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【淫魔SS】妖狐周子「あたしの居場所」
1名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 17:24:35 ID:RgHgdocw
淫魔塩見周子が妖孤のスパイで
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/internet/20196/1476543443/l50

という先人のスレを参考にして書いてみました

一度は落とされましたがホワイトグリントが好きなので再起動です

2名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 17:25:23 ID:RgHgdocw
“魔王城”
魔王美波「……以上で活動報告は終わりね」

淫魔志希「ふわぁー、やっと終わったよー」

淫魔美嘉「まじめにやりなさい志希。曲がりなりにもアタシ達は人間の敵、狙われる立場なんだから」

淫魔フレデリカ「フンフンフーン♪まるでアイドルの追っかけみたいだねー♪」

淫魔奏「アイドルね……私達はそんないい立場じゃないと思うけど……」

淫魔周子「お腹すいたーん、もう帰ってもいいー?」

魔王美波「……あなたたちの自由奔放ぶりには頼もしさすら覚えるわ。今日はもう解散よ」

3名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 17:26:32 ID:RgHgdocw
淫魔美嘉「さてと、皆これからどうする?」

淫魔フレデリカ「こんな時でしかLippsも全員集合しないしご飯でも食べいくー?」

淫魔周子「あーごめんアタシパスで、ちょっと行くところあるんよねー」

淫魔奏「あら、残念ね」

淫魔志希「やめとけ!やめとけ!あの子は付き合いが悪いんだ
『飛鳥くんでも搾ろうぜ』って誘っても楽しいんだか楽しくないんだか……
『淫魔周子』18歳独身。仕事はまじめでそつなくこなすがいまいち情熱の無い淫魔……
なんかエリートっぽい気品漂う顔と物腰をしているため配下の淫魔にはもてるが
美波からは諜報とか使いっぱしばかりさせられてるんだぜ
     悪い奴じゃあないんだがこれと言って特徴のない……Lippsの中でも影の薄い淫魔さ」

淫魔美嘉「詳しい説明どーも、みんなよく知っているわよ。というか付き合いが悪いって一番自由人なアンタが言うことそれ?」

淫魔周子「そんじゃねー」ヒラヒラ

4名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 17:29:42 ID:RgHgdocw
淫魔美嘉「行っちゃったね」

淫魔志希「てかしゅーこちゃんっていつも付き合い悪いよね、そりゃあ私が言えた話じゃないけど」

淫魔フレデリカ「志希ちゃんは一応魔王城にはいるからねー。いっつも変な薬調合したりして」

淫魔奏「外に出かけてどんな楽しいことやっているのかしら……まあ全員集まれないならしょうがないわね、私も好きにさせてもらうわ」スタスタ

淫魔美嘉「えっ?どうせだから私達だけでも……」

淫魔志希「じゃあ私も実験室にいこーっと♪」パタパタ

淫魔美嘉「ちょ、ちょっと待ってよ!ああ行っちゃった……」

淫魔フレデリカ「リーダーを任されてるのにLippsはまとまりがなくて大変だねー。オランジェット食べる?」

淫魔美嘉「……ありがと」

5名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 17:31:22 ID:RgHgdocw
“森”
ザッザッザッ

淫魔周子「さて……だいぶ奥の方までやってきたね」

淫魔周子「ここなら魔王軍もいないだろうし、変化の術を解いて……」

ブワァッ!

妖狐周子「ふーさっぱりした。城の中じゃシッポなんて出せないからね」

妖狐周子「魔王軍にスパイとして潜入してしばらくたつけど、そろそろアタシの行動に不信感を抱かれてもおかしくないかな……」

妖狐周子「淫魔としての活動もまあまあ楽しかったけど、そろそろ中核の情報でも貰っておさらばしないと」

妖狐周子「あの子たちなんかにこの世界は渡さない……我々を迫害したニンゲンどもを支配して妖狐は再び栄えるんだ……!」

6名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 17:32:22 ID:RgHgdocw
妖狐周子「ふわぁ~~~あっと。それにしても久しぶりにゆっくりとした時間とれた~~~」

妖狐周子「ここら辺は魔王軍の拠点とするような場所もないし、ニンゲンの街も近くにないし……昼寝しちゃおっと」

ぽふっ

妖狐周子「ふぃ~~~~……やっぱ自分のしっぽ枕はええわ~……」

妖狐周子「スー……スー……」

7名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 17:35:02 ID:RgHgdocw
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「いたぞ!妖狐の一族だ!」

「よくも俺たちを騙してくれたな!嘘つきのキツネ野郎が!」

待って、あたし達何もしてないよ?ずっとこの村を守ってたのになんで武器を向けるの?

「殺せ!妖狐どもを俺たちの村から追いだすんだ!」

「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」

「あなたは逃げなさい周子!ここはお母さんとお父さんが食い止めるから!」

嫌や!あたしお母さんと離れたくない!

「こんな時ぐらい親のいう事聞かんかい!さんざ迷惑かけて勝手に死んだら承知せんぞ!」

お父さん!あたしまだお父さんに謝ることたくさんあるのに…!こんな最期なんて嫌!

「があっ……!!に……にげて……周子……」

「……悪かったな、いつもお前には怒鳴ってばかりで……」

嫌……こんなの嫌……!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

8名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 17:35:32 ID:VxdQypEA
尻尾何本くらいあるんでしょうね

9名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 17:37:37 ID:RgHgdocw
妖狐周子「嫌あああーーーーーっ!!!」ガバッ

妖狐周子「はあ……はあ……またあの時の夢を……」

妖狐周子「お父さん、お母さん……絶対、仇はとってあげるから……!」ググッ…

「どうかしはりました?」

妖狐周子(!?まずい!尻尾を隠さないと!)シュンッ

村娘紗枝「確かこっちから声が…あらまあ、えらいべっぴんさんやなあ」

周子(み……見られた……?)

村娘紗枝「さっきなんや叫び声が聞こえはりましたけど、虫でもいはったんやろか?」

周子「い、いや……ちょっと悪い夢を見てて……」

村娘紗枝「そうやったんやなあ、こんな天気のいい日に悪夢だなんて……悪夢さんも気を利かしてくれたらええのに」クスクス

周子(な、なにこの子?)

10名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 17:38:08 ID:aznHR0ik
妖狐と結託する黒い鳥や山猫の出番もありそう

11名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 17:38:39 ID:RgHgdocw
あれーおかしいね書き込んでもageられないね

12名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 17:44:08 ID:RgHgdocw
村娘紗枝「ああ、自己紹介せんとですね。うちはこのあたりの村に住んでいる紗枝って言うどす。どうぞよろしゅう」

周子「紗枝はんね、あたしは周子っていうの。今日は住んでいるところから遠出してきたんだけど……このあたりに村なんてあったの?」

村娘紗枝「地図にも載らんような小さな村やからなあ、村人以外を見るのも最近はずいぶん無くて……」

周子(まさか村があっただなんて……もうここにも来れないか)

村娘紗枝「よそから人が来るなんて久しぶりでなんや楽しゅうなってきました。よかったら村へ……あれ?」

周子「あーごめんね、あたしそろそろお暇しようと……」

村娘紗枝「そ……その耳……」

周子「耳?……っ!」サワッ

妖狐周子(ま、まさかシッポだけに気を取られて耳は出してた!?)

13名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 17:45:59 ID:RgHgdocw
村娘紗枝「ま……まさかあんさんは……」

妖狐周子(こうなったら口封じするしかない!妖術を使って一瞬で燃やしてやる……!)

村娘紗枝「お稲荷様やったんやね!」

妖狐周子「は?」

村娘紗枝「これはえらい事やわ!さっそく村でもてなしをさせてもらいます!」グイッ!

妖狐周子「お、お稲荷様?何言ってるの?」

村娘紗枝「ささっ!村はこっちの方にあります!」ググググイッ!

妖狐周子「ちょ、ちょっと待ってー!話が飲み込めないからー!」

14名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 17:47:18 ID:RgHgdocw
“村”
村娘紗枝「みなさん!なんとこの村にお稲荷様が来はってくれました!今日は盛大にお祭りどす!」

村人A「おおっ!確かにキツネの耳が生えている!お稲荷様だ!」

村人B「ありがたやありがたや!お稲荷様がこの村に来て下さるなんて!」

村人C「お稲荷様!こっちを向いてください!」

妖狐周子「は……はあ……」フリフリ

村人D「きゃー!お稲荷様が私に手を振ってくれたわ!」

村人E「違うわ!私に振ってくれたのよ!」

村娘紗枝「くすっ、周子はん人気者やなあ。ちょっとさみしくなりますわ」

妖狐周子「えーっと…………何これ?」

15名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 17:50:15 ID:RgHgdocw
“夜・紗枝の屋敷”
村娘紗枝「周子はんどうでした?この村は気に入ってもらえました?」

妖狐周子「あの、聞きたいことはいろいろあるんだけどまずお稲荷様って何?」

村娘紗枝「ああすんまへん。お稲荷様は自分がそう呼ばれてるって知らないんどすなあ。ウチ達は狐の神様を信仰していてお稲荷様って呼んでるんどす」

妖狐周子「狐を……信仰……」

村娘紗枝「せやから周子はんが来てくださってみんなあんな喜んどったんどす。本物のお稲荷様なんてウチのばあ様でも今までみた事無いいうし」

妖狐周子「……私が怖くないの?憎くないの?」

村娘紗枝「怖い?憎い?なんでですか?」

妖狐周子「いや、ええよ……」

16名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 17:52:39 ID:RgHgdocw
村娘紗枝「周子はん、今日は遠くからきはったらしいけどそっちに帰るんやろか?」

妖狐周子「あっ……うん、そうやね」

村娘紗枝「そうどすか……でもウチの屋敷には空き部屋がぎょうさんあるからいつでもこの村に来てください。村人皆で歓迎しますえ」

妖狐周子「んーまあ考えとくよ。じゃあ今日は紗枝はんのとこに泊まらせてもらうね」

村娘紗枝「どうぞどうぞ、部屋ばっかり余っててなんや寂しかったところどす」

17名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 17:54:14 ID:RgHgdocw
村娘紗枝「それじゃあなんやあったらいつでも呼んでください。おやすみなさい」

妖狐周子「うん、おやすみーん」

パタッ

妖狐周子「狐を信仰する村か、まさかこんなところがあっただなんてね」

妖狐周子「それにこの村はどうやら妖狐の事を知らないみたいだ。大きな街から離れてるようでよかった……」

妖狐周子「でも長居は無用だね、こんなに騒がれたらいつかぼろが出てしまうかもしれない」

妖狐周子「ニンゲンなんて、祀り上げておきながらちょっとでも恐怖が伝播するとあっさり手のひらを返すんだ……」

妖狐周子「魔王軍を抜けたらまずここを足掛かりにしてニンゲンどもを支配してやる……!」

18名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 17:55:56 ID:RgHgdocw
“翌朝・村”
村人A「お稲荷様……もう帰られてしまうんですか……」

村娘紗枝「そんな言い方女々しいで?お稲荷様にも帰る場所があるんやから」

村人B「でも、よかったらこれからここを第二の故郷にしてください!いつでも歓迎しますので!」

妖狐周子「ありがとーん、でもこれからは無理かなー。ここはもうあたしの故郷みたいなもんやし」

村人C「おお!それは本当ですか!」

妖狐周子(妖狐が支配する最初の村として……ね)

村人D「それでは道中お気を付け下さい。あっ、お稲荷様ですから森ぐらい大丈夫ですね」

妖狐周子「それじゃあいつかまた来るからさー、またおいしいご飯用意しててね」

村娘紗枝「あっ、周子はんこれを」

妖狐周子「何これ?」

村娘紗枝「ウチが作った菓子どす。よかったら道中食べてください」

妖狐周子「お菓子か……ありがと、それじゃあね」

19名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:00:06 ID:RgHgdocw
“森”
妖狐周子「さてと、いい気晴らしにはなったかな」

妖狐周子「早く帰んないとみんなに怪しまれるかな……まあどうにかなるでしょ」

ぐぅう~~~~~

妖狐周子「……おなかすいたーん。そう言えばあそこの村娘からお菓子貰ってたっけ」

妖狐周子「今食べよっと、まさかこれに毒が入ってるなんて回りくどいマネはしないだろうし」

カパッ

妖狐周子「こ……これは……!」

20名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:03:57 ID:RgHgdocw
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ねえお母さん、これってなんやの?」

「これはね、『八橋』ってお菓子よ。餡を生地で包んだ甘いお菓子なの」

「甘いお菓子!?食べたい食べたい!」

「周子、お前もたまには自分で菓子作ったらどうだ?せっかく俺と母さんで教えてやるっていうのに」

「いいの!お母さんとお父さんは作るのが仕事で、ウチは食べることが仕事なんだから!」

「全くお前は……」

「うふふ、いいじゃないあなた。周子も自分の子供ができたら作るようになるわよ」

「俺が死ぬまでに相手が見つかればいいがな……ただでさえ妖狐は数が少ないんだから」

「おいひ~い!お母さんもっと頂戴!」

「はいはい、そんなに急いで食べなくてもいっぱいあるわよ」

「おい、村人さん達に渡す分まで食うんじゃねえぞ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

妖狐周子「八橋……お母さんが昔作ってくれた……」

妖狐周子「ヒグッ……グスッ……!お母さん、お父さん………会いたいよ……!」

21名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:05:25 ID:RgHgdocw
“魔王城”
淫魔周子「ただいまーん」

淫魔フレデリカ「おかえりーん。朝帰りだなんてなんかパクッと食べてきた?」

淫魔周子「あたしは美波ほど節操なしじゃないよ……」

淫魔美嘉「周子、仮にも美波は魔王様なんだからそういう事いうのは止めときな」

淫魔周子「はーいごめんねー。まあ美波あんま気にしてないみたいだし大丈夫っしょ」

淫魔志希「んん~~~?なんかしゅーこちゃんから甘い匂いがするね~~なんかお菓子でも食べた?」ハスハス

淫魔周子「へ?よくわかったね」

淫魔奏「あら、周子ちゃんは色気よりも食い気かしら。どこに行ってきたの?」クスクス

淫魔周子「……まあちょっとニンゲンの街を見に行ってね~珍しそうな菓子を売ってたから食べたんよ」

淫魔美嘉「へー、今度あたし達も連れてってよ。みんな一緒じゃさすがにまずいけどさ」

淫魔周子「でもあれ流れの菓子屋さんっぽかったからね~次は無いかも」

22名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:09:45 ID:RgHgdocw
“周子の部屋”
淫魔周子「あのお菓子……昔お母さんとお父さんが作ってくれた味にそっくりだった……」

淫魔周子「……また食べたいな。あの村に行けば……食べられるかな」

淫魔周子「情報はあらかた集め終わったし……ちょっとぐらい寄り道しても大丈夫だよね?」

23名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:12:19 ID:RgHgdocw
“数日後・村”
村娘紗枝「畑の方はどうどす?」

村人E「あっ紗枝さん。今年は豊作ですよ!お稲荷様がきてくれてからよく育ってます!」

村人F「お稲荷様のご利益ですね。ありがたいことです」

村娘紗枝「ふふっ。確かにお稲荷様のおかげもあるかもしれへんけどあんさんたちが毎日しっかりとお世話してくれてるおかげでもありますえ?」

村人G「紗枝さん……わ、私もっと頑張ります!」

村娘紗枝「ありがとうなあ。今年の収穫祭は今まで以上に盛大になりそうやわ。……あら?」

妖狐周子「やあみんな。元気してた?」

村人H「お稲荷様だ!お稲荷様が来たぞ!」

村人I「来てくださったんですねお稲荷様!朝っぱらからありがとうございます!」

24名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:15:39 ID:RgHgdocw
村娘紗枝「周子はん!またきてくれはったんやね!」

妖狐周子「いやー紗枝はんのお菓子が気に入ってね、また来ちゃった」

村人J「ちくしょー酒もってこい酒!今日はとことんバカ騒ぎしてやる!」

村娘紗枝「朝から何言うてはりますの、お酒はお仕事がおわってからや」

村人K「すまない……ただちょっと酒盛りがしたくて……」

妖狐周子「あはは……こんなに熱烈に歓迎されると照れるわ……」

村人A「実はお稲荷様を祀る社を作っているところなんです!像も作っているのでよかったら見てください!」

妖狐周子「ほんと?ありがたいねぇ~」

村娘紗枝「そしたらすぐにでも八橋作りますんでうちの屋敷で休んでください」

25名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:16:25 ID:Qg3mIsA6
ええぞ!ええぞ!

26名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:17:31 ID:RgHgdocw
“紗枝の屋敷”
村娘紗枝「すぐできるんでちょっと待っとってください」

妖狐周子「あっ、ちょっと待って。あたしも一緒に作ってもいい?」

村娘紗枝「周子はんお菓子作れるんどすか?」

妖狐周子「昔取った杵柄ってやつ。まああたしは作るよりは食べる方が得意なんやけど」

村娘紗枝「くすっ、お稲荷様と一緒にお菓子作りができるなんて皆に自慢できるわあ」

27名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:18:12 ID:RgHgdocw
妖狐周子「ほいほいーっと、こんなかんじかな」

村娘紗枝「えろう手際がよろしいどすなあ。見てて惚れ惚れとしますわ」

妖狐周子「へへっ、腕が錆びついてないみたいでよかったよ。これで完成かな」

村娘紗枝「あっ周子はん、最後の工程を忘れてはりますよ」

妖狐周子「げっ、ほんと?」

村娘紗枝「結構抜けてはりますなあ。食べるのが専門なだけはありますわ」クスクス

妖狐周子「あはは……どーも久しぶりでまいっちゃうね……」

28名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:22:04 ID:RgHgdocw
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「おい周子、お前最後の工程忘れてるぞ」

「えっ?ほんまに?」

「お前手際が良くてテキトーにやっても何とかなるからこういう間違えするんだよ。もう一回最初からだ」

「えー!また作るのー!?」

「何言ってやがる、村人さん達に感謝の気持ち込めた菓子を作りたいって俺に頼んだのはどこのどいつだ。やり直せばまたきちんとしたのができるだろ」

「……そうやね、お父さんウチがんばる!」

「このやる気がいつも出てくれたら助かるんだがなあ……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

29名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:27:01 ID:RgHgdocw
村娘紗枝「周子はん、泣いてはりますの?」

妖狐周子「えっ、あれ、なんで涙が……」ポロポロ

村娘紗枝「なんや辛い事でも思い出したんどすか?」

妖狐周子「ちがっ、あたし、昔もお父さんに同じこと言われてっ、それでっ」ポロポロ

村娘紗枝「お父さんに怒られて泣いてしまったん?」

妖狐周子「違くて、お父さん、怒ってたけど、いつもあたしの事大事に思ってて、ほんとは優しくて」ポロポロ

村娘紗枝「…………」ギュッ

妖狐周子「ううっ……うわぁああああああん!!!!」

村娘紗枝「辛いことあったら泣いてもいいんよ、うちの胸で良かったらいくらでも貸しますから……」サスサス

妖狐周子「お父さんっ……!お母さんっ……!」

30名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:28:29 ID:RgHgdocw
“数時間後”
妖狐周子「…………ん~っ……あれ?ここは……」

村娘紗枝「目が覚めました?」

妖狐周子「紗枝はん……そうだ、あたし泣いた後に眠っちゃって……」

妖狐周子(紗枝はんの顔が近くに……ってこの体勢!膝枕!?)

村娘紗枝「まだ寝とってもええよ、起きたばっかりで頭はまだねむっとるやろ」

妖狐周子「もしかして……あの時からずっと膝枕を?」

村娘紗枝「こんぐらいどってことないどす。それに周子はんの寝顔も独り占めできて楽しかったどす」

妖狐周子「……もうちょっとだけ、こうしててもいいかな?」

村娘紗枝「どうぞ、ゆっくり眠ってください」ナデナデ

妖狐周子「んっ……」

31名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:29:09 ID:RgHgdocw
妖狐周子「ありがとう紗枝はん、もういいよ」

村娘紗枝「そうどすか?なんやもったいない気もするなあ」

妖狐周子「あたしも紗枝はんの膝から離れるのはもったいないって思っとるよ。さて……」

グウゥ~~~

妖狐周子「……おなかすいたーん」

村娘紗枝「くすっ、周子はんえろういい具合に起きましたわ」

妖狐周子「え?」

村娘紗枝「実はさっき周子はんの社ができたんどす。今日は完成記念にお祭りがあるんよ」

妖狐周子「おっ!ほんまに!?八橋もある?」

村娘紗枝「ええ、たくさんあるから好きなだけ食べてください」

32名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:30:08 ID:RgHgdocw
“村の集会所”
村娘紗枝「今日はついに社ができました。そしてこのめでたい日にお稲荷様がまた来てくださりました」

村人A「像も立派なヤツ建てましたよ!」

村人B「ちょうどいい時期にまたお稲荷様がきて下さるだなんて……!」

村娘紗枝「今夜は完成祝いのお祭りどす。食事にお酒、音楽に演舞と楽しみましょう」

ワアアアアアアアアアアアア!!!!

妖狐周子「いや~何だか照れるな……」

33名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:30:38 ID:RgHgdocw
妖狐周子「おいしー!これすっごいおいしいね!」

村娘紗枝「周子はん楽しんどりますか?」

妖狐周子「うん!ご飯は美味しいし音楽や演武はきらびやかでめっちゃ楽しい!」

村娘紗枝「ほんまですか?よかったわあ」

村人H「お稲荷様ァ! 我々の演舞に気付いてくだされお稲荷様!!」

村人I「そうだ!! それが希望の顔だ!!」

村人J「ちくしょう緊張がハンパねェ」

村人K「ガハハハハハハハハハ」

ズルッ

村人H「なんだここは!滑るぞ!」

村人I「汗!これは私がさっきかいた汗か!」

村人J「ちくしょう!!体制を立て直して… くっ クソッ」よじよじ よじよじ

村人K「失敗だ!演舞は失敗だ!」モガモガ

ドッ!ワハハハハハハハハハ!

村娘紗枝「あらあら……あの四人ったらお稲荷様が演舞を見てるから緊張しきっとるわ」

妖狐周子「でもいい笑顔でみんな楽しそうやね。ねえ紗枝はん……」

村娘紗枝「……ほんまですか!?」

34名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:31:45 ID:RgHgdocw
村娘紗枝「えーここでちょっと進行を変更したいと思います」

村人C「ん?いったいなんだ?」

村娘紗枝「何とお稲荷様が私たちのために演舞をしてくださるそうです」

村人D「お稲荷様の演舞!?」

村人E「すごーい!これは末代まで自慢できるわ!」

村娘紗枝「それじゃあ周子はん、お願いします」

妖狐周子「うん、久しぶりだから尻尾も出しちゃうよっ!」

ブワァッ!

35名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:32:40 ID:RgHgdocw
村人F「す……すごい……」

村人G「なんて神々しい姿なんだ……」

村娘紗枝「尻尾がひい、ふう……6本もあるわ……」

妖狐周子(お母さんが昔教えてくれた舞……こっちもそんなに錆びてないみたいでよかった)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「いたっ!」

「周子大丈夫?思いっきりお尻打ってたけど」

「む~~~……お母さん、ウチって本当にお母さんみたいに踊れるようになるの?」

「もちろんよ、私だって最初は上手くいかなかったんだから」

「ほんと?お尻ぶったりした?」

「したした。そのたびに何度もやり直して……そうやってうまくなっていったのよ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

妖狐周子「……ほいっと、これでおしまい」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!

村娘紗枝「周子はんすごかったわあ!尻尾もそうやけど流れるような舞の動き!あんなん今までみた事ないわ!」

妖狐周子「へへっ、今度はきちんとやれたよ」

村娘紗枝「お稲荷様の舞が見れて……今日は最高の一日やわぁ!」

36名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:33:15 ID:RgHgdocw
“紗枝の屋敷”
妖狐周子「いやー、今日は久しぶりに楽しかったわ」

村娘紗枝「お疲れさんどす、みんな大喜びやったわ」

妖狐周子「そう?なんだか嬉しいね……」

村娘紗枝「?」

妖狐周子(嬉しい、の?今私はみんなが喜んでくれて嬉しいって思ったの?)

村娘紗枝「周子はん?」

妖狐周子「なっ、なんでもないよ!」

37名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:33:58 ID:RgHgdocw
村娘紗枝「ならええんですけど……えらい険しい顔しとったから」

妖狐周子「ねえ紗枝はん、あたしって村の皆から歓迎されているのかな?」

村娘紗枝「それはもちろんどす。みんな心の底から周子はんの事を歓迎しとりますよ」

妖狐周子(迫害されてきた妖狐をこの村の人達は受け入れてくれる……きっと世界全てを支配してもこんな村は他のどこにもない)

妖狐周子(あたし……世界なんていらない。この村でみんなと暮らせればそれでいい……でも……)

妖狐周子「……紗枝はんはさ、誰かとケンカとかしたことある?」

村娘紗枝「もちろんありますえ。仲のいい友人遣ったけどもう二度と遊んでやんないって取っ組み合いになったこともあったわあ」

妖狐周子「その相手とさ……仲直りってできた?もう一度、友達になれた……?」

村娘紗枝「今でもその子とはよう会います。あんなこともあったねって笑い話にして、もっと仲が深まったわあ」

妖狐周子「……ありがとう、参考になったよ。おやすみ」

村娘紗枝「はい、おやすみなさい」

38名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:34:38 ID:RgHgdocw
妖狐周子(お母さん……お父さん……私、もう一度ニンゲンと仲良くなれるかな……?)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「やり直せばまたきちんとしたのができるだろ」

「そのたびに何度もやり直して……そうやってうまくなっていったのよ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

妖狐周子(……そうだよね。ずっと憎しみにとらわれて……大事な事忘れてた)

妖狐周子(魔王軍のスパイはもう止め、ニンゲンの支配ももう止め、この村でもう一度最初からやり直そう……)




―――――――よかったわね、あなた

―――――――ふん、要領いいくせに気づくのが遅いんだよ……

39名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:35:23 ID:RgHgdocw
“翌朝”
村人A「これ道中のお弁当です」

妖狐周子「どーも、ありがたくいただくよ」

村人B「またいつでも来てくださいね」

妖狐周子「うん、しばらくしたらまた厄介になるつもりだから」

村娘紗枝「そしたら、3日後に収穫祭があるんやけどその日には来れんやろか?」

妖狐周子「おっまたお祭り?くるたんびにお祭り開いてもらってなんか悪いね~」

村人C「お稲荷様の来訪、村人全員で心待ちにしております」

妖狐周子「ありがと~それじゃあまたね」

村娘紗枝「ええ、また」

40名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:35:59 ID:RgHgdocw
“魔王城”
淫魔周子「ただいまーん」

淫魔奏「あら……また朝帰り?あまり関心しないわね」

淫魔周子「いーじゃん仕事はきちんとやってんだし」

淫魔美嘉「周子、なんか嬉しそうだね」

淫魔周子「そう?」

淫魔美嘉「うん、なんていうか表情が柔らかくなった気がする」

淫魔フレデリカ「どんな楽しい事してきたの~?フレちゃんだけに教えてっ!」

淫魔志希「あーずるい!教えるんなら私だけにしてよ!」

淫魔美嘉「みんなで聞けばいいでしょ……まあ周子が秘密にしたいならしょうがないけど」

淫魔周子「そーゆーこと、悪いけど秘密っ!」

淫魔奏「…………」

41名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:36:39 ID:RgHgdocw
“3日後”
魔王美波「それじゃあ定例会議を始めるわよ」

淫魔美嘉「待って美波、奏がまだ来てないんだけど……」

魔王美波「奏ちゃんには用事があって席を外してもらってるわ。問題ないからこのまま始めましょう」

淫魔周子「じゃああたしの報告だね。え~っと…」



魔王美波「……以上で終わりね、他に何かないかしら?」

淫魔志希「終わった終わった~!さっ、早く研究室にもどろーっと」

淫魔美嘉「ちょっと志希!まだ終わったとは言ってないでしょ!」

淫魔志希「ん~~?でもみんなもう何もないでしょ?そんな顔してるし」

淫魔フレデリカ「まあ……いつもここで何か出た事無いよね」

淫魔志希「そゆこと~。魔王様もそれでいいよね?」

魔王美波「……いいわ、今日はこれでおしまいよ」

淫魔周子「終わったーん、もうお腹ペコペコだよ」

42名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:38:03 ID:RgHgdocw
淫魔美嘉「ねえ周子、今日はどう?」

淫魔周子「ごめんね~今日も用事があって」

淫魔フレデリカ「むむ~~~まさか男のカゲかっ!?」

淫魔美嘉「あたしたち淫魔だから男のカゲも何もなくない?」

淫魔周子「そういうわけだから、じゃあね~」ヒラヒラ

淫魔美嘉「…………」

淫魔フレデリカ「どったの美嘉ちゃん?」

淫魔美嘉「なんか……最近Lippsがバラバラだなって思って」

淫魔フレデリカ「うーん、でも美嘉ちゃんはまとめあげようって思ってるし凄い立派だと思うよ?それにこれぐらいいつもの事じゃん」

淫魔美嘉「そうなんだけど……何だか今のLippsが崩れてしまうような気がして……」

43名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:39:04 ID:RgHgdocw
“森”
ザッザッザッ

妖狐周子「魔王城からあたしの痕跡はすべて消した、これであたしを見つけ出すことはできないはず」

妖狐周子「あの村でもう一度やり直そう。やっとあたしの居場所を見つけられたんだ」

妖狐周子「それに今日はお祭り……村につくのが待ち遠しいな」

妖狐周子「……?何だか煙臭いな……」

妖狐周子「ッ!煙が上がってる!?あっちは確か……村の方角じゃない!!」

44名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:39:37 ID:RgHgdocw
“村”
ゴオオオオオオオオオオオオオオ

妖狐周子「はっ!はっ!はっ!む……村が……燃えている……!」

淫魔奏「遅かったわね」

妖狐周子「!?」

村娘紗枝「うぅっ……」

妖狐周子「紗枝はんッ!!」

淫魔奏「どうやら美波が言ってたことは本当の様ね……まさかあなたが妖狐のスパイだっただなんて」

妖狐周子「奏ちゃん……!これは奏ちゃんがやったの!?」

淫魔奏「そうよ。最近あなたの様子がおかしいと思ったら……こんな村で信仰を集めていたとはね。完全にノーマークだったわ」

妖狐周子「そんな……信仰なんてもうどうでもいい!あたしはこの村があればいいんだ!」

淫魔奏「ペラペラと口が回るわね、さすがは妖狐と言ったところかしら」

村娘紗枝「よ……妖狐……?周子はんはお稲荷様どす……」

淫魔奏「あなたもかわいそうね。私達淫魔や人間よりももっとたちの悪い存在に目をつけられて」

村娘紗枝「嘘や……うちはそんなの信じたりせん!離してっ!」

45名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:40:53 ID:RgHgdocw
妖狐周子「紗枝はんを離して!その子は関係ないでしょ!?」

淫魔奏「あら、人質をみすみす逃がすと思う?でもこの子だけじゃないわ。この村に住んでいる人は全員私の配下が人質にしてる」

村娘紗枝「……ッ!!」

淫魔奏「あなたがそこを一歩でも動けば……配下に『やれ』と命令するわ。わかったかしら」ゴォオオ…

妖狐周子「くっ……!」

淫魔奏「喰らいなさいっ!」ボッ!

妖狐周子「あぐっ!!」

村娘紗枝「周子はん!」

淫魔奏「まさか一発では倒れないわよね、もう一度!」ボッ!

妖狐周子「あがっ…!!」

46名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:41:39 ID:RgHgdocw
村娘紗枝「もう止めて!何でこんなひどいことができるん!?」

淫魔奏「これは粛清よ。あろうことか妖狐が魔王軍のスパイをしていただなんて許すわけにはいかないわ」

妖狐周子「うっ……ぐぐっ……お願い……村の人達は関係ないの……」ヨロヨロ

淫魔奏「妖狐のいう事なんて簡単には信じられないわ。行動で示しなさい」ゴオオ……

妖狐周子「くっ……」ヨロヨロ

淫魔奏「動かない相手ってのはやりやすいわね。楽で助かるわ」



村人H「だな」ブンッ!

バギィッ!

淫魔奏「うぐぅっ!?」

妖狐周子「あ、あなたは……!?」

村人I「紗枝っ!この丸太につかまるんじゃ!」

村娘紗枝「はっ!助かるわ!」ガシッ!

47名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:42:40 ID:RgHgdocw
淫魔奏「ばかなっ……村人は皆人質にしてたはずよ!」

村娘紗枝「たしかあなたたちは今日イノシシ狩りに出てて……それで捕まらずに済んだんやね。おかげで助かったわ」

村人J「人質になった村人はKが救出しました。もうこの村を脱出しています」

村人H「俺たちが帰ってきたら淫魔の配下など一捻りだ、瞬殺してやった」

村人I「みんな丸太は持ったな!行くぞォ!」

妖狐周子「だめ……!下級淫魔は倒せてもLippsには……!」

淫魔奏「……人間ごときがッ!」

ドガアアアアアアアアン!!!!!

村人H「ヒイイイイイイイイイイイ!!」

村人I「嫌アアアアアアアアアアアア!」

村人J「ああやはり畏れ多かったのか……人間が淫魔に勝とうだなんて……」

48名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:43:27 ID:RgHgdocw
淫魔奏「なかなか連携のとれた三人じゃない……それに私に一撃入れるだなんて大したものよ……そうね、チャンスをあげるわ」

妖狐周子「チャンス……?」

淫魔奏「周子、今ここにいる4人をあなたの手で殺して魔王軍に忠誠を誓いなさい。そうすればあなたの粛清は止めてあげる」

妖狐周子「……!?」

淫魔奏「破格の条件でしょう?美波は粛清を命じたけど魔王軍の懐は深い……忠誠を誓うなら妖狐であろうと受け入れてあげるわ」

妖狐周子「な、何をバカなことをっ!」

淫魔奏「妖狐が人間を裏切ったように、人間は妖狐を裏切ったわ。そんな相手と本当にやっていけると思うの?まだ人外の私たちの方が貴方の事をわかってあげられるわ」

妖狐周子「…………」

淫魔奏「10秒後に私はあそこに倒れている三人に向かって光線を放つ、それまでにあなたの手で殺しなさい」

村娘紗枝「……あんさんはなんてひどいことを!」

淫魔奏「私達は人間を侵略する者よ?当然でしょうそれにチャンスは周子ちゃんだけじゃないわ」

村娘紗枝「……?」

淫魔奏「同じく10秒以内に……あなたたちが魔王軍に忠誠を誓い妖狐を差し出すならこの村の襲撃は止めてあげる」

村人H「!?」

49名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:43:54 ID:RgHgdocw
淫魔奏「さあカウント開始。10、9、8……」

妖狐周子(人間は……妖狐を裏切った、妖狐も人間を裏切った……でも、私は信じようと……!)

淫魔奏「7、6、5……」

妖狐周子(でも、わたしのせいでこの村は襲われた。それにお稲荷様じゃなくて妖狐だということもばれた……そんな私を、この村は……)

淫魔奏「4、3、2……」

村人H「お……俺は……!」

村娘紗枝「Hさん!?」

淫魔奏「うふふ……いいのよ、だれも死の恐怖からは逃れられないわ」

妖狐周子(やっぱり私は裏切られるの……?それならいっそ……!)

50名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:44:29 ID:RgHgdocw
村人H「俺は一度信じたものは簡単には変えん、このお稲荷様を信じると決めたんだ」

淫魔奏「!?」

村人I「がんばれお稲荷様ァ、ふんばれェ」やんややんや

村人J「ほらほら!どうした!淫魔の癖に人間が怖いのか!?来い、ぶち殺してやる!」

村娘紗枝「……うちも同じやわ、うちらは周子はんの事を信じます!あんさんは悪い方じゃありません!」

妖狐周子「皆……」

淫魔奏「……いいの周子ちゃん?撃つわよ。あなたの手で殺さないと私はあなたを粛正するわ」

妖狐周子「あたしはっ……あたしはっ!!!」

淫魔奏「0…」

妖狐周子「あああああああーーーーーーーっ!!!!!」ダッ!

ドゴオオオオオオオンンンンン!!!!

51名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:45:10 ID:RgHgdocw
淫魔奏「さて……どうかしら?」

シュゥウウウーーーーー……

妖狐周子「…………」

村娘紗枝「生きてる……それにこれは周子はんのしっぽ……」

妖狐周子「嫌や…失いたくない…妖孤であるあたしを大切にしてくれる人を…!この村があたしの居場所や!」

淫魔奏「……残念ね。かつての仲間を手にかけたくないんだけど」ボッ!

ドガアアアン!!!

妖狐周子「うっ!!」

ドガアアアン!!ドガアアアン!!ドガアアアン!!ドガアアアン!!

村娘紗枝「周子はん!それ以上やったらあんさんの体が……!」

妖狐周子「絶対にどかない……!命にかけてもこの村は守る!」

ドガアアアン!!ドガアアアン!!ドガアアアン!!ドガアアアン!!

妖狐周子「まだまだや……まだまだ……」

ドガアアアン!!ドガアアアン!!ドガアアアン!!ドガアアアン!!

妖狐周子「まだまだ…………まだ……まだ……」

バタッ

52名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:45:43 ID:RgHgdocw
村娘紗枝「周子はん!!」

妖狐周子「ごめん……やっとあたし自分の気持ちに気づいたのに……」

村娘紗枝「もうしゃべらんとって!傷が広がる!」

ザッザッザッ

淫魔奏「正真正銘……これで終わりよ」グイッ

妖狐周子「お願い……村の人には手を出さないで……」

淫魔奏「……わかったわ周子。あなたと一緒で楽しかったわよ」

村娘紗枝「止めて!!」

淫魔奏「さよなら……ごめんなさい」ブンッ!

村娘紗枝「嫌あああああああああーーーーッ!!!!」

53名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:46:12 ID:RgHgdocw
「ハァっ!」

ギンッ!

淫魔奏「がっ……!?」

「氷の矢よ!」

ヒュンヒュンヒュン!ザクザクザクッ!

淫魔奏「ぐっ……あなたたちは!」

勇者飛鳥くん(♂)「森の方で爆発音が聞こえたと思ったら……まさか君たちに出会うとはね」

大臣ありすくん(♂)「気を付けてください飛鳥さん!手負いとはいえ相手はLippsです!」

54名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:46:51 ID:RgHgdocw
淫魔奏「さすがにこれは……分が悪いわね」ダッ!

勇者飛鳥くん(♂)「待て!」

大臣ありすくん(♂)「逃げる気ですか!氷の矢よ!」

ヒュンヒュンヒュン!

淫魔奏「二度も同じ攻撃は喰らわないわよ!」

キンッ!キンッ!

勇者飛鳥くん(♂)「クソッ……逃がしたか」

大臣ありすくん(♂)「悔しいですがまずはこの村を何とかしないといけませんね…恵みの雨よ!」

ザアアアアーーーーーー

大臣ありすくん(♂)「これで火事の方はどうにかなるでしょう……」

村人H「救世主様ァ!」

村人I「凄ェ!さすが勇者ァ!」

村人J「アンタはいい勇者だな、尊敬するよ」

55名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:47:42 ID:RgHgdocw
勇者飛鳥くん(♂)「さて、君たちケガは無いかい?」

村娘紗枝「私達は大丈夫です、でも……」

妖狐周子「ううっ……」

大臣ありすくん(♂)「Lippsの淫魔周子、淫魔ではなく妖狐だったんですね」

村娘紗枝「あなたたちが来てくれたおかげで助かりました……」

勇者飛鳥くん(♂)「ああ、かなり危ないところだったけど…………」





勇者飛鳥くん(♂)「あとはこの妖狐を倒せばお終いだね」

大臣ありすくん(♂)「ですね」

56名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:48:10 ID:RgHgdocw
村娘紗枝「……は!?い、いったい何言うてはりますの!」

勇者飛鳥くん(♂)「え?何って……こいつは妖狐なんだろう?人間の敵だ」

村娘紗枝「妖狐……!?敵……!?でもこの人は魔王軍と戦って……!」

大臣ありすくん(♂)「それはそうでしょう。魔王軍からしても人間の支配を企む妖狐は敵の一人なんですから」

村娘紗枝「そ……そんな……さっきから妖狐って何のこと言うてるの!?この人は悪い人なんかじゃないどす!」

勇者飛鳥くん(♂)「……どうやら詳しい話を聞く必要があるようだね。どこか落ち着ける場所は無いかな?」

村娘紗枝「……わかりました。うちの屋敷は被害を逃れているのでそこに案内します」

57名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:49:07 ID:RgHgdocw
“紗枝の屋敷”
勇者飛鳥くん(♂)「まず君たちは彼女の事をお稲荷様だと思っているんだね?」

村娘紗枝「はい、昔からこの村に伝わる信仰どす」

大臣ありすくん(♂)「それで妖狐の事は知らない……そういう事でいいんですね?」

村娘紗枝「はい……」

大臣ありすくん(♂)「わかりました。妖狐について私の知る限りお話ししましょう。人間や妖狐の印象操作がある程度加わっているかもしれませんが、今から私がする話はこの世界に住む多くの人の共通認識だと思ってください」

村娘紗枝「…………はい」

58名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:49:54 ID:RgHgdocw
大臣ありすくん(♂)「そもそも妖狐とは妖術を操る狐の一族です。狐の姿をしている者もいれば、人間との交わりで人に近い姿をしている者もいます。周子さんはおそらく後者ですね」

村娘紗枝「それは、お稲荷様とは何か関係がありますか?」

大臣ありすくん(♂)「なくはないかもしれません。妖術を使う妖狐を神であると勘違いしたのでしょうね」

大臣ありすくん(♂)「次に……妖狐の目的、とでもいいましょうか。それについてお話します」

村娘紗枝「目的?」

勇者飛鳥くん(♂)「動物なら子孫を残す、人間なら社会をつくる、淫魔なら精を吸い取る、そういったようなものだよ」

大臣ありすくん(♂)「妖狐の目的は『信仰』です。人々が妖狐を崇め奉る、そうすることで妖狐はさらに強大な力を得ることができます」

勇者飛鳥くん(♂)「方法はいろいろあるね。作物の収穫を多くしたり、天候を操ったり、悪いモノから村を守ったり、昔の妖狐はそうやって信仰を得ていたんだ」

村娘紗枝「そしたらやっぱり妖狐はんはええお方じゃないどすか、なんで嫌われとるんどす?」

59名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:50:55 ID:RgHgdocw
大臣ありすくん(♂)「ある時、力を求めた妖狐が禁じ手に手を染めてしまったのです」

村娘紗枝「禁じ手?」

勇者飛鳥くん(♂)「マッチポンプさ。信仰を得るためにわざと災厄をよびよせて、それを自分で解決する……守るべき人の事なんて何も考えちゃいない、エゴの塊のような手段に手を染めるものが現れたんだ」

村娘紗枝「!!」

大臣ありすくん(♂)「悲しいことに強大な力を得たその妖狐を恐れ、他の妖狐たちも同じようなことをしました。ある日それがばれて……その後のことは想像に難くないでしょう」

勇者飛鳥くん(♂)「驚くべきことに魔族にも妖狐はまぎれていたことがあるらしい。魔族と人間の戦争を引き起こした中心人物に妖狐がいたとも言われている」

村娘紗枝「でも!それは……!!」

大臣ありすくん(♂)「はい。もちろん集落に住む人たちのことを第一に考えるような良い妖狐もいたことでしょう。しかし人間の疑惑は払拭できないほどに膨れ上がり、妖狐は迫害されるようになったのです」

勇者飛鳥くん(♂)「これはボク達が生まれてくるよりもずっと昔の話なんだ。だから詳しい真偽はわからないけど……全て本当、全て嘘ってことはないだろうね。確実にあった歴史なんだよ」

村娘紗枝「…………」

勇者飛鳥くん(♂)「だから……勇者としてボクは彼女を放っておくわけにはいかない。彼女もまた人間の敵なんだ」



妖狐周子「あーあ、ばれちゃったか」

60名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:51:32 ID:RgHgdocw
村娘紗枝「周子はん!?」

妖狐周子「あたしのことを知らない村があったからここをニンゲン支配の足掛かりにしようとしたのに……まさかスパイであることがばれるだなんてね」

大臣ありすくん(♂)「さっきまで虫の息だったはずなのに…恐るべき回復力です」

妖狐周子「結構うまく隠せてたと思ったんだけどねー。勇者までこられたんじゃもうお終いかな」クルッ

勇者飛鳥くん(♂)「背を向けるだなんていい度胸をしているね。僕たちの攻撃なら後ろを向いても躱せるってことかい?」

妖狐周子「……試してみれば?」

村娘紗枝「周子はん!人間の支配やなんて……そんなの嘘やろ!?」

61名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:52:18 ID:RgHgdocw
妖狐周子「うっさいねー……正直言ってさ、この村の連中の事なんか大嫌いだったんだよね」

村娘紗枝「!」

妖狐周子「あたしはもっとのんびりしたいのに来るたびに変にもてなししてさー……ほんといい迷惑だっての」

村娘紗枝「……」

妖狐周子「アンタの八橋もさ……最低の味だったよ。今まで食べた事無いぐらいね……」

村娘紗枝「周子はん……」

妖狐周子「そうやって……妖狐さまである私の名前を……軽々しく呼んでさ……生意気ったらありゃしなかったよ……」

村娘紗枝「周子はん、背を向けてたら顔が見えへんよ……」

妖狐周子「こんな村に……もう用なんてないよ……あんた達あきれるぐらい……お人好しでさ……ばっかじゃないの……」

村娘紗枝「でも、周子はんが泣いてるのはわかるよ……」

妖狐周子「……ッ!!!」ポロポロ

62名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:53:49 ID:RgHgdocw
村娘紗枝「周子はん、あんさんは自分の身を挺してうちらを助けてくれはったやんか。悪い妖狐なんかじゃないってみんなわかっとります」

妖狐周子「止めて!!それ以上言わないで!!!」ポロポロ

村娘紗枝「自分がこの村にいれば、村が人間からも魔族からも襲われるかもしれない。だから去ろうとしたんやろ?」

妖狐周子「お願い……っ!!お願いだから……っ!!」ポロポロ

村娘紗枝「周子はん」ギュッ

妖狐周子「ッ!」

村娘紗枝「うちは村人皆が周子はんを心の底から歓迎しているって言ったやないどすか。うちらを信じてください」

妖狐周子「で、でも……」

バァン!!

勇者飛鳥くん(♂)「!?敵か!?」



村人K「苦戦しとるようじゃな、加勢に来たぞ」

63名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:54:33 ID:RgHgdocw
村人A「周子さん!俺たちはあなたがお稲荷様でも妖狐でもどっちでもいい!」

村人B「あんたはこの村の事を故郷だと言ってくれたじゃないか!」

村人C「周子さんもこの村の一員だ!俺たちみんな協力するよ!」

村人D「悪いのは魔王軍じゃないですか!この村が襲われたのは周子さんのせいなんかじゃありません!」

村人E「あの演舞、一回きりだなんて嫌ですよ!私にも教えてください!」

村人F「周子さんのおかげで元気に育った作物、まだ食べてもらってないですよ!」

村人G「社も像も作ったんだ!周子さんがいなくなったらあれはいったいどうすればいいんだ!」

村人H「大丈夫だ 淫魔ごとき何人来ようと蹴散らしたるわ」

村人I「友達じゃないか周子!!俺たち友達じゃないか!!」

村人J「アンタが忘れたってこの村の皆が覚えてんだよ!」

村人K「嬉しいか妖狐よ!己の幸運をかみしめるがいい!」

妖狐周子「み……みんな……!」

大臣ありすくん(♂)「……あれみんな洗脳されてると思います?」

勇者飛鳥くん(♂)「……そんな風に見えるやつはきっと性根が腐りきってるよ」

64名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:55:08 ID:RgHgdocw
妖狐周子「あたしもッ……!この村を離れたくないッ……!!やっとあたしの居場所を見つけたのに……!!」

妖狐周子「でも……あたしがいたらこの村はまた狙われる!そんなの耐えられんよ……!」

村娘紗枝「勇者様……なんとかならんやろか?」

勇者飛鳥くん(♂)「……さすがにこんな村にLippsと戦える戦力を割くわけにはいかないだろう。かといってボク達がずっと残るわけにもいかないし……」

大臣ありすくん(♂)「いえ、一つだけ方法があります」

村娘紗枝「本当ですか!?」

大臣ありすくん(♂)「私の魔法と妖狐の力があれば……可能性は低いですが」

妖狐周子「いいよ……あたしがこの村に出会えたこと、それに比べたら今は何だって些細なことだ!」

65名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:55:36 ID:RgHgdocw
“森”
淫魔フレデリカ「ねえ、今から向う村ってさ……周子ちゃんがいるの?」

淫魔奏「ええ。彼女は妖狐、裏切り者よ」

淫魔フレデリカ「そのさ……本当に倒さないといけないの?」

淫魔奏「『倒す』じゃないわ、『粛清』よ。そこのところははっきりさせないと」

淫魔フレデリカ「そう、だよね……でもさっ!もし村にいなかったら?」

淫魔奏「その村を襲撃するわ、見せしめよ。そして妖狐の方は情報が出るまで待機……って感じね」

淫魔フレデリカ「……」

淫魔奏「気を引き締めなさい。……そろそろ村ね、私は左にぐるっと回るわ。フレちゃんは右にぐるっと回ってから挟み撃ちにするわよ」

淫魔フレデリカ「うん……わかった」

66名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:56:10 ID:RgHgdocw
ザッザッザッ

淫魔奏「…………」

淫魔奏「私だって……辛いわよ……かつての仲間を粛正するなんて……」

淫魔奏「でもしょうがないじゃない……相手は妖狐なんだから……」

ザッザッザッ

スタ…スタ…スタ…

淫魔奏(!別の足音がしてきた…村の警備部隊かしら)

淫魔奏(出鼻から一撃!食らわせてあげるわ!)バッ!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

67名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:56:41 ID:RgHgdocw
“魔王城”
魔王美波「えーっと……もう一度説明してくれる?」

淫魔奏「その……妖狐はいなかったんだけど……『村もなかった』の」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
淫魔フレデリカ「うわっ!?」

淫魔奏「ふ、フレちゃん?」

淫魔フレデリカ「え?え?どういうこと?なんで奏ちゃんと会ってるの?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

淫魔フレデリカ「あの後くまなく回りを調べてみたんだけどどこにも痕跡が無くて……」

魔王美波「……場所を間違えたってことは?」

淫魔奏「それはないわ。村の周りの森にも火を放ったからその跡は見間違えない。だけど……村が全くなかったのよ」

淫魔フレデリカ「どうする?」

魔王美波「……妖狐の秘術だとしたらお手上げね。盗まれた重要な情報はほとんど偽のものだし、新たな情報が入ってくるまで放っておきましょう」

淫魔フレデリカ「はーい」

淫魔奏「…………」

淫魔奏(ホッ……)

68名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:57:11 ID:RgHgdocw
“時間は少し遡る――――”
村人A「……行った、こっちを見向きもせず通り過ぎた」

村人B「よ、よかった~~!」

村娘紗枝「大臣はん、これはいったい?」

大臣ありすくん(♂)「村を囲むようにして鳥居を4つ、それを起点にして結界を張りました」

勇者飛鳥くん(♂)「『村を認知できなくなる結界』ほんとありすは知識だけはすごいな」

大臣ありすくん(♂)「そりゃあ私は大臣なので……知識だけってどういう事ですか!?」

妖狐周子「すごい……あたしにこんな力があったなんて……」

大臣ありすくん(♂)「これが妖狐の信仰の力です。といっても外から認知されなくなると周囲の信仰は集めにくくなるんですが……」

勇者飛鳥くん(♂)「つまりキミがこの村の人達から本当に愛されているって話さ」

妖狐周子「……みんなありがとう!」

69名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:57:33 ID:RgHgdocw
大臣ありすくん(♂)「それでは私たちはこのあたりで失礼します。周子さん情報ありがとうございました」

妖狐周子「うん、でもあたしがスパイだってばれてたから嘘の情報をつかまれてたかも。あんまり過信はしないでね」

勇者飛鳥くん(♂)「それでも十分ありがたいさ。それじゃあね」

妖狐周子「……ねえ二人とも!世界が平和になったらさ、またこの村にきなよ!皆で歓迎するからさ!」

村娘紗枝「そうどすな。お二人もこの村の救世主なんやし」

勇者飛鳥くん(♂)「……一度は切ろうとしたボクを許してくれるのかい?」

妖狐周子「いいのいいの、間違った時はさ……やり直せばいいんだから!」

大臣ありすくん(♂)「……必ず世界を平和にしてみせます。そしていつか妖狐が認められる世界も」

村娘紗枝「お二人さん、気いつけてくださいね!」

70名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:58:01 ID:RgHgdocw
“紗枝の屋敷”
妖狐周子「ふわ~~~今日も疲れた~~~」

村娘紗枝「火事の影響がまだ残っとりますからね……でも周子はんの社と像はびくともしとりませんでしたわ」

妖狐周子「ほんとうにありがたいことだよ。明日も早いし今日はもう寝よっか」

村娘紗枝「ふふっまた膝枕したあげましょうか?」

妖狐周子「ん~~~……いや、今日はあたしに任せて!」

村娘紗枝「あら、今日は周子はんが膝枕してくれるんどすか?」

妖狐周子「膝枕は足がしびれちゃうから……それよりもっとすごいのしてあげる!」

71名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 18:58:44 ID:RgHgdocw
妖狐周子「ふふふ、さあおいで紗枝はん」ポンポン

村娘紗枝「これは……しっぽ枕とはえらい贅沢やなあ……」

妖狐周子「あたしだけにできるふかふかの枕だよ!紗枝はんは特別やけどね」

村娘紗枝「うれしいなあ。それじゃあお言葉に甘えて……」

ポフッ

村娘紗枝「うわあ……ほんに気持ちええわあ……」

妖狐周子「そうでしょ?」

村娘紗枝「それに周子はんに抱きしめられてるみたいで……なんや落ち着きますなあ……」

妖狐周子「ちょ、ちょっとあんま恥かしいこと言わないでよー」

村娘紗枝「周子はん、寂しくなったときはいつでも言っていいんよ」

妖狐周子「……紗枝はんにはかなわないね」ギュッ

村娘紗枝「ああ……しっぽもいいけど、やっぱり周子はんがあったかくて気持ちええわあ」

妖狐周子「紗枝はん……これからもよろしくね」

村娘紗枝「もちろんどす。私だけのかわいい狐さん♪」



【終わり】

72名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 19:00:45 ID:RgHgdocw
これで終わりです

途中で京都弁考えるのがめんどくさくなって適当になってますが許してください何でもしますから!

まさか原案が周子SS兄貴とは思ってなかったゾ…彼に比べれば稚拙な文章ですが読んでくださった方はありがとうございます

73名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 19:14:43 ID:Qg3mIsA6
京都一、いや日本一やお前

74名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 19:17:35 ID:lAiePC0E
すごいですねこれ

75名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 19:19:32 ID:RgHgdocw
あっ、そうだ(唐突)

淫魔SSって書いてるけどこのSSにエロシーンは無いゾ

言うのが70レス分ほど遅れましたがご了承ください

76名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 19:47:18 ID:mBrsGMhk
構成がしっとりしていて、それでいてグダらないすっきりしたSSだ(恍惚)
個人的には一度『勇者飛鳥くん(♂)』って書いてしまえばその後は『飛鳥』だけでも特に違和感はないと思います

77名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 20:12:12 ID:aaJa28TU
ええやん

78名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 20:18:59 ID:lAiePC0E
周子はんカバーのリセット聴きながら読むと味わい深いですね…

79名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 20:21:13 ID:PSL7yl1s
起承転結が非常にしっかりしている
1145141919810点

80名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 20:31:48 ID:ltAIJCk6
非常にキャラが立っていて、非常に素晴らしい

81名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/08(火) 20:50:33 ID:K2M4KzzM
バグで上がらなかったのが本当に惜しいくらいの傑作ですねクォレハ…

82名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/09(水) 18:07:46 ID:.q1.Tlxc
このSSがしたらばくんのバグで見れなくなって絶望していたところ
また見れるようになってよかった
今のうちに保存しておこう

83名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/09(水) 23:37:41 ID:Str.afl6
良作なのに上がらないし神隠しに遭うし天に見放されスギィ!
泣きたくなりますよ~色んな意味で

84名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/10(木) 01:57:27 ID:8jyyJ0ZA
あいくるしい聞きながら読んだら涙出ましたよ…

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