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立教大学の書店、なぜ店員は一斉に辞めてしまったのか? 某大手書店の「振る舞い」

立教大学池袋キャンパス正門(「Wikipedia」より/ペン太)

 立教大学の池袋キャンパスに、「丸善キャンパスショップ立教大学池袋店」がある。運営するのは、丸善雄松堂。文化施設の建築・内装、図書館業務のアウトソーシングなども手がける大手書店だ。

 昨年の秋から今年の春にかけて、この書店に10~20年勤めていたベテラン店員がほとんど辞めてしまった。新たに入った新人も数カ月で辞めていった。大学の書店であるから、もっぱら講義で使われる教科書を売るのが、10年ほど前までの同店の姿だった。学生たちがやってくるのは、ほとんど4月と9月のみだった。

 それではもったいないと考えた書店員たちが、文芸書や美術書を置き始めた。学生たちが「丸善で待ち合わせしよう」と言い交わすような場所にするのが、書店員たちの夢だった。売れ筋のものではなく、読んでほしいと勧めたい本を並べた。熱心な書店員は休日を使って本を紹介するフリーペーパーをつくった。これはそのまま、並べた本に立てるPOP広告としても使えるという優れものだった。本の売り方を指導されたことはなく、営業にやってきた出版社の社員に質問して、ノウハウを身につけていった。

 こうした努力が功を奏して、学生だけでなく教職員も訪れるようになった。書店は大学キャンパス内のセントポールプラザにある。道路に面していて外に向かって開かれた建物。近隣の住民もやってくるようになった。

 書店員たちは「あの先生なら、この本を買うだろう」「いつも来る近所のあの小父さんなら、あの本を買うだろう」と、客の顔を思い浮かべながら本を選ぶ。「あの本ある?」と聞かれて「ありますよ!」と小父さんに本を差し出す。「先生だったら、この本買うと思ってたんですよ」「あーあ、罠に引っかかったな」と教員が笑う。

 書店員が進んで選書をするため、昨年のノーベル文学賞受賞の際には、カズオ・イシグロの著作は一通り揃っていた。予想外の受賞であったため、多くの書店では慌てて発注していた最中である。しばらくしてからの本部からの連絡は、「カズオ・イシグロの著作を順次揃えるように」というものであった。

 2013年にTBS系列で放送された連続テレビドラマ『半沢直樹』がヒットした時も、原作の池井戸潤著『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』がずらりと並べられていた。それを見た丸善の他店舗の書店員から、「なんでこんなにあるんですか? うちにも回してください」と驚かれた。

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