〈時代の正体〉人種差別主義者が再び川崎で集会計画 26日にミューザ川崎で
- 社会|神奈川新聞|
- 公開:2018/06/16 09:24 更新:2018/06/16 09:52
人種差別主義者が主催する集会の利用申請がなされたミューザ川崎=川崎市幸区
同市では、人種差別扇動者の瀬戸弘幸氏が3日に計画したヘイト集会が市民の抗議で中止になったばかり。高橋氏は参加者の一人だった。
同会は1947年、川崎で密造酒摘発を指揮して朝鮮人に殺害された税務官の「慰霊祭」と称し、毎年6月26日に集会を開催している。昨年は瀬戸氏や、人種差別団体「在日特権を許さない市民の会」の会長らヘイトスピーチの常習者も参加していた。
今回は慰霊祭と銘打っているが、抗議の市民を威力業務妨害罪で訴える準備を進めていると公言している瀬戸氏は、自身のブログで「裁判の打ち合わせ会を開催する」と、ヘイト集会参加者の来場を呼び掛けている。
高橋氏は、民族虐殺をうたい在日コリアン集住地区を標的にした「川崎発日本浄化デモ」など、市内外でのヘイトデモに参加してきた。昨年12月、瀬戸氏主催のヘイト集会で登壇した際は「税務官はヘイトで殺された。ヘイトスピーチで(在日コリアンの)誰か死んだか」と発言。密造酒摘発が民族弾圧として繰り返されてきたという史実を無視した上で、特定の民族を属性でひとくくりにして凶悪な存在に仕立て、人間としての存在を否定し、ときに自死にまで追い込むヘイトスピーチを目に見える被害の程度の問題にすり替え、差別を正当化してみせた。
また、地方参政権のない外国籍市民の声を市政に反映させる仕組みとして市が条例で定めた外国人市民代表者会議について、「外国人の支配が川崎市では延々と続く図式になっている」「外国人会議には日本人は参加できない。これが差別」と主張。外国人が「支配者」であり、日本人こそが差別されているという、加害と被害の立場を逆転させた倒錯した前提に立ち、多文化共生施策を批判することで外国人市民は共に生きる存在ではない、地域社会から排除すべき存在であるという排斥のメッセージを発信した。
さらに、朝鮮学校の高校無償化制度の適用を求める運動について、国連人種差別撤廃委員会などが朝鮮学校に対する差別を是正するよう日本政府に再三勧告しているにもかかわらず、「無償化を適用しないのは、国際条約に反するものでもない」とデマをもって誹謗(ひぼう)中傷。「無償化しないのは差別だと言っている人たちに対して闘っていかないといけない」と在日コリアンを敵視し、差別や排斥の感情をあおるヘイトスピーチを重ねて行った。
JR川崎駅西口のミューザ川崎は音楽ホールのほか商業施設とオフィスがあり、指定管理者の市文化財団グループが運営する。市市民文化振興室は「適切な運営を行う観点から主催者の情報発信を注視している」と話している。