はじめに
まず初めに、筆者は残念ながら法律家ではないので、端的に申し上げると法律の詳細部分まで検討しきる能力はないかと思われます。また、私の能力や配慮のなさが原因で記述が出来ていないまたは誤植などがあるかもしれません。この点、何卒ご了承頂ければ幸いでございます。
事件について
2018年6月12日 神奈川、愛知、宮城など全国10の県警がそれぞれCoinhiveを利用者に無断で設置していたとしてサイト運営者を検挙した。
今回検挙された人の数は16人で、うち3人は逮捕され1人はCoinhiveと同様のプログラムを製作したとしてウイルス作成罪も含めての逮捕となった。
(このサイトをご覧頂いている皆様には、おそらく詳しい経緯を既にご存知か調べることが出来ると思いますので、これ以上は割愛致します。)
この事件の問題点
この事件の問題点は視点を変えれば多数に及ぶかと思いますが、少なくとも私の中では以下の点が挙げられると考えています。
・法律上における判断の分かれる事案に対して、特別な被害を受けた被害者が実存していない(※1)にも関わらず、警察が事前に何の警告もなく、社会的な制裁、精神的消耗・身体的拘束、それらを包括した強い人権侵害が伴う検挙(一斉検挙)を主権者たる国民に対して行った。(例え検挙するとしても事前に警告すれば、殆どの人はCoinhiveの設置をとりやめたのではないか。)
・検挙の後に、警察庁がホームページ上で本件に関する注意喚起を行うなど何を守りたいのか不明。(しかも犯罪になりえる可能性がありますという書き方で、自分たちも犯罪なのか確定出来ていないのに一斉検挙したというのか。逮捕した以上、既定事実され完全に犯罪となってしまう方向に傾く。)
・捜査をしているサイバー警察のITスキルとして不正なものマルウェア等を見極める能力があるのか甚だ疑問。また、合同捜査本部を作って、このような一斉検挙を行っており、警察も上層部が関与していると考えられることから、この問題は、警察署単位の問題ではなく警察組織全体として問題といっても差支えないと考える。
・警察は、検挙の決め手として「利用者に無断(で意図しない動作)であること」、「社会的コンセンサスが得られていないこと」、「報酬を得ていること」を挙げているが、 警察がそもそも「社会的コンセンサス」の程度については独断で決めることの出来る存在なのかが疑問である。
例えば、同じように報酬が得られる広告システムとして、露骨なスクロール追従型広告や×ボタンが極端に小さく、×を押しても閉じることのできない動画広告が表示されているからといって利用者の意図している動作だというのか、社会的コンセンサスを得ていると果たしていえるのか。(あるいはマシンパワーを使って電気代が無駄になっているのがダメといったとしても、動画広告でもマシンパワーは使っている。)どこに話の軸を置いても、一体何を以て、検挙を判断しているのか曖昧であると言わざるを得ないと思う。社会的コンセンサスについては、本来国民が判断することだと思うが、その世論を反映した、国民の代表者たる議員達が判断すべきということになる可能性があるとしても、少なくとも社会的コンセンサスがないことを理由に、いきなり警察が検挙するというのは越権行為なのではないかと考えるし、越権行為でないというなら、越権行為として定義するためにそもそも社会問題として提起され是正されるべきなのではないかと思う。
・国会は、これらの問題の発生は、完全に予見までは出来ないにしろ、合法・違法の判断基準があいまいで十分といえる議論を行えていなかった。
・裁判所は、家宅捜索のため裁判所は警察に対して令状を発行しているはずだが、令状発行を棄却出来ていない。(令状の自動販売機状態)
・検察は、事件の内容について深い検討をすることなく略式起訴による10万円の罰金を命じた疑いがある(モロさんのお話)
※1 予期しない動作をしてCPU等のマシンリソースを消費されてしまった人がいるため、それは主張すれば被害者にはなりえる可能性はあるかと思いますが、しかし現状法的判断が分かれている内容のものについて、事前の警告もなく検挙や逮捕をすることが適切な処置であるとは到底思えません。
陳情書について
まずは、与党、野党各党(Twitterでご提言を頂いた日本維新の会 藤巻議員も含める)、無所属議員の皆様に、まずは各党や各議員のお問い合わせフォームからメールで連絡した後、陳情書を郵送し上記で述べていること中心に出来る限りの内容を記載する予定です。詳細については内容も含めて送り次第公開を予定しています。
冤罪の危険性
今回はたまたまCoinhiveが事件化されましたが、サイバー警察の捜査能力の低さや独断的な捜査手法は、裁判所の形骸化した令状主義と相まって、今回のような事態が決して例外的な出来事ではないのではないかと考えています。
例えば、このサイトでも利用しているWordPressというCMSは、世界の30%以上のシェアを持っています。
しかし、WordPressでは改ざん被害が少なくない数(当然WordPress以外のサイトでも改ざんの被害は出ています)発生しており、もしこのような捜査能力の欠如した警察が、独自の判断により改ざんされたサイトを見つけたり、誰かが通報してしまえば、その改ざんされた運営者は誤認逮捕されてしまう危険性も十分あり得ると考えられます。
特に法的抵抗能力のない個人で、かつ技術的に根拠を示せない初級者が狙い撃ちされた場合、自分が誤って不正なプログラムをインストールしてしまったのだろうかと心配になって罪を認めてしまっても不思議ではありません。
今回の事件に対する抜本的な対策は、上記のような冤罪や内容にもつながるような重大
なぜこのような事を思い立ったのか
今回の陳情書を作ろうと考えたのは、この事件が発端ではありません。
そもそものはじまりは2018年の4月中旬に警察による自宅の家宅捜査を受けたことです。
私は愛知県に住んでおり、捜査を受けた容疑は、「被疑者不詳に対する不正アクセスの禁止等に関する法律違反被疑事件」でした。
この事件、本当に簡単に説明すると、フィッシングサイトを作った人物がおり、私が業務上行った作業によりその犯人のサーバーアカウントに私のIPアドレスが残ったため、警察は十分な裏付け捜査をしない上で、私の家を犯人の自宅であると勘違いし私の自宅を令状により家宅捜索したが当然何もでなかったという事件でした。結果としては、仕事のある日に6時間ほどの時間拘束を受けることとなりました。幸い、捜査員の方と詳しく経緯をお互い確認していくなかで、2時間ほどで私が犯人ではないことが分かりましたが、それまでは完全に犯人扱いといった印象でした。
この出来事が、私に警察のずさんな捜査体制や手法、ITスキルの欠如を実感し不安と憤りを覚えました。(詳しくは、また別の記事に書く予定です。)
ちなみに管轄は埼玉県警のとある警察署のサイバー警察でした。(一体いくらの国民の税金が無駄に投じられたのか。)
今回の事件があり、モロさんが今回の略式起訴に対して刑事裁判を起こされることを知ったのは、まさに上記の件に関して、国家公安委員会や監察官室に苦情と警察組織改善のための意見をする始めていた矢先のことでした。
このままサイバー組織や裁判所に問題提起をせず放置されれば、本来、国民の平穏を守ることを使命とする警察が、罪もないどころか本来、主である主権者(納税者)を不当に拘束し、裁判所もそれを令状によってそれを認可してしまい、逆に国民生活の平穏を脅かし、私の中では一番尊重されるべきと考える国民の身体や精神の自由、社会的地位、財産、経済活動が不当に犠牲にされる事態が発生してしまうのではないか。またはもう既に発生しているが、気づけていないだけなのではないかと本当に強い懸念があります。
ですから、例え無意味であったとしても主権者の1人であり、かつこのような家宅捜索の経験をし、これらの事案についてはある程度は専門的な見地をたまたま持っていた人間として主張しなければと考えました。
最後に
誤解がないように記述させて頂ければと思いますが私は、決してサイバー警察や裁判所を憎しの論調で叩きたいわけではなく、体制や教育なども含めて改善してもらい重大な犯罪に対する適切な抑止力や、冤罪を生まないようなシステムとなって欲しいと考えています。警察機構はどの国家においても欠かすことの出来ない治安維持システムであると考えていますし、多くの警察官が日々忙しい中で業務を誠実に行っているだろうことは、実際に家宅捜索を受けて警察の人と話した私もそう思っています。
ただ、現在の捜査能力の極めて低いサイバー警察では決して抑止力になることはありえないと考えます。
また、この捜査能力低さや人権に対する意識の低さが冤罪を生み出す温床であると考えています。
私といたしましては、一国民として一技術者として、何よりIT関連の技術者、デザイナー、その他様々な関係者が逮捕や強制捜査などにより平穏な生活を脅かされたり人権を大きく制約される懸念がなく日々の生活が送れること。現在検挙されてしまった方の名誉が回復されること。そしてこのような事件を2度と繰り返さないように、国民の代表者たる国会議員を中心に幅広い分野から有識者を集めて、必要とあれば法改正も含めた検討し、どこまでが違法でどこまで合法なのかその根拠を明確にしながらその線が分かるようにして周知して頂くこと。また、判断の分かれる問題については警察が独断で判断をするのではく、警察組織の統括機構である行政(内閣)が責任を以て統括をして頂きたい。また、裁判所には行政権から独立した司法としての役割を果たして欲しい。
ただ、このような気持ちです。乱文大変失礼致しました。
また、本日(6/16)より陳情書の準備を始めたいと思っております。陳情書につきまして記載を希望される内容等がございましたら、是非コメントを書いて頂ければ幸いです。内容によってはご期待に沿えないかもしれませんが大変微力ですが、せめて警察よりはコンセンサスを取らせて頂きたいと思います。
その他、何かご意見等ありましたら頂ければ幸いでございます。