どうもTAKUYAです。 自分のように個人開発で実際にマネタイズをしている人は少ない。 入江さんは、自分と同じフリーランスで、最近受託を完全にやめて自分のサービスだけで食おうとしている人。 スキルセットも似ていて、デザインも自分でやる。 最近ローンチしたMENTAというスキルシェアリングのサービスも、デザインがしっかりしていて完成度が高い。 ちょうど入江さんが福岡から東京に来るとツイートしていたのでお茶に誘って、個人開発談義をしてきた。
うろ覚えではあるけど、印象に残った話を議事録形式でシェアしたい(本人許可取得済)。
入江さんの話
- 受託開発の話
- 顧問契約で毎月定額形式で契約して、工数を絞って長期的に関わると、新規プロジェクトでも関わりやすい
- 自分のブログで受託の仕事を手伝ってくれる人を募集した
- 人を雇うときは、いきなりガッツリ依頼するのではなく、例えば月単価二万円など小規模な単位で始めて、相性や能力を測る。よさそうならガッツリ依頼するとリスクも避けれるし、面倒な評価をしなくて済む
- タスクリストを投げておいて、好きな時間にやってもらう
- 報酬相応の働きをしてもらえればOK
- 相手もそれは意識してやってくれる
- 取り掛かり金(手付け金)を貰うと、キャッシュフローが健全化して良い
- 意外と企業さんはそれを嫌がらないので有効
- 入江開発室を有料で開いてみたら意外と沢山の入会があった
- サラリーマンやフリーランスをしつつ自作サービスでマネタイズしたい人は沢山いる
- そういう人たちに自分のサービスの企画からローンチ、集客の一部始終を見せることで刺激になり真似したくなるようなコミュニティを作ろうとしている
- 別に有名じゃなくてもニーズがあればメンバーは集まる
- MENTAの話
- サイトのイラストは素材サイトで購入
- メンターがリリース時に100人以上集められた理由
- 事前に限定公開して、ローンチ後に受付を締め切ると宣言した(限定セール効果を狙った)
- 有名どころの人に個別に声をかけて営業した
- 相手に合わせた具体的なプランも併せて提案して興味を引く
- ローンチ後はメンターが各自で宣伝活動をしてくれたので広まった
- 目下の課題はメンティー(教えられる側/購入側)を集めること。そのための機能改善が必要
- ローンチから10日ぐらいで既に売上40万、手数料が20%なので利益は8万円(おいしい)
- 月数万円の単価の高いものがある
- StripeはconnectというAPIで、銀行振込を自動化できるから便利
- Pay.jpとかでは出来ない
- 最近はJCBにもベータで対応していて素晴らしい (ただし円建てのみ)
- 受託開発をやめてみた話
- 自分のサービス開発に集中できるので効率は大幅に上がった
- スイッチングコストが減るのはやっぱりでかい
TAKUYAの話
- Inkdropの話
- 海外ユーザの英語でのサポートが辛いのは最初だけ、使う言い回しが限られているのですぐに慣れる
- Inkdropは一人で作っていることをウリにしているので、まだしばらくは一人でやっていく
- React Nativeの話
- RNはjsでアプリが組めるが、ハイクオリティなものを作ろうと思えば結局ネイティブの知識と経験が要る
- 例えばjsはシングルスレッドなので、バックグラウンドで重い処理などをさせられない
- バイナリの取り扱いがまだまだ弱い
- 未だにCJK入力のバグがあったりして、まだまだ安定しない
- RN自体のアップグレードがいつも地獄。何かしら問題が起きる。RNを採用する際は心中する覚悟で
- RNはjsでアプリが組めるが、ハイクオリティなものを作ろうと思えば結局ネイティブの知識と経験が要る
- Flutterはちょっと期待している
- React Nativeと違い、UIにフォーカスしているところが面白い
- UIKitみたいなハイクオリティなコンポーネント群が標準で提供されると強い
- 今は個人開発者に置い風が吹いている
- 一昔前は課金システムを組むことすら大変だった
- 様々な開発ツール群が出揃って開発コストが格段に減って、一人でも余裕でサービスが組めるようになった
- なぜ多くの人は「サービス開発したい」と口だけで終わってしまうのか?
- 作りたいものがそもそもない
- 「会社をやめたい」とか「楽してお金が稼ぎたい」という逃げのモチベーションで動いている。人を喜ばせるのとは別の方向を向いている
- 手を動かさず本を読んでいる間は夢が夢のままでいられるので傷つかなくて済む
- QiitaではContributionが1でもあれば上位15%。つまり手を動かさない人が基本は大半
- 思いつくサービスのアイデアが「B-to-C」寄りで、広く浅いターゲットを狙ってしまう人々について
- MENTAへのアドバイス
個人開発界の狩野派を作ろうとしている入江氏
話してみて感じたのは、自分と入江さんはバックグラウンドやスキルセットが似ている一方で、サービスづくりのアプローチは対照的だという事。 自分はとにかくコミュニケーションコストを削ぎ落とし集中する環境を作って、なんでも自分でこなしてアウトプットを最大化する戦略を取っている。 それに対して、入江さんは人を巻き込み能力を組み合わせて、自分は得意分野に集中することでアウトプットを最大化する戦略。
例えば受託のやりかたにもその違いが如実に現れている。 自分は以前書いた案件の効果的な見積もり方のように、効率性・緊急性・専門性・有効性の観点でいかに自分のパフォーマンスを市場にマッチさせて単価を最大化するかというアプローチ。つまりスケールアップ方式。 入江さんは、手が足りなくなったら適宜人材を募集して仕事を割り振って手を広げるアプローチ。つまりスケールアウト方式。 手付金をもらったり顧問契約をしてキャッシュフローをうまく流動化させていて、リスク回避の仕方もうまい。つまりマネジメントの能力が高い。 人を動かすのがうまいので、MENTAのようなサービスが自然と出てくるのは頷ける。
入江開発室の発想は更にユニークだと思う。 これは入江流の個人開発者を量産させる、いわばかつての画家集団の狩野派ならぬ入江派を作ろうとしているのではないかと思った。 つまり一つの「正解」を示して、それに弟子たちを追従させ、作った作品を流派として認めていくやり方。 それはとても日本的なやり方だし、将来性が高いと思う。 昨今のインターネットサロン文化も同じく狩野派に通ずるものがあると感じている。 入江さんはそのあたりの流れをいち早く汲み取って活動しているので、今後に期待。 デベロッパーって職人気質な人が多いので、こういうコミュニティを率先して作る人達は重宝されるだろう。
自分はマネジメントが特に弱いし、そこが伸びしろだとも思っている。 スケールアップ戦略はシングルコアの周波数と同様に限界がある。やはり最もスケールするのはマルチコアのスケールアウト方式だろう。 今後Inkdropが人を巻き込んで行くにあたって色々とヒントを得られて良かった。 入江さんありがとうございます。また喋りましょう。