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ありふれた職業で世界最強 作者:厨二好き/白米良

ありふれたアフターストーリーⅢ

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ありふれたアフターⅢ ユエの日記④




○月♪日


 ハジメとシアが旅行デートに出て数日が経った。


 シアは毎日、今日は~をしました! という元気いっぱいなメールを送ってくる。


 ただ……長文だ。ものすごく、長文だ。


 シア。日記というのは経過報告書じゃないから。


 朝起きた瞬間からの出来事を、時系列でまとめて書かなくていいから。


 メールを見た香織が「うわぁ、ユエって、快く送り出したと思ったのにシアに監視役をさせてたの? ちょっと引いちゃうよ~」とドン引き顔で勘違いしちゃうから。


 取り敢えず、雷龍しといたけど。


 まったく、シアはどれだけ私のことが好きなのだろう。私への長文メールを作成する時間があるなら、ハジメといちゃいちゃしてればいいのに。


 ()いやつめ! 


 それにしても、シアから送られてきたスマホの写真……


 一体どこの密林で、どこの現地民なの? なんでガチムチな男達と良い笑顔でボディビルポーズとってるの? ちょっと目に優しくないんですが……


 ハジメ、しっかり! きちんとシアを見ててあげて! 第二のミュウにしちゃダメ!




○月$日


 もっとシンプルでいいのよ? と、シアに返信したら、『地球版ライセン大迷宮(笑)より』と題して、トラップの残骸写真を送ってきた。


 なるほど、まったく分からん。


 いや、想像はできる。できるけれども! 


 シア。省略しすぎで、ユエさんはいろいろ気になります。


 こういうときは詳細を送ってもいいのよ?


 あと、ハジメ。『シアがエターナルシアフィーバーを撃てるようになったらしい。俺はどうしたらいいと思う?』ってメール送られても、私も、どうしたらいいのか分からないです……


 というか、永遠にシアが大興奮を撃つってどういうこと?



追記


 さっき、追加でメールが来た。


 一体どういう状況で、地球にいながら大迷宮攻略みたいなことをしているのか、わくわくドキドキしながら確認したのだけど……


 内容は、『さっき言い忘れてました! 帰ったら南雲家緊急家族会議がしたいですぅ! 議題は、ハジメさんの危険運転について! 乗り物に武装つけずにはいられないって、どうかと思うんです!』


 違う、そうじゃない。シア、そこじゃなくて、経緯をね? 吸血姫はウサギさんに旅の詳細を聞きたいのよ? 


 届け、この想い!


 あと、ハジメ。『シアは、シアインパクトもいけるらしい。もうこの際、斬艦刀とか、千の○の英雄とか作ってやろうかと思うんだけど、どう思う?』って言われても、そもそも何を言ってるのかちょっと分からないです。


 取り敢えず、寝る前にググろう。



追記2


 更に、返信が来た。素早い返信だ。流石、私のシア。以心伝心である。


 と、思ったのだけど……


『そんなことより聞いてください、ユエさん! ハジメさんのアラクネさん達がおかしいんです! 絶対、何か取り憑いてますよぉ。たぶん、使徒とか!』


 ちがうの~、ユエさんが気になってるのは、そこじゃないの~っ。


 いや、アラクネ達に何か取り憑いてるというのも、凄く気になるんだけれども!


 ええいっ、シア! やっぱり全部報告しなさい!


 吸血姫は、微に入り細に穿った報告書を所望します!



追記3


 返信がきた。


『全部報告って……。んもっ、ユエさんったら束縛系ですよね! このさびしんぼの欲しがりさんめ! 帰ったらお話しますから、楽しみに待っててください。それじゃあ、もう寝るんで、おやすみなさぁ~い』


 待って、ちょっと待って! いろいろ言いたいことがある!


 と思って直ぐに返信したのだけど……


 返信は、来なかった。


 三回くらいメールした。もういっそのこと! って思って電話もした。


 返信は、来なかった。


 電話も、出てくれなかった。


 解せぬぅ~。


 もう、ベッドの上でジタバタするしかない。枕だって叩いてやる。


 この枕めっ。


 しばらく、枕とベッドに八つ当たりをした私は、ふと奇策を思いついて、ミュウの部屋にいった。ミュウからの連絡なら、あるいはと思ったのだ。


 寝ているミュウは、いつ見てもかわゆす。起こすのは忍びない。でも、ユエさんは、もういろいろ気になりすぎて眠れないのです。


 そう思って、ミュウをゆさゆさ揺さぶって起こした。そして、目をコシコシして起きてくれたミュウに連絡して欲しいと言ったら、


「……ユエお姉ちゃん。いい加減、シアお姉ちゃん離れして欲しいの。っていうか、眠いの。出口は向こうなの」


 と、ものすっごく冷たい声とジト目で言われてしまった。


 私の心にヒビが入りました。




○月¥日


 ミュウに嫌われてないかと夜も眠れなかった私は、こっそりミュウのベッドサイトで正座待機することにしたのだけど……


 朝、起きたミュウにものすっごい悲鳴を上げられました。


 曰く、目が覚めたら、目の前に光のない目でジッと見つめてくる私がいて、めっちゃこわかったらしい……。


 ……うん、確かに恐い。自分でしておいてなんだけど、完全にホラーだ。


 平身低頭、謝ったら許してくれたのでホッとした。


 というか、ミュウに溜息を吐かれた挙げ句、昨日は言い過ぎたのと優しい目で逆に謝罪され、更に慰められた。


……


 鬱だ。


 今日はもう、何もする気が起きない。



追記


 朝のことで香織にからかわれたので、下着だけ転移させて風に乗せてやった。


 とんでけ~、どこまでも~




○月∽日


 今、家の中にクラスメイトとその家族が大集合している。


 悪魔と、その崇拝者の襲撃に備えるためだ。


 ふっ、刮目せよ。正妻ユエさんの〝おもてなし〟を!


 それはそれとして、悪魔共は私の身内や仲間を狙った上に、間接的とはいえお父様に怪我を負わせた相手だ。


 コロス。存在の欠片すらも残さない……


 と思ったいたのだけれど、エンドウに引っ込んでろと言われたので、私は大人しくお家にいて、今、これを綴っている。


 ハジメに頼まれたのは自分だなどと言われては見届けてあげなくてはいけないし、それに、あの子……クラウディアと言ったか。あの子の、切実で、何かを押し殺した目を思い出すと、やらせてあげたいという思いもあった。


 とりあえず、この件が片づいたらエンドウは一度シメルとして、今、私がすべきことは留守を完璧に預かることと、一生懸命前へ進もうとする子達を見守ることだろう。


 おや? 日記に集中していたら、いつの間にか家の中がだいぶ混沌としてきている。


 優花がめちゃくちゃそわそわしている。そう言えば、優花が南雲家に入るのは初めてだったっけ? 


 気になるの? ハジメのお部屋が、そんなに気になるの? よろしい。正妻たるこの私が、南雲家ハジメプレイス巡りの案内人を務めてあげようじゃないか。


 でも、うちの子達みたいにハジメの服、特に下着は勝手に持って行かないこと!


 あと、妙子。家の中で鎖を振り回すのは止めなさい。舌舐めずりも止めなさい。アレンが可愛そうなくらい震えてるから。あと、男子が数人、妙子を見て「女王様……」とか呟いているから。


 南雲家で変なプレイは許しま――


 身内以外は、許しません!


 それと、香織パパとお父様がまた取っ組み合いの喧嘩を……


 おや?


 なるほど。人が多いので物理で喧嘩ではなく、格ゲーで決着をつけようと。


 せっかくなのでみんなでトーナメント戦をするみたい。


 ……よかろう。ゲーマーユエの実力、見せて差し上げよう!


 ……


 ……


 ……


 うぅ、ハジメぇ。ミュウが! ミュウがぁ~。


こんなのおかしいよぉ。ミュウ、強すぎるよ……手も足もでなかったよ…… 


 ミュウ、もしかして、まだ怒ってるの? 夜中に起こしたこと、朝、正座待機してたこと、まだおこなの? そうなの?


 あ、ミュウがお父様にフルボッコにされてる。


 ミュウが泣きべそかきながら必死に立て直そうとしてるけど、お父様、高笑いしながらえげつないコンボ技でボッコボコにしてる。


 あぁ、ミュウのキャラが、綺麗な放物線を描いて飛んでいった……。


 お父様が、「俺がいっちば~~~ん!」と立ち上がって、人差し指を掲げて勝利宣言した。


 お父様……


 幼女相手に本気で勝ちにいって、全力で勝利を喜ぶ姿に、全員がどん引きしています。


 私も、ちょっと引いてます。


 お父様の足下で、ミュウが四つん這いですよ。気づいてますか?


 ああ、ほら、ミュウが泣いちゃってますよ、号泣ですよ。


 あ、ミュウが最終兵器『お爺ちゃんなんて大っ嫌い!』を発動した!


 お父様が崩れ落ちた!


 四つん這いの幼女の隣で、大の大人が四つん這いになってる……。


 なんだかクラスメイトとその家族が、「なるほど。これが南雲家の日常か……」みたいな顔をしている。


 違うんですよ、皆さん。南雲家は、南雲家は……うん、いつも通りだ。


 むしろ、菫お母様がクラスメイトのご家族のおもてなしを頑張っている分、かなり平和だ。


 レミアがミュウを抱っこして慰めている横で、香織パパがお父様の肩を、やたらと優しい表情でポンポンしている。「効くだろ? こう、魂にさ。私は、それをほぼ毎日、受けてるんだ」と、悟りを開いた老人みたいな顔で言ってる。


 香織を見たら、スッと視線を逸らした。


 なるほど。白崎家では、ほぼ毎日ハジメ論争が起きていて、その度に娘からの言葉の弾丸を食らった香織パパが瀕死になっていると。


 いいぞ、香織パパ! もっとやれ! 娘に勝利し、ハジメから引き離せ――


 あ、何をするっ、香織! 


 ――


 ――


 ――


 全く、書いてる途中の日記を取り上げようなんて、香織は本当に凶暴だ。野生の香織だ。常に追い詰められた獣である。というか、隠しながら部屋の隅で書いていたのに、なんで書いてる内容が分かったんだろう?


 乙女の勘とか言ってたけど……ふっ、香織め、やりおる。


 むっ。バチカンの方で動きがあったみたい。日記はここまでしておこう。途中、心の汗が落ちてなんだか読みにくいにし、後で書き直そうかな。


 さて、悪魔共。戦争の時間だ。


 格ゲーで幼女にフルボッコにされた私の悲しみ。


 存分に受けるがいいっ!




○月√日


 ようやく事件が一段落した。


 日記も数日空けてしまったけど、今日から再開する。


 それにしても驚いた。ミュウの大罪戦隊の中の人が、まさか悪魔達の王様だったなんて。


 ハジメを前にして「いや、魔王を前に不遜っすよ。自分等なんて、ただの悪魔、いや、チンピラっすよ!」と、べるふぇごーる(?)とかいうのが言ってたけど……


 配下の悪魔を抑えるために、本気を見せたときの彼等のプレッシャーは凄まじかった。あるいは、エヒトに勝るとも劣らないレベル。


 危険だ。私達が油断できないレベルというのは危険だ。


 ミュウは信頼しているようだけど、念の為、正妻の力を見せておいた方がいいだろう。


 そう思って、今日、ミュウに彼等を出して貰った。


 そしたら「いや、魔王の正妻を前に不遜っすよ。自分等なんて、ただチンピラや、いや、姫のペットっすよ!」と、べるふぇごーる(?)とかいうのが言い出した。


 なんというか、それでいいの? 出てくる度に〝格〟がだだ下がりしてるんだけど。


 しかも自分で下げまくっているんだけど。


 一応、大罪の七柱で、いわゆる書物に出てくる魔王で、伝説の悪魔なんでしょう?


 なんだか切なくなってしまった。ミュウの言う通り、悪い感じはしないから、力を見せつけなくてもいいかな。調子に乗ってきたと感じたら、エンドウも含めて調教することにしよう。


 とはいえ、エヒト級の悪魔に「姫!」と呼ばれて、忠誠だか友情だかは知らないけれど、とにかく親愛の情を向けられているミュウって……


 レミアが、「ミュウは、どこに行く気なのかしら」と遠い目をしていたのも仕方ないことだと思う。私も、そう思うし。


 よくよく考えると、私達――異世界で魔王とか魔神とか呼ばれている人、神の力も使える不死身の吸血姫、いろいろバグってる超人ウサギ、神の使徒になれちゃうむっつりすけべ、最近「斬れないものはあんまりない! ……いや、本当にないわね、斬れないもの」ってなってきた乙女な剣士、変態ドラゴンetc.――も、客観的に見ればミュウに親愛の情を向けている者達だ。


 日記を書きながら、ちょっと冷や汗が出てきた。


 ふと思ったのだけど、ハジメとシアが初めてミュウと出会ったとき、もしかして二人がミュウを見つけたんじゃなくて、ミュウが二人を引き寄せたのかも? 


 今回も、ちゃっかり英国保安局の局長を骨抜きにしてたし。


 ハイリヒ王国の次期国王は既に骨抜きだし。


 七柱の悪魔を抑えることができる子として、バチカンでも一目置かれるようになってたし。というか、最終的に、視線で人を殺したがっているエクソシストの長官さんが、好々爺みたない顔になってたような。


 ……うん、これ以上は考えないようにしよう。




○月⇔日


 さぁ、ミュウ! コントローラーを取れ!


 格ゲーリベンジマッチだ!


 こっそり、何日も徹夜して磨き抜いた格ゲーマーユエの実力をとくと味わうがいい!


 幼女に負ける吸血姫などいないことを、教えてあげる!




○月〆日


 まだだっ。まだ終わらんよ!




○月†日


 ま、まだ終わらんし




○月≠日


 お、終わらんしぃ




○月@日


 ミュウが! ミュウが強くて倒せない!




○月∃日


 ハジメぇ。ミュウが! ミュウが遂に相手をしてくれなくなりました!


 どうしたらいいですか!



○月〒日


 ここ数日、私はどうかしていたらしい。目の下に隈を作ってまで、格ゲーにのめり込むなんて……。普通に、ハジメに怒られ、ミュウになんとも言えない目を向けられ、香織には散々弄られ、お父様達には生温かい目で見られ……


 吸血姫、大変反省しております。


 それはそれとして、第……誰か何回目か覚えてないの?南雲家家族会議を開催した。


 議題は、「ハジメの乗り物武装化癖について」「中の人問題」だ。


 前者はシアが出した議題だ。ついでに、自分の「同乗者がいる場合、シアにハンドルを触らせない」という以前の会議決定を覆したいらしい。


 取り敢えず、ハジメの熱弁が凄かった。如何に、乗り物には武装が必要不可欠か、わざわざプロジェクターまで持ち出して、どこかの企業のプレゼンテーションみたいに強く訴えていた。


 途中で面倒になったらしい菫お母様の「ああもうっ、鬱陶しいわね! もう好きにしなさいよ! あと、シアちゃんの撤回案は却下で」の言葉で、ハジメはガッツポーズをし、シアは四つん這いにうなだれた。


 まぁ、乗り物どころか、ミュウの自転車にすら武装を取り付けているハジメだから、今更だと思うし、シアはハンドルを握った時の性格豹変をどうにかするまで議論の余地はない。


 ……私も、前にバイクの後ろに乗せられて酷い目にあったし。


 さて重要なのは、「中の人問題」だ。


 デモンレンジャーズの中の人が、あれだったのだ。他にもいる可能性はある。ミュウの持つゴーレムだけという可能性も無きにしも非ずだけれど、確かめないわけにはいかない。


 そんなわけで、地下の広い空間で、ハジメがグリムリーパーやアラクネなんかを出してみたのだけど……


 案の定だった。


 主にグリムリーパーにだけど、有名どころの悪魔さん達が取り憑いていた。


 なんでも、「王様達ばっかりずりぃ。なんでか知らないけどご主人の人形はいろいろ制約を無視して取り憑けちゃうんだよね」(意訳)ということらしい。


 地獄に迷い込んだときにちゃっかり入り込んだ連中もかなりいるみたいだ。


 ハジメが頬をピクピクさせながら追い出そうとしたのだけど……


 魂魄にダメージを与える砲撃を与えても「やめてっ、消えちゃうからやめてぇ。ごすずんの役に立つからぁ!」と、中々諦めが悪かった。そんなに現世や異世界を楽しみたいのか。


 地獄は、よほど詰まらない場所らしい。


 結局、ミュウのとりなしもあって、ハジメはゴーレムを宿主とすることを認めた。


 ふむ。これで言い訳のしようもなく〝魔王〟になったわけだ。


 ハジメ! 素敵です!


 それはそれとして、二体ほど毛色の違うゴーレムがいた。


 アラクネだ。ハジメが悪戯心で、エーアストとノイントと名付けたゴーレムである。


 二体は、悪魔としての名乗りをあげなかったのだ。というか、名前がなくてあげられないみたいな感じだった。


 シアが、「まさか……本当に使徒じゃないですよね? 私とハジメさんがブッコロしたエーストとノイントじゃないですよね?」と、ちょっと引き攣り顔で尋ねたら……


 二体が、揃って明後日の方向を見だした。決して視線を合わせようとしない。


 ものすっごく怪しかった。


 けれど、使徒にしては動きがいちいちコミカルで、やたらと人間臭い。使徒といえば、無機質無感情無表情がデフォルトの、まさに〝神の人形〟というべき存在だった。


 試しに、ハジメがあるものを取り出した。


 香織は元の体に戻った後、私が秘術を使って使徒化できるようにしたのだけど、その後、ノイントの体は一応、保管してある


 誰かが肉体を失うような危険な状況に陥ったとき、香織のときと同じ方法で緊急避難できる優秀な肉体があった方がいいという考えからだ。


 その、クリスタルのような結晶体の中に保管されたノイントの体を出した瞬間。


 二体のアラクネが猛ダッシュした。ノイントの体に向かって。


 もちろん、ハジメはそんな指示は出してない。


 しかも、エーアストは、途中で併走するノイントの足を引っかけて転ばせるという暴挙に出た。


 すると、転倒したノイントは、糸を吐き出してエーアストを足止め。もがくエーアストを蹴り飛ばして猛ダッシュ。


 そうはさせじと、エーアストが足に取り付けられた注射針を撃ってノイントを吹き飛ばし……


 二体は、醜い取っ組み合いの喧嘩を始めた。足で相手をポカポカと叩き、組み合ったままゴロゴロと床を転がる。


 ハジメが頭を抱えながらノイントの体を宝物庫に戻すと、二体は揃って「あ~~!」と足を伸ばし、そして、うなだれた。


 ハジメ。認めよう? 中の人、使徒だよ。


 ハジメの表情は盛大に引き攣っていた。シア達の表情も引き攣っていた。


 ハジメが「いや、あり得ない。そもそも、あいつらに魂なんてないし、仮にあったとしても、こんな人間臭い性格の説明がつかない」とブツブツ呟いていた。


 確かにそうなのだけど……


 何故か、詳しいことを聞こうとしても、ミュウでも二体の声は聞こえないらしく、ならばと筆談を迫っても何も書こうとしない。


 ハジメが「……処分するか」と呟いた途端、必死に役に立ちます的な(たぶんだけど)アピールをしていたのと、ミュウの悪い感じはしないという感想から、一応、処分は保留となった。


 いつ、どこで、どうやって、何者が取り憑いたのか。


 そこはハジメとしても解明したいみたいで、しばらくは調査研究するらしい。


 ふむ。私もすっごく気になるところです。


 取り敢えず、それまではエーアスト(仮)と、ノイント(仮)、略して、エガリさんとノガリさんと呼ぶことが、今日の会議の最終決定事項でした。



○月×日


 ハウリア達がやってきた!


 明日から、ハウリア達を連れて地球観光です。


 ところで、ハジメ。「取り扱い要注意! ハウリアマニュアル」って……


 大丈夫かな?


 うん、きっと大丈夫じゃない。


 私も、明日のために、いろいろ備えておこう。


いつもお読みいただきありがとうございます。

感想・意見・誤字脱字報告もありがとうございます。


現在、外伝零2巻の執筆が予想外に押しておりまして、更新用のお話を書く時間が厳しい状況です。

今回も字数とか内容とか(汗……楽しみにしてくださっていた方々には申し訳ない。

来週の更新も、執筆作業の進捗次第ですが、もしかすると厳しいかもしれません。

楽しみしてくださっている方々には申し訳ないですが、しょうがねぇ白米だなぁと、30日まで待っていただければ助かります。



※コミックガルド、最新話紹介していませんでしたので一応。

・日常19話更新してます。

 ⇒ハジメを指導するミュウがツボでしたw

・零4話

 ⇒ウザミレディの始まり。最後の表情がすごく良かった。神地先生の作画力に敬礼です!

・本編コミック22話

 ⇒こちらもミレディ! ゴーレムがかっこいいです。


宣伝で恐縮ですが、7月25日コミック零1巻が発売となります。

オーバーラップ様のHPでも、書影が公開されました。

挿絵(By みてみん)

元気いっぱいな感じがかわいいですね! 神地あたる先生に感謝!

どうしてあんなにうざいのか。ミレディの過去(幼女ミレディ)が明らかになったりします。

お手に取っていただければ、とても嬉しいです。 






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私、能力は平均値でって言ったよね!

アスカム子爵家長女、アデル・フォン・アスカムは、10歳になったある日、強烈な頭痛と共に全てを思い出した。  自分が以前、栗原海里(くりはらみさと)という名の18//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全297部分)
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  • 最終掲載日:2018/06/15 00:00
フェアリーテイル・クロニクル ~空気読まない異世界ライフ~

※作者多忙につき、完結まで毎月第四土曜日の更新とさせていただきます。 ※2016年2月27日、本編完結しました。  ゲームをしていたヘタレ男と美少女は、悪質な//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全231部分)
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  • 最終掲載日:2018/04/28 07:00
レジェンド

東北の田舎町に住んでいた佐伯玲二は夏休み中に事故によりその命を散らす。……だが、気が付くと白い世界に存在しており、目の前には得体の知れない光球が。その光球は異世//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全1764部分)
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  • 最終掲載日:2018/06/16 18:00
転生したらスライムだった件

突然路上で通り魔に刺されて死んでしまった、37歳のナイスガイ。意識が戻って自分の身体を確かめたら、スライムになっていた! え?…え?何でスライムなんだよ!!!な//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 完結済(全303部分)
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  • 最終掲載日:2016/01/01 00:00
二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む

魔王を倒し、世界を救えと勇者として召喚され、必死に救った主人公、宇景海人。 彼は魔王を倒し、世界を救ったが、仲間と信じていたモノたちにことごとく裏切られ、剣に貫//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全154部分)
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  • 最終掲載日:2018/06/11 08:11
進化の実~知らないうちに勝ち組人生~

柊誠一は、不細工・気持ち悪い・汚い・臭い・デブといった、罵倒する言葉が次々と浮かんでくるほどの容姿の持ち主だった。そんな誠一が何時も通りに学校で虐められ、何とか//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全129部分)
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  • 最終掲載日:2018/06/04 22:42
異世界転移で女神様から祝福を! ~いえ、手持ちの異能があるので結構です~

 放課後の学校に残っていた人がまとめて異世界に転移することになった。  呼び出されたのは王宮で、魔王を倒してほしいと言われる。転移の際に1人1つギフトを貰い勇者//

  • ハイファンタジー〔ファンタジー〕
  • 連載(全207部分)
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  • 最終掲載日:2018/06/10 00:00