業期間の
17ヶ月間でみると、売上最高月が「¥2,500,000」ほどで「店舗流通ネット㈱」に天引きされ
たのは「想定売上高¥4,500,000の3%」の「¥135,000」であった。
売上最低月の「¥900,000」であっても、同じく売上管理料は「¥135,000」天引きされて
いた。ちなみに営業期間中の17ヶ月間「店舗流通ネット㈱」が「想定売上高¥4,500,000」
は一度も実現されていない。
○「初期投資」は2百万円だけ?
「店舗流通ネット㈱」の作成した「業務受託シュミレーション」に戻る。
シュミレーション左中段の「投資総額¥26,188,737」に対して、次の「イニシャルコスト・加
盟金¥1,500,000」(これをI氏は¥1,300,000に圧縮して貰ったと言っている)が契約者
の負担となる意味であろう。次にくる「ランニングコスト(月次)¥1,333,221」がI氏から「店
舗流通ネット㈱」へ毎月支払う金額となる。
つまり「店舗流通ネット㈱」の「投資総額」に対して、I氏は当初の「加盟金と月次のランニ
ングコスト」を負うとの意味になるのだ。
○ 内外装工事はI氏が請け負う
前述した通り、I氏の本業は店舗空調の工事業である。「店舗流通ネット㈱」との契約に先
立ち、神田駅前店の内外装工事はI氏に請け負わせて欲しいと付帯条件を付けた。
「店舗流通ネット㈱」は「契約者が工事をするのは不味い」と渋ったが「工事は別会社名義
なら」と妥協した。I氏は神田店が開店した時点で、責任者として雇用する予定であったMさ
んに依頼し「サンライズプランニング」なる社名と、Mさんの銀行口座で工事を請け、実際の
工事はI氏が行うことで「店舗流通ネット㈱」の承諾を得た。
工事を請け負ったら「工事予算」である。「店舗流通ネット㈱」から帰ってきた回答は「消費
税込みで2百万円」というものだった。
交渉しても「これ以上は、まったく無理」という。すでに「業務委託契約」を済ませた後でも
あり、I氏には成すすべ無く、工事は終了、店は予定通り平成20年10月に開店した。
この工事の費用、2百万円以外、神田駅前店が開店以降、I氏は一切「店舗流通ネット㈱」
から受け取って居ない。つまり「店舗流通ネット㈱」はI氏の神田駅前店の開店までに2百万
円を負担したのみなのである。
○単純計算で「年利320%」の高利!
しかし「店舗流通ネット㈱」が、I氏の売上金から毎月「店舗使用料」として天引きしたのは
「¥1,207,221」である。
前述した「業務受託シュミレーション」の「投資総額¥26,188,737」に対する「月次ランニ
ングコスト」である筈が「店舗流通ネット㈱」の「初期投資¥2,000,000」だったのだ。
「店舗流通ネット㈱」の「投資総額¥200万円」と、I氏の天引きされた「店舗使用料」を単
純に金利計算すると「年利320%」の高利となるのである。もちろんこれは出資法違反となり
刑事罰の対象である。
○錯誤に誘い込む「業務委託契約」
「初期投資0円スタート」「新しい飲食店の展開」「物件0円」等々、飲食店を起業したい者
を誘うキャッチコピーで「自分の店が持てるカモ」と思わせるのが「店舗流通ネット㈱」の商法
「業務委託型店舗」である。
しかし、これに乗った契約者は「経営権の無い店主」であり「店の賃貸契約にも名前が無
い店主」となる。何よりも「売上金は全額振込み」が条件だが「店舗流通ネット㈱」そのものが
作成した「業務受託シュミレーション」でも、売上の「65%」と試算する「仕入れ、人件費、諸
経費」を自ら調達するのである。
月に一度「店舗流通ネット㈱」から返金される金額が、この経費の65%に満たなければ、
店主が調達しなければならない。赤字金額は店主の責任なのだ。
加えて、年利320%に及ぶ「店舗使用料等のランニングコスト(月額120万円)」が振り込
んだ売上金で足りないと、連帯保証人共々、本社に呼ばれ「債務承認ならびに債務弁済契
約書」なる書類に署名、捺印させられるのだ。書類は「借金として認める。借金は払う」という
契約書なのだから、ここから闇金手法である。
また、この「高額天引き金」に店が立ち行かないと、これも「店舗流通ネット㈱」から一方的
に「業務委託契約の解約」を申し渡され「契約違約金」が請求されるのだ。
神田駅前店を解約されたI氏は、なんと「契約解約金¥15,556,946」を要求され、抗議し
た結果「では5百万円にしてやる」となり平成22年1月末、閉店した。
閉店後は早速、保証人共々、債権者となった「店舗流通ネット㈱」の社員に追われている。
○ 『業務委託型店舗』って何?
本来「業務委託」とは労働契約で外注、アウトソーシング、下請け業務などの契約に使わ
れる表現だが、法の整備が行き届いていない部分で訴訟沙汰も多い。
飲食業界のフランチャイズ展開をしている大手ファーストフードなどでも、直営店に対し
てフランチャイズ店を「業務委託店」と呼ぶ場合もある。
これはフランチャイズグループのブランドとなる店名「マック」や「ケンタッキー」などの名
称を基に、食材やサービスのノウハウを共通のものにするフランチャイズ展開の便宜上の
形態で単純に直営店とフランチャイズ店を区分する目的の呼称だ。
○店舗流通ネット㈱の「業務委託型店舗」は別モノ
ところが、東京・渋谷を本拠とする「TRNコーポレイション㈱」を中心に5社で構成される
グループ企業で展開する「業務委託型店舗」とは、フランチャイズ店と基本的に異なるシロ
モノである。大手のフランチャイズの呼称の業務委託店に「便乗している」ものだ。
従って、このグループの「業務委託型店舗」となっても店名は共通では無く、各々で付
けたもので営業する。もちろん食材の仕入れから加工、サービスのノウハウも全て自前とな
るのだ。
本件の『業務委託型店舗』とは「イカリソース詐欺事件」で連座した創業者(今は株主)が
会社法人「店舗流通ネット㈱」で構築した同社の主力商品である。
また同社は、一時あの「村上ファンド」までを翻弄したことで判る通り、証券取引所
への上場とキャピタルゲイン(資本利得)を期待する一般投資家からの資金調達を
目的とした企業と言ってもよい。
○ TRNコーポレイション㈱
東京・渋谷を本拠とする会社「TRNコーポレイション㈱」は5つの会社(店舗流通ネット㈱・
店舗サポート㈱・店舗プレミアム㈱・TRNアセッツ㈱)で構成されるグループ企業で、名古
屋証券取引所セントレックの上場会社である。「ほっかほっか亭」で知られる東証上場の
「ハークスレイ㈱」と取締役が交差する連結子会社でもあるのだ。
このグループ企業が商品とする「飲食店に特化した業務委託型店舗」は単純に「不動産
と金融」の二つの要件で構成されて居るもので、現実に「店舗流通ネット㈱」の法人
登記に「業務内容」として「金融業・不動産業」と明記されてもいる。
しかし、その実態は「出資法違反の高利、宅建法・重要事項説明義務違反」を「飲
食店に特化した投資会社」の看板で糊塗する企業グループで、役員の中心となる
のは元リース業界の出身者達である。
唯、対外的には「飲食店経営のエキスパートグループ」を演出している。飲食店を
テナントとする不動産所有者を取り込むのが第一目的だから、飲食店出店希望者
が同グループのもとに多く集まっていることを演出する必要があるのだろう。
○「押しかけ」「割り込み」も在る
東京・恵比寿の不動産所有者からも取材した。
店舗のテナントは寿司のフランチャイズ店だが「店舗流通ネット㈱」の経営幹部から「寿
司店の経営を替わりたい」と言って来たとのことだ。
つまり、寿司のフランチャイズ店はそのままに、店の賃貸契約を「店舗流通ネット㈱」との
転賃貸契約に変更、店主は「業務委託型店舗」に成るというものだ。
店舗賃貸時の「保証金」を「寝かしておくのは、もったいない」と店主を説得し「店舗流通
ネット㈱が保証金を肩代わりする」と言って店主を「釣り上げる」のである。
この誘いに乗って「店舗流通ネット㈱」の「業務委託型店舗」に成ってしまえば、I氏の神
田駅前店と同じ仕組みが展開するのである。
高額の「店舗使用料」の天引きと「債務承認ならびに債務弁済契約書」そして「違約金」
の「請求地獄」が待っていることになる。
○ 総 括
「自己中」なる表現が定着した。「他の迷惑を考慮せず、自らの利益にしか関心の無い人
物」の略称ともなった省略語なのである。
本件の元凶となる「店舗流通ネット㈱」の「業務委託契約書」こそ、その「自己中」の文章見
本であり、遂に「自己中」表現がパーソナルからネットワークにまで拡散された事実に慄然と
させられる。
間違っても法曹関係者が、この「業務委託契約書」の条文作成に参加して居るとは思えな
い内容で構成されているのだ。公序良俗に反する条項の羅列、法令の未整備部分を切り
貼りし、自らの利益部分のみを抜粋して構文しているが、大きな欠陥をも内包している。
例えば、本契約書全文が法で禁じる「権利の濫用」そのものなのだ。昨年、公正取引委員
会でも独占禁止法の中で「優越的地位の濫用」を明確に禁止する考えを示した。
これは「契約の双方の当事者の立場の強さの違いに基づいた弱者保護規定」である。
契約内容の「優位的地位の濫用」を法的に指摘されれば一転、その権利の濫用者に取っ
不利益な法規定が連座している。
リース業者が中心となり「飲食店に特化した投資会社」を装うことで、違法となる闇金手法、
悪徳不動産の手法を糊塗して「業務委託契約」と称するものを結んでも、法治国家では無
意味なのである。
○事後従犯の社会機構
一方、本件はこのところ社会倫理の上位に居座る「拝金主義」を象徴する案件だ。
まず、自由経済の発信拠点、証券取引所東証が「ハークスレイ㈱」の上場を維持し、名証
セントクレアが「TRNコーポレイション㈱」に上場を許している。
証券取引所が企業のキャッシュフローのみを基準にして居るのは明白だが、資金調達の
場にこそ社会倫理を導入しなければ、健全な経済社会は崩壊する。
「金に戸籍なし」の論理で上場を許し続けるなら、社会は修羅場そのものに転落する。
また安易に「賃貸借法」の未整備な「転賃貸契約」で「店舗流通ネット㈱」に所有不動産を
賃貸する店舗所有者も責任無しとは言えない。証券取引所上場会社に「賃貸した」と言っ
ても「生き血を吸う」ダーティなビジネスの舞台を提供していることは事実なのである。
例えばI氏が営業していた東京・神田駅前店は、JRなどの広告を扱う広告代理店(当クラ
イムTVから取材を申し込んだが「遠慮したい」との回答)の所有不動産だが、この貸しビル
の2階店舗でI氏は2番手の営業者にあたる。
I氏の前に「鶏の蒸し焼きの店」が営業して居たが9ヶ月で閉店している。そしてI氏の後、
現在もう1軒が居酒屋を営業中なのである。ひとつの店舗で、3年余の間に数千万円を上
げたことになる「店舗流通ネット㈱」のダーティ商法に、不動産所有者が社会的「責任無し」
とは言えまい。
他方、本件は相変わらず「経済事件」に脆弱な司法行政官の低レベルを露呈している。
治安を守る筈の検察、警察組織の「未必の故意」が投売り状態なのである。
現行犯か粗暴犯にしか機能しない幼稚な警察、検察、保身のため「民事、刑事の仕訳」
に執着する司法行政官は、経済を以って経営される社会で有効な存在ではない。庶民感
情から遊離してしまった検察、警察組織は「冤罪」を創出し、証拠を捏造する。
庶民から選抜された司法のシロウトである「検察審査会」が「白を黒」と結論付け、この方を
庶民が納得する現状は司法行政の劣化を鮮やかに象徴するものだ。社会の潤滑油である
経済と、庶民生活の治安を守る役割を、保身のために放棄する司法行政は結果的に経済
犯罪者を利することになるのだ。
加えて、国税までもが「消費税」の目くらましを黙殺していることはすでに述べた通りである。
経済社会の中で「経済犯罪」の摘発に役立たない行政官は然ることながら、われら庶民が
頼るのは法の因って成る処、裁判所の公正な判断を期待し待つのみだろうか。
当クライムTVでは公判での展開と、本件に係わる関係者の取材を続行し逐次、事件の推
移を引き続き発表する所存である。
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