【インタビュー&特集記事】
観光とIRとをテーマとした議論は多く見られる。民主党の前原誠司元代表は2009年の政権交代時には国土交通大臣に就任し、民主党においてIR推進法案の議論が進められた2012年においては、党の政策を取りまとめる政策調査会長の立場で党内におけるIRの議論を見守っていた。現在はIR議連の副会長でもある前原氏へ「観光とIR」「民主党におけるIRの議論」を中心に話を伺った。
――前原先生は国土交通大臣としてインバウンド増に向けた観光政策に取り組まれましたが、菅政権における外務大臣就任を挟んで、2011年夏からは民主党政策調査会長に就任されました。ちょうど先生が政調会長をなさっていた時期に民主党内におけるIR推進法案の議論がスタートしたわけですが、残念ながら当時は議論がまとまりませんでした。そのあたりのお話について、お伺いしたいと思います。
前原 政調会長を1年間やらせていただきましたが、大きな政策テーマというものがいくつかありました。当時最も大きなテーマであったのは社会保障と税の一体改革です。これが後に民主党分裂の大きな要因となったのですが、自民党・公明党との調整に加え、党内をまとめるといういわば修羅場のような議論でしたね。特に党内をまとめることが大変でした。ふたつめのテーマとして東日本大震災の復興財源をいかに確保して、復興を行っていくのかということの議論も私に託された大きな仕事でした。その中でポイントとなったのが公務員の給与の引き下げで、これも自民・公明両党と話をして取りまとめましたが、2年間で平均7.8%の引き下げを行いました。
――確かに震災の影響もあって、大変な時期でした。
前原 さらに、東日本大震災後に環境エネルギー政策として2030年台に原発ゼロを目指すという環境エネルギー政策のとりまとめを行いました。その流れと電力需給の逼迫の環境下で、大飯原子力発電所3号機を再稼働させるという、党内も含めてかなり意見が分かれている議論をまとめなければならない状況でした。IR推進法案の党内議論が行われたのはそのように厳しい環境の中で、さらにIRそのものに対しても民主党内には推進派もいれば強固な反対派もおりましたので、残念ながらとりまとめに至ることは出来ませんでした。
――強固な反対派ですか。
前原 当時はかなり強固でしたね。一部の先生方を中心に。もちろんIRも重要な政策テーマだと捉えていますが、それ以前に取り組まなければいけない政策テーマがあったという状況の中で、残念ながら横に置かれた形になったということですね。
――小誌の取材のほか他社の報道もなされていますが、衆参の付託先委員会について内閣委員会から国土交通委員会などの別の委員会へ移してはどうかという議論があります。一方で付託先の変更についても調整が難しいのではとの異論もありますが、これについてはいかがでしょうか。
前原 昨年、内閣委員会へ付託して議論を行っている事実があるため、民主党の国対が難色を示す可能性があります。国土交通委員会などへ変えるというのは、なかなか難しいかもしれません。
――民主党でも非常に慎重な議論を行っているということですね。
前原 そういうことですね。確かに白黒を付けることが基本にはなりますが、これまでの議論を踏まえると、賛成と反対とで折り合いをつけるのは難しいかもしれません。
(第3回へ続く)
(構成:佐藤亮平、小池隆由 企画・撮影:佐藤亮平)
カジノIRジャパン
カジノIRジャパン関連記事:
前原誠司民主党元代表(元国土交通相)インタビュー
第2回 民主党における過去の議論
■対応 Android OS 4.1.1 iPhone5 iPad(safari) |