若い人はあまりよくわかっていないと思うのですが日本では60歳以上になっても国民健康保険を払わなければいけませんし所得税は地方税も払う必要があります。さらに介護保険だって払う必要があるんです。
前回の記事で説明したモデル年金年収の夫婦の場合、夫婦合わせて月に23万円ほどの年金をもらえますが、住む場所によってはこう言った支払いが月に4万円ぐらいになってしまうことがあります。
つまり生活費として実際に使えるお金は月に19万円ほどです。
家賃や住宅ローンはなくても、食費や光熱費にたまの外食を入れたらギリギリでしょう。
現在の見通しては今後国民健康保険や介護保険はどんどん上がっていきますから負担はもっと大きくなるはずです。
高齢者になると家ばどんどん老朽化してきますから修理代がかかります。この出費は木造家屋が多い日本では結構な出費になります。床が抜けたり屋根が剥がれたりすると1回に数十万円下手すると数百万円の出費が必要なんです。
マンションの場合は老朽化してくると修繕が必要になるのですが、その修理費用だって莫大です。組合に十分な積立がない場合や住人に老人が多い場合は修理ができないことだってあります。
建て直しになった場合もっと大きな費用がかかります。ですからマンションを買う場合は20年後30年後に住人がどうなっているかそのマンションは転売が可能かどうか十分考える必要があります。
家電だって最近のものはすぐに壊れてしまいますから、2、3年ごとに買い換える必要が出てきます。この費用は結構バカにならないんです。
また若い時はわからないのですがだいたい60歳過ぎるとどの人も体が弱ってきて色々と病気が出てきます。今のところ国民健康保険の自己負担比率というのは比較的安めになっているのですが、今後は自己負担比率もどんどん上がっていくはずです。
また自己負担比率が3割だとしても心臓病や骨折などで手術をしたり入院をすると、ベッドが空いていないと言われて差額ベッド代を要求されたりします。 この費用は健康保険でカバーされるわけではなかったりするので結構な金額になります。2、3週間入院すると数十倍のお金が出て行ってしまうこともあるんです。今は高額医療費である程度の補助が出ますが今後それが出るかどうかはわかりません。
このように今の高齢者の生活体の楽ではないのですがその実態は高齢者の犯罪を見るとよくわかります。
2016年度の「犯罪白書」では、女性の刑法犯検挙人員の約3割が高齢者であり、しかも、そのうち約8割が万引きにより検挙されていると述べています。
2014年の「犯罪白書」では、店舗などで商品を盗む万引き犯のその後2年間の再犯率を調べていますが、最も高かったのは65歳以上の女性で37.5%でした。
万引きをした背景は、「近親者の病気・死去」が26.5%、「家族と疎遠・身寄りなし」が20.6%、「配偶者などとのトラブル」と「収入減」と並ぶ14.7%です。
白書を執筆した法務省法務総合研究所は「老人の孤独感や寂しさが犯行に影響したことがうかがえる」と指摘しています。
つまり、経済的に苦しい高齢者や孤独な人が犯罪に走っているんです。これが日本の高齢者の実態です。
日本の高齢者は今ですら生活が大変で、先々はその格差がもっと開いていく可能性が高いということです。若い時から個人年金や不動産で資産を運用していなかった人と、そうでない人の格差はどんどん広がっていくはずです。資産がない人達は健康保険や介護保険の負担率に悩み増大していく医療費に苦しむことになります。
年金も減っていくことが目に見えています。しかし正社員の仕事すら減っている日本では老後に備えて毎月資産運用できるような人は少数です。貯金すら減っているわけですから、現在も若い人の老後というのは今以上に格差が広がっていくはずです。