『FFXIV』吉田P/Dインタビュー「SDSフェンリルは最初から“1段階”速く走れます」絶アルテマの話題も!【E3 2018】

E3 2018の会場内で行われた、『FFXIV』の吉田直樹プロデューサーへの合同インタビューの模様をお伝えする。ホットトピックとなっている“絶アルテマウェポン破壊作戦”の話題のほか、編集者兼光の戦士が気になるアレコレを聞いた。

 E3 2018の会場内で過密なスケジュールをこなす『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)の吉田直樹プロデューサー兼ディレクターに、短時間ながらインタビューを行う機会を得た。現在のホットトピックであろう、パッチ4.31で公開された“絶アルテマウェポン破壊作戦”についてや、次期拡張パッケージにまつわる質問を投げかけたので、ぜひともご一読いただきたい。また、『モンスターハンター:ワールド』とのコラボについても、別途インタビューを実施しているので、合わせてご覧いただけると幸いだ。

 なお、本記事は読みやすさを重視するため、インタビューに若干の編集を加えている。吉田氏のコメントおよび話の順番は、実際行われたやり取りと完全に一致しない部分があるので、あらかじめご了承願いたい。

『MH:W』×『FFXIV』コラボ 辻本氏&吉田氏インタビュー「辻本さんが待っていてくれたコラボ(吉田氏)」【E3 2018】

『MH:W』の辻本良三プロデューサーと『FFXIV』の吉田直樹プロデューサ兼ディレクターによるメディア合同インタビューの模様をお届け。

プロフィール

吉田直樹(よしだなおき)

『ファイナルファンタジーXIV』のプロデューサー兼ディレクター。不出来と言われた旧作をまさに“新生”させた立役者。スクウェア・エニックス取締役 兼 開発、第5ビジネスディビジョン 担当執行役員 兼 第5ビジネス・ディビジョン ディビジョンエグゼクティブという長い肩書きも持つ。

今回のE3は次世代機への動きを感じさせる“雌伏の年”?

──E3の会期中ということで、まずはE3のお話からしていきましょうか。吉田さんから見て、E3 2018の全体の印象はいかがですか?

吉田今年は、昨年までに各社が仕込んできた現世代機向けのタイトルがほぼ出終えたタイミングでの開催になります。そのため、コンソールのハードを作っていらっしゃるファーストパーティーと呼ばれる会社さんは、もしかすると次世代機の準備に入っているのではないかなと。そう考えると、確かに今年は全体的に発表数が少ない印象を受けます。おそらく、メディアの皆さんもそう感じておられるのではないでしょうか。

──そうですね。

吉田一方で今年は、以前にも増してコミュニティーが強くなっていると感じています。たとえば『FFXIV』のブースには業界内の光の戦士だけでなく、去年から来場可能となった一般入場者の方々も多く集まっています。『コール オブ デューティ ブラックオプス4』が好きな方はずっとブースに貼り付いていますし、『フォートナイト』あたりも同様ですね。そういえば、『コール オブ デューティ ブラックオプス4』のブースに行けなかった祖堅(祖堅正慶氏。『FFXIV』のサウンドディレクター)がすごく悔しがっていました(笑)。

──あの人混みですもんね(笑)。

吉田E3自体はすごく商業ベースなイベントではあるものの、プレイヤーのコミュニティーとゲームの作り手側とのあいだの関係は、波に押されるようにそちら(コミュニティー重視の方向)にシフトしつつあるのではないかなと。むしろシフトしていかないと、このままではE3が終わってしまうような気がします。そこはやはり、「変わらねばならないので変えていこうぜ」みたいなアメリカらしい雰囲気を感じますね。

──なるほど。

吉田今年はどちらかといえば雌伏の年なのかなと。つぎのジャンプに向けてパワーを溜めている雰囲気が、何となく伝わってきました。じつは今日、『サイバーパンク2077』のスタッフの中に光の戦士がいるということで、メディア限定のプレゼンに招待していただいたんです。「とにかく来てほしい」と言われたので、インタビューの合間を縫って行ってきました。

──いかがでしたか?

吉田同作を制作するCD PROJEKT REDは、やはりチャレンジがすごいなと思いました。CD PROJEKT REDは『ウィッチャー3 ワイルドハント』を手掛けたことで知られるスタジオですが、あれだけのヒットタイトルを作っておきながら、新規タイトルをまたゼロから開発したうえに、初お披露目の段階でこれほどのものを出してくるので……そういう部分は、いい意味でプレッシャーみたいな刺激を受けました。こういうタイトルとしっかり戦っていかないとダメだという部分は、今回改めて感じさせてもらったところです。

──『サイバーパンク2077』以外に、目を惹いたタイトルはありましたか?

吉田僕も『コール オブ デューティ ブラックオプス4』をプレイしてみたかったんですが、もう無理だろうな……(苦笑)。

パッチ4.35は京都F.A.T.E.開催前にリリース

──パッチ4.35と4.36の公開日に関する情報が発表されるのは、いつぐらいでしょうか?

吉田パッチ4.35は、Full Active Time Event in KYOTOが開催される、2018年7月16日までにはリリースされるのではないでしょうか。パッチ4.35で追加されるディープダンジョン:アメノミハシラは、30階までがシナリオに沿った部分で、そこから先は基本的に高難度コンテンツです。たぶん挑戦していただくと、おもしろくてハマると思います。実際、高難度レイドなみに難しいです。単体のモンスターが四方から視線攻撃を仕掛けてきて、いずれかひとつに当たっただけで即座に戦闘不能になったりします。キッチリと戦術を詰めていく必要がありますし、モンスターをどの位置に誘導するのかによっても、難度が大きく変わってきます。そういう展開が70階ぶん用意されているので、ぜひ100階を目指してがんばってみてください。

──前回のディープダンジョン:死者の宮殿は、本当にきびしいのは後半のごく一部のフロアー(181階以降)だけでした。今回は、その部分がけっこう長く続く感じですか?

吉田はい。

──出張プロデューサーレターLIVE in E3の放送内で、「パッチ4.4でロールアクションに調整が入るかもしれない」とおっしゃっていましたが、このあたりについて何かお話いただけることはありますか?

吉田いくつかの案をまさにいまディスカッションしているところなので、具体的な内容をお話しするのは避けたい感じです。僕が日本に戻ってから最終討議に入るので、いまお話してしまうと、そこに引きずられてしまう可能性が出てきます。もうちょっとだけお待ちください。

──ファンフェスティバルの記念品として来場者にSDSフェンリルが贈られますが、そのタイミングに合わせて、マウントのグラウンドマウントスピード(地上での速度)をもう1段階高める予定はありますか?

吉田グラウンドマウントの速度の3段階目の開放について、それ自体はまだ議論に入っていません。ただSDSフェンリルは、どのエリアの地上で乗っても必ずスピードが1段階開放された状態になっています。現在の仕様では、当該地域のシナリオをすべて終えると移動速度が1段階アップしますが、SDSフェンリルはつねにその状態で走れます。要は、いちばん遅い速度には絶対にならない、という感じです。ただし、同盟記章やセントリオ記章で開放してさらにスピードを上げるときは、従来通りの手順を踏んでいただく必要があります。

──完全に仮定の話になりますが、たとえば次期拡張パッケージでお目見えした新天地を訪れた際に、最初からグラウンドマウントスピードが1段階速いということですか?

吉田そうです。

──お、それはいいですね。ちなみにSDSフェンリルは、空を飛んだり水中を進んだりできますか?

吉田もちろんできます。バイクではありますが地上、水中、空のすべて行けます。そうしないと、皆さんに使っていただけないんですよね(苦笑)。

──見た目が変化したりは……?

吉田あのSDSフェンリルは、じつは竹谷隆之さん(フィギュア造形作家)にデザインしていただいたそうです。『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』のSDSフェンリルと違う動きをさせるのは、僕たちとしてもどうなんだろうという部分があるので、そのあたりにはさほど手を加えていません。ですので、そうした部分は期待されないほうがいいのかなと思います。

絶アルテマウェポン破壊作戦のワールドファースト争いを吉田氏が総括

──パッチ4.31でリリースされた絶アルテマウェポン破壊作戦のワールドファーストレースが、ついに決着しました。私はストリーミング観戦という形で動向を追っていたのですが、なんていうものを作ってくれたんだという感じでした(笑)。

吉田ありがとうございます。

──蛮神の覚醒ギミックや取り込む演出、ドラマチックすぎる最終フェーズなど、よくぞここまで作り込んだなという印象です。開発チームの方々もワールドファーストを巡るレースを注視されていたかと思いますが、そうした実装後のプレイヤーの反応を受けた、いまのお気持ちをお聞かせください。

吉田今回の絶アルテマウェポン破壊作戦には、“全体を通じた謎解き”というコンセプトがひとつあります。序盤に「あれ? 意外とサクサク進めるのでは?」という印象を抱いた後、いわゆる超えられない壁が登場し、そこから「もしかして、この解法は違う……?」となりますよね。3体の蛮神を覚醒させた状態で倒して、自身に限界突破のバフを付与していくという仕掛けは、当然ながら最初から設計して作られたものです。とはいえ、その部分にプレイヤーの皆さんがストレスを感じるのか、あるいは「すごい!」と思ってもらえるのかは、僕らも正直半信半疑だったんです。きっと超高難度レイドに挑戦する人たちであれば、「これはやられた!」と思ってくれのではないかと思っていたんですが……やはり少し心配でした。一昨日(ワールドセカンドを達成した海外チーム“Elysium”に所属する)ミスターハッピー(Mrhappy)さんとのインタビューでそのことを直接聞いたところ、「アメイジングでジーニアスだった(すばらしく天才的だった)」と言ってもらえたので、受け入れてもらえたのだと思い、ホッとしています。

──私もネットで記事を拝見しました。

吉田僕たちとしては、覚醒のギミックに気付くまでもう少し時間がかかるかもしれないと予測していました。ところが、日本時間のひと晩でキレイに到達されていたので、そこはよかったなと。何しろ初めての試みだったので、ひょっとしたら謎を解いてもらえないのではという不安もありました。そこを受け入れてもらえたのは、すごい大きかったです。その後も、プレイを重ねるほど“手前の段階が大切になる”展開が続くわけですが、ワールドファーストを達成したチーム(Entropy)のメンバーが「このバトルを担当したデザイナーのIQはきっと200だ」と書き込んでいたのを見て……またホッとしました(笑)。皆さん信じられないほど短い睡眠時間で挑んでおられたようなので、その部分(健康を害していないこと)にも安心しています。

──ワールドファーストを達成したチームがクリアーするまでに要した、全体の攻略時間は想定の範囲内ですか?

吉田その部分の想定はしていません。ワールドファーストを争うハイレベルなプレイヤーの方々は、どれくらいの期間で突破してくるのか想像ができないんです。8人全員が集まって、1日のうち何時間までプレイに費やせるのか。あるいはメンバー間のモチベーションがきちんとかみ合うのかは、こちらではまったく予想できません。しかも、今回はバトルの展開がかなり早いので、誰かひとりが対処に手間取ると、メンバー全員が先に進めなくなったりもします。僕たちとしては、2週間以内にはクリアーしてほしいとは思っていました。なぜなら、それ以上長期化すると、モチベーションが維持しづらくなってしまうからです。そういう基準でいうと、前回の絶バハムート討滅戦はギリギリのタイミングだったので、「もうちょっと早いほうがいいね」という話を事前にしていました。無事にクリアーしてくれて、本当にありがたかったです。また、「とにかくおもしろかった!」と言ってもらえたことが、何よりもうれしいです。

──一連のストリーミングを観ていた私からすると、前回の絶バハムート討滅戦以上に、最終フェーズの戦いがきびしいなという印象を受けました。本当にギリギリの火力勝負ということもあり、解法は理解していても、攻略に行き詰まってしまうケースもあるのではないかとも思ったのですが、いかがでしょうか?

吉田それは回数の問題だけな気がします。今回はどちらかといえば全体の謎解きがすごく難しいので、それがわかってしまえば、後から攻略する人たちは圧倒的に楽になるはずです。実際にスタッフたちとそういう話をしていたのですが、たぶんストリーミングで観戦した際に、そういう印象を受けただけだろうと思います。

──まだまだワールドファーストが出たばかりの段階で、どのチームもギリギリでクリアーしている状態ですもんね。

吉田はい。長い期間をかけて絶バハムート討滅戦をクリアーして自信を持った方も、当初トッププレイヤーたちのライブ配信を観ていたころは、少なからず不安を抱いていたはずです。いずれにしても、プレイを重ねていけば大丈夫です。

──それにしても、あのギリギリな展開を見ると、完璧な計算のもとで作られたコンテンツだなと感じました。

吉田絶アルテマウェポン破壊作戦を制作した担当者は、そもそも『FFXIV』のバトルシステムの根幹を設計している人物です。すべてのバトル計算式をひとりで作ってきたスタッフが、今回の超高難度レイドを手掛けています。彼は、いまでもアイテムレベルやサブパラメータに関するすべての設計を担当しているうえ、経験値の排出量を決定する責任者でもあります。また、ディープダンジョンシリーズのベースとなるシステム開発までも担当していて……ひと言でいうと、天才なんです。絶アルテマウェポン破壊作戦は、じつに彼らしい、完全に計算された作りだと思います。だからこそ、外部アプリケーションのプラグインを使うとグラナイト・ジェイルの対象者(ジョブ)が事前にわかってしまう事態が生じたことについては、「もうちょっとやりようがあったな……」と言って本当に悔しがっていました。

──絶バハムート討滅戦のときもそうでしたが、こうした事象について吉田さんはしっかりとコメントを出されますよね。

吉田世界で戦っている最先端の国産MMORPGを作っているのは僕たちしかいないせいか、いまの日本にはPCでゲームを遊ぶ文化がさほどありません。しかし、若いプレイヤーたちは、『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』や『フォートナイト』といった人気タイトルを、PCでガンガン遊んでいるんです。mod(Modificationの略。ゲームのグラフィックスやプログラムを遊び手側が改造/機能を追加して楽しむこと)の文化にも、まったく抵抗なく、当然のようになじんでいます。

──確かにそうですね。

吉田そこを認めてあげないと、日本のゲーマー(文化)の成長はないと思っているので、だからこそきちんと“何がよくないことなのか”を伝えるべきではないかなと。当該アプリケーションは、サーバーからゲーム側に送信されてくる正式なパケットを表示(外部UI)につないでいるだけで、改変・改造しているわけでもなく、メモリーをリークさせているわけでもありません。そもそも、“表示につなぐ”といったことをできないように防ぐ責任は、僕たちの側にあるのではないかなと。modやPCツールにまつわる“いい悪い”は、その後の話であって、文化そのものはいいことだと思っています。そうでなければ、ユーザージェネレイテッドコンテンツ(UGC。一般ユーザーによって制作されたコンテンツ)が出てこなくなってしまいます。

──PCゲームでは当たり前の文化ですしね。

吉田そこをきちんとポリシーを持って伝えていくのも、僕の仕事のひとつかなと思っているので、そういうコメントはなるべく逃げずに発信できるようにしたいなと。たとえその時点で誤解を招いたとしても、地道に説明を続けていけばきっとわかってもらえる……もしかしたら何年も先のことかもしれませんし、別のPCゲームが出たときなのかもしれません。いずれにせよ、いまそれを行っておく必要があるのかなとは思っています。なぜそう感じているのかいうと、どちらかといえば僕がゲーマーだからなんですけどね(笑)。

──話題を戻しますが、パッチ4.Xシリーズの“絶コンテンツ”は、絶アルテマウェポン破壊作戦で打ち止めですか?

吉田はい。いったんつぎの計画は、まったくの白紙の状態にしてあります。そのとき就任する“絶コンテンツ”の担当者が、手掛けたいボスを選んでくるところから始まるのではないのかと思っているところです。今回の絶アルテマウェポン破壊作戦で、高い壁がまたひとつ増えたかなと。現状、“絶コンテンツ”を作れるスタッフはたぶん3人くらいしかいません。とはいえ、みんな開発経験を積んできたおかげで、ツクヨミ討滅戦みたいな、シナリオをバトルにうまく落とし込むようなこともできるようになりました。

──ツクヨミ戦もじつにドラマティックですよね。

吉田ですが、“表現すること”と、“緻密に作ること”はまた少し違うので……。今回の絶の担当者は、大迷宮バハムート:邂逅編の3層以外のバトルをひとりで作ってきた、本物の天才です。じつは彼は当初から「本当の意味でのツインタニア戦を作りたい」と言っていました。

──ツインタニアですか?

吉田大迷宮バハムート:邂逅編の5層では、土壇場の状況で拘束具を落とす位置を最初から見直さなければなりませんでしたよね。当時は初めて高難度レイドを作ったこともあって、彼の中ではそのあたりの詰めが甘かったところがあったようです。あのころよりもプレイヤーは戦闘に慣れているでしょうし、だからこそ「今回はその謎解きをより完璧に計算したうえで作りたい」と話していました。

──なるほど。手前の段階の攻略が重要になるというコンセプトは、ツインタニアからつながっていると。

吉田最後にアルテマウェポンが光の戦士をひとりずつ消し去っていくあたりも、“中二病”がキレイに炸裂していると思います(笑)。

──現在クリアーしているチームは、たいがいそこで悲鳴を上げていますよね。「頼むからお前が倒してくれ!」みたいな感じで。すごく好きです(笑)。

吉田僕もそういう動画は観ました。「あとは頼んだ!」みたいな(笑)。あの技は、アルテマウェポンに与えたトータルのダメージ量がもっとも低い人から順番に消し飛ばされていく仕掛けです。

──「DPSが最後に残るようになっているのは、開発の優しさだ」みたいに言われていますね。

吉田ですので、そのバトルでもっとも火力を出している人を最後に消滅させるようになっています。いわば、“託していく”イメージです。それにしてもDoT(継続ダメージ)で勝つシーンは、すごい劇的でした。そのうえ、ワールドファースト達成チームが初めてクリアーした瞬間にいたっては、カーバンクル(ミラージュプリズムしたイフリート・エギ)がトドメを刺していましたし……。担当スタッフは、本当によく作ってくれたと思います。

24人レイドを“通常ロット”に戻した経緯は

──失われた聖塔 リドルアナを含む24人レイドのGREED限定のルールが、パッチ4.2以前の状態(通常ロット)に戻りました。リリース前に吉田さんからご説明いただいた一連の経緯を聞いて、私は一定の納得が得られたのですが、今回の措置はやはりプレイヤーの感情に対する配慮なのでしょうか?

吉田そうですね。そのおかげで、通常のロットルールに戻したら「クリアーがたいへんになったぞ」みたいになっています。ですがそれはけっきょく、皆さんがサブジョブで挑み始めているのが理由です。結果的にGREED限定と通常ロットを両方試したことで、双方のよさをどちらも感じていただけたと思います。今後も運営を続けていくうえで、その部分に関して議論が起こってくれればいいなと。いまのコミュニティーの6〜7割くらいの方々が通常ロットがいいと感じているのであれば、もとに戻したほうが楽しんでもらえるはず。僕が提示した答えを、押し付ける気はありません。ですが、いずれにしても、ロットに勝てない人は出てくるので……(苦笑)。

──NEEDができたとしても、ドロップそのものの問題もありますし、大幅に入手確率が上がるわけでもないんですよね。

吉田それは感覚の問題です。皆さんは確率や試行回数をメモしながらプレイしているわけではないので。でも、いろいろと試行錯誤するということ自体も、MMORPGのおもしろさかなと思っています。

──周囲から話を聞くと、「タンクで参加してもタンク用の装備が取りづらい」という意見が多い印象です。

吉田ほかにも「どの装備にGREEDしても取れない」みたいな声もありますが……でもそれはいずれのロットルールの場合でも起きうること、という感じです(苦笑)。ちなみに通常ロットに戻したことで、マッチングでロールに偏りが出ています。

──もともとマッチングのスピード向上も踏まえた施策だったのでしょうし、当然そうなりますよね。

吉田どちらが正しいというのではなくて、よし悪しかなと思います。

──それにしても、検討から決断までが早かったように感じられました。フットワークがすごく軽いなと。

吉田パッチ公開から2週間にわたって様子を見たところ、批判の声が沈静化というか拮抗し始めてはいたんですが、思ったほど肯定派が増えませんでした。そこで、「これは戻したほうがいいな」と。プログラムを少し書き換えれば、基本的にすぐもとに戻せる仕組みにはしてありました。有用なフィードバックをたくさんいただいたので、リワードの仕組みを今後作っていくうえで、いいテストケースになったと思っています。

──さて、ファンフェスティバルの北米公演がそろそろ近づいてきましたが、5.0の発表があるのではないかとプレイヤーのあいだでいろいろ予想されています。過去の流れを踏まえると、あと2回のメジャーアップデートを経た後に、次期拡張パッケージがリリースされるのではと……。

吉田丸5年開発を続けてきたこともあり、ひとつひとつのコンテンツのクオリティーやゲーム体験が、近年一気に高められてきていると思っています。“絶コンテンツ”もそうですし、ツクヨミ討滅戦の演出もご好評いただいていますし、禁断の地 エウレカ:パゴス編も間もなくリリースを迎えます。それらを集約したうえで、まずはパッチ4.4で公開される次元の狭間オメガの最終章で、また皆さんに驚いていただきたいなと。ですから、まだ先の展開をお話しするよりも、次元の狭間オメガとリターン・トゥ・イヴァリースというふたつの新しいレイドの完結が今後控えているので、まずそのあたりを全力で楽しんでいただきたいです。

──4.xシリーズもまだまだ完結していないですもんね。楽しみです。

吉田同時に、「メインシナリオがどこに向かうんだろう」という感じになっていると思うので、その部分にもご期待いただければと。そしてファンフェスティバルでは、“何らかの何か”があると思うので……(笑)。

──公式にはまだ何もコメントされていませんよね(笑)。

吉田FFXIV』は、プレイすること以外の楽しさも目指しているので、そういう情報の出しかたですとか、ライブ感にも今後ご期待いただきたいなと。ともあれ、夏は『モンスターハンター:ワールド』とのコラボで盛り上がっていただいですし、いろいろな面で「またようやるなぁ」といったところを見てもらえるとうれしいです。