松坂登板回避も連敗も藤嶋救った　

　２０歳の新星が大仕事をやってのけた。中日にとって日本生命セパ交流戦のラストとなる１７日の西武戦（メットライフ）は、予告先発の松坂大輔投手（３７）が背中の強い張りで試合開始直前に登板回避。この窮地に緊急先発した高卒２年目の藤嶋健人投手が、立ち上がりのピンチを３者連続三振で抑えるなど６イニングを２失点。堂々の投球で初先発初勝利を飾った。

　平成の怪物を見に球場に集まった３万人超の視線は、竜の若武者・藤嶋にくぎ付けとなった。凱旋（がいせん）先発の予定だった松坂のアクシデントで巡ってきた初先発の機会を、自らの右腕で最高の舞台に変えてみせた。

　登板が決まったのは試合開始１５分前。トイレに向かう道すがら、朝倉投手コーチから「いくぞ」と告げられた。急いで準備し、約３０分後に１回裏のマウンドへ。森監督から「何も考えずいつも通りいけ。中継ぎのつもりで１イニングずつ投げればいい」と送り出された。

　初回、いきなり連打を許す。だが「四球を出すくらいなら打たれた方がいい」と開き直った。浅村を外角に逃げるスライダーで見逃し三振、山川は力強い１４３キロの外角直球で、栗山は外角低めに沈むスプリットでそれぞれ空振り三振に。ピンチを切り抜けた。

　毎回の９安打を許しながらも粘った。１２球団最強の呼び声高い西武打線に真っ向勝負し、与えた四球はわずか１つ。４回に森に２ランを浴びても全くひるまない。６イニングを投げ２失点。１０９球を投げきった。「必死だったのであまり覚えていません。一人一人しっかり投げることだけ考えていきました。うれしいです」とはにかんだ。