あのスキンヘッドが久々に公の場に姿を見せた。

 教え子で五輪4連覇の伊調馨(34)らへのパワハラ行為が認定された前日本協会強化本部長の栄和人氏(57)が14日、東京・駒沢体育館で会見。「伊調選手、(元日本代表男子コーチの)田南部(力)コーチに深くおわびしたい」と深々と頭を下げた。

 パワハラの原因については「その場、その場でのコミュニケーション不足が招いたと思う。行き違いが生まれた」と説明。これまで伊調の所属先であるアルソックの大橋正教監督を通じて本人との面会を申し入れたが、いまだ実現していないそうで、「これから協会を通して、会って直接謝罪したいと思う」と話した。

 日本協会の第三者委員会がパワハラを認定したのは4月6日。栄氏が2カ月以上も接触できずにいるのは、依然として伊調側にわだかまりがあるからだ。

 伊調側は栄氏に加えて、協会の一部に対しても根強い不信感を抱いているという。

 さる協会幹部がパワハラ認定後、伊調側にこう言い放ったという。

「これだけの騒ぎを起こしたのだから、まずは伊調と田南部が謝りに来るべきだろう」

 各メディアがこぞって取り上げ、一時は社会問題にまで発展したパワハラ騒動は、加害者よりも内閣府に告発して騒ぎの火種を落とした被害者側に非があるといわんばかりだったそうだ。

 栄監督にしても「(アルソックの)監督に謝罪したいという話は何度かした」と言ったが、これも疑わしい。関係者によれば、栄氏からの連絡は「謝罪したいから会いたい」との趣旨ではなかったという。

 日本協会は伊調の現役続行に関して全面的にバックアップする姿勢を見せている。一時は練習場所の確保もままならなかった五輪女王に道場の提供まで申し出た。その一方で、日体大レスリング部の女子外部コーチを務める田南部氏と大会会場ですれ違った際、あからさまに無視する幹部もいるという。

 栄氏だけでなく、当事者意識の薄い協会の一部幹部をなんとかしない限り、レスリング界からパワハラは根絶できそうにない。