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TripleFi 10 (10Pro) リケーブルの効果を測定しました

Pic_TripleFi_10_Cables.png

TripleFi 10の特性がリケーブルによってどの程度変わるのか測定しました。
今回検証したケーブルは以下の3本です。
旧純正ケーブル(写真左上) :2010年頃の10Pro純正品。ストレート型プラグ。
新純正ケーブル(同右上) :2012年8月以降のTF10純正品。丸みを帯びたL字型プラグ。
HPC-UE/1.3(同下) :オヤイデ電気製、長さ1.3mのTF10用ケーブル。



一般論としてのリケーブルの効果については以下のページで説明しています。
こちらも合わせて読むことをオススメします。

http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-68.html


■測定条件など
使用した再生機器、録音機器についてはこちらのページを参照。
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-36.html
再生、録音のフォーマットは44.1kHz,16bit。
このページのデータは全て室温27℃で測定したもの。
このページのデータは全てLchについてのもの。
使用したヘッドホンアンプはHP-A7で、出力インピーダンスは0.1Ω以下。
インパルス応答(CSD)、歪率、周波数特性、クロストーク測定時の印加電圧は
WaveGeneで1kHz,-1dBのサイン波を再生してラインイン端子に入力した際に
WaveSpectraのRMS値が-25.72dBとなる大きさ(おそらく0.023V程度)。
周波数特性は測定したままの生データ。
インパルス応答はArtaのPeriodic Noise(Pink)で測定したもの。10回平均値。
高調波歪率はStepsで1/12 oct. stepで測定したもの。
インピーダンス特性の測定条件はいつも通りなので上記リンク先参照。
直流抵抗はテスター(A&D AD-5520)で測定したもの。



※2013/7/6 追記
今回はイヤホンから出る音をマイクで録音する形で音響的に測定しました。
そのため、主にカプラへのイヤホンの挿入状態のずれにより、
それなりに大きな誤差が生じてしまっています。

ケーブルで変わりうるのは基本的に周波数特性(振幅/位相)とクロストークだけなので、
イヤホン筐体側に録音機器を並列に繋ぎ電気的に測定すれば、
偶然誤差は±0.1dBを下回る程度に抑えられ非常に正確に測定できます。
リケーブルの効果を測定するには、本来こちらの電気的測定がオススメです。
なお、今回私がこの手段を取らなかったのは、
TF10専用の測定ケーブルをわざわざ作るのが面倒臭かったからです。




■3種のケーブルの抵抗値

実測値
ケーブル+本体の抵抗値、共通インピーダンスRc、ケーブル構造
機種名L~GNDR~GNDL~RRc/Ω構造
新純正ケーブル32.031.964.0-0.054線
旧純正ケーブル31.431.362.30.23線
HPC-UE/1.330.930.861.8-0.054線
ケーブルの抵抗値     
機種名L+R+GNDGNDL~RR/Ω
新純正ケーブル0.70.70.71.41.4
旧純正ケーブル0.30.30.30.20.6
HPC-UE/1.30.10.10.10.1  0.14

※HPC-UEの抵抗値はかなり小さいため、導体径から計算した方が正確に出せる。
公称スペックによると
中心導体 PCOCC-A(3/20/0.08 AWG23)
シールド 銀メッキOFC編組シールド(16/4/0.08)
http://www.oyaide.com/audio/audio-products/cn88/hpc-ue.html
純銅の電気抵抗率を1.68×10^-8 ΩmとしてHPC-UEの1m当たりの直流抵抗を計算すると
信号線(中心導体)はL,Rそれぞれ0.0557Ω/m、GND(シールド線)はL,Rそれぞれ0.0522Ω/m 。
長さ1.3mのHPC-UE/1.3では信号線が 0.072Ω 、GNDが 0.068Ω

以上の計算から、HPC-UE/1.3の抵抗値は 0.14Ω となる。




■インピーダンス特性
TripleFi 10のインピーダンスは周波数によって大きく変化します。
また、レシーバ+ネットワークのインピーダンスは10kHzでは程しかありません。
このインピーダンス特性のため、TripleFi 10は他のイヤホンに比べて
ケーブルによる特性の変化が非常に出やすい機種となっています。
RC_TF10_Impedance.png




■周波数特性
リケーブルで変わりうる特性その1。
RC_TF10_FR.png 
挿入深度を完全に一致させることはできなかったので、
カプラ内共鳴の周波数(8kHz、16kHz付近)に微妙なずれが出てしまっています。
また、気を付けても装着し直すことによる測定誤差が±0.2dB程度は出てしまうことにも注意してご覧ください。


実測してみてもほぼ計算通りの変化が見られました。




■クロストーク特性
リケーブルで変わりうる特性その2。
RC_TF10_Crosstalk.png

クロストークの実測値もほぼ計算通りとなっています。
4線ケーブルを使ってさえいればそれ以上ケーブル側でできることはありません。
アンプのジャックから内部の真の出力までの共通GNDによる影響が支配的になるので
極限までクロストークを減らしたければそちらをどうにかしましょう。
どれほどクロストークがあれば人間の聴感に影響するのか知りませんが。




■インパルス応答波形
これだけ見て何か分かるというものでもありませんが、一応掲載。
RC_TF10_Impulse_1.png
RC_TF10_Impulse_2.png
RC_TF10_Impulse_3.png




■インパルス応答(CSD)
周波数特性が変化したことによる変化は当然ありますが、
それ以外の本質的な変化はありません。
RC_TF10_CSD50_1.png
RC_TF10_CSD50_2.png
RC_TF10_CSD50_3.png




■高調波歪
イヤホンの歪はほぼ全てレシーバ以降の問題なので
ケーブルを変えたところでどうにもなりません。
RC_TF10_THD_1.png
RC_TF10_THD_2.png
RC_TF10_THD_3.png




■高調波歪率(%表示)
RC_TF10_THD2_1.png
RC_TF10_THD2_2.png
RC_TF10_THD2_3.png

僅かにケーブルの抵抗値が下がるほど歪率が上がる傾向が見えています。
もしかしたら単なる測定誤差かもしれませんが、そうでないとすると
抵抗値減少→電流増加→振幅増加→歪(非線形性)増加 となった結果でしょう。
つまりボリュームを上げれば歪は増す、という当然の傾向が見えているわけです。




■HPC-UE/1.3を選んだ理由について
RC_TF10_FR_Calc.png
このグラフはTF10本体部分のインピーダンスを58Ω@1kHz、6Ω@10kHzとし、
オームの法則からリケーブルによる周波数特性変化の大きさを計算した結果を示したものです。


このグラフから予想されるように
純正ケーブルと抵抗値が大きく異なるほどイヤホンの特性変化も大きくなります。、
つまり、TF10用ケーブルの中でも抵抗値が特に低いHPC-UE/1.3こそ、
純正ケーブルから最も大きく音が変わるケーブルの一つであり、
変化を観察するのにうってつけのケーブルだったからです。

(逆に抵抗値を大きくする方向であれば、より大きく変化するケーブルも作れますが…)
同じく抵抗値の低いRC-UE1やHPC-UE/1.0でもよかったのですが、
個人的なデザインやケーブル長の好みからHPC-UE/1.3を選びました。


TripleFi 10 (10Pro) 交換用ケーブルの抵抗値紹介記事
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-114.html




 

| ケーブル | 10:36 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

はじめまして

ちょっと質問させてください。
グラフから察するにHPC-UEと新純正ケーブルはだいたい同じ音であるということでしょうか?

| じん | 2013/01/04 00:46 | URL | ≫ EDIT

はじめまして。
じんさんが「だいたい同じ音である」とみなす基準が分からないのでどう答えてよいものか…
ブラインドテストで聞き分けできるか?ということであればある程度予想はできますが。

| adc | 2013/01/04 22:26 | URL |

すいません。
では質問をブラインドテストでHPC-UEと新純正を聞き分けられることが可能でしょうか?に変えます。お願いしますm(_ _)m

| じん | 2013/01/04 23:14 | URL | ≫ EDIT

ではお答えしますが、私の主観や予想を含むのでご了承ください。
基本的な考え方は以下の記事に書いてあるので予め読んでおいてください。
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-68.html

まずアンプには出力インピーダンスが0.1Ω以下のものを使うものとします。
現実的にはイヤホンケーブルによる違いが最も大きくなる条件です。
またこの条件でのHPC-UE+TF10と新純正ケーブル+TF10の違いは
10kHzで1.5dB程度(計算値)の周波数特性変化のみとし、
この違いを聞き分けられるか考えます。

以下の記事で紹介した本によると周波数特性変化の弁別限は10kHzで+2dBらしく、
HPC-UEと新純正ケーブルの違いはこれを僅かに下回ります。
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-82.html
ただし条件が変われば多少弁別限も変わりますし、
1ケタも2ケタも下回っているわけではないので、被験者や条件次第では
1.5dBの周波数特性変化を弁別できる可能性も否定できないと思います。
(極端な条件ですが、音源に10kHzサイン波を使えば
1.5dBの差はほとんどの健聴者が弁別できるはずです。)
例えばこれが0.1dBならまず弁別不能、10dBならほぼ全ての健聴者が弁別可能と
言い切れそうですが、1.5dBというのは被験者やテスト条件によって結果が変わり得る
微妙な大きさの変化だと思います。

ですので、じんさんがこの違いを聞き分けられるかどうか、
また「だいたい同じ音」と感じられるかどうかは私には分かりません。
普段よく聞く音源を編集して上記周波数特性変化を再現した音源を作り
じんさん自身でブラインドテストをして確かめてもらうしかありません。
音源編集はSoundEngine Free、周波数特性変化のチェックはWaveSpectra、
ABXブラインドテストはfoobar2000でできます。全てフリーソフトです。

なお、シンバルソロなどパワーが高域に集中する場面がある楽曲の方が
弁別できる可能性は高くなると思います。これもWaveSpectraでチェックできます。

| adc | 2013/01/06 22:11 | URL |

丁寧な説明ありがとうございます。
非常に参考になります。
今回のコメントとabcさんの記事を読み返しました。そこで、新純正ケーブルとHPC-UEの周波数特性の違いは、旧純正ケーブルとHPC-UEの周波数特性の違いに比べて小さい。従って、新純正ケーブルからHPC-UEに変えた場合は、旧純正ケーブルからHPC-UEに変えた場合に比べて音の変化を感じにく思われるという結論が得られました。ありがとうございました。

| じん | 2013/01/07 20:38 | URL | ≫ EDIT

結論が全く逆になっていますよ!

もう一度各記事をよく読んで下さい。何か誤解されているようです。

周波数特性変化の原因となっている抵抗値は
  HPC-UE(0.14Ω) < 旧純正(0.6Ω) < 新純正(1.4Ω)
なので、周波数特性だけ見るならば
  旧純正とHPC-UEの違い < 新純正とHPC-UEの違い
となります。

ただし旧純正のクロストーク増加が聴感に影響する可能性もあり
(クロストークの弁別閾が分からないとなんとも言えません)、
新旧純正のどちらがHPC-UEとの音の変化を感じやすいかは分かりません。
これについては前のコメントに書いた通り
各人が音源編集とブラインドテストをして確かめるしかないと思います。

| adc | 2013/01/07 23:09 | URL |










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