カニカマはアメリカになじんでいた
「大人のカニカマ」というカニカマが好きでよく食べている。
作っているのは石川県にあるスギヨというメーカーである。カニカマを発明した会社だ。 スギヨのカニカマ工場がアメリカのシアトル郊外にあると知った。 アメリカでカニカマを作って、売る。 なかなか難易度の高そうな仕事である。
1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと新宿区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。
前の記事:「飛行機のこだわり~レッドアイ作れるしアメももらえる」 人気記事:「空中浮遊写真を撮る方法」 > 個人サイト webやぎの目 シアトルから120キロ、人口15,000人の町シアトル郊外にあるのはスギヨの子会社、スギヨUSAである。郊外と書いたものの、シアトルから北へ約120キロも離れている。
東京からだと宇都宮、沼津、水戸ぐらいの関係である。カニカマ工場がなかったらまず来ることはなかっただろう。興奮する。
スギヨUSAの本社兼工場
写真1枚に収まらないぐらいでかい
スギヨUSAの従業員は60名、そのうち日本人はわずか3名。社長もアメリカ人というほぼ現地企業である。
迎えてくれたのは左からAndy Banasさん, 新田さん、浦邉さん(以下は敬称略です)
すしざんまいのポーズをとる3人の手前にあるのがスギヨUSAで製造・販売しているカニカマと調理例である。
カニカマはCrab flavored seafoodという名前で定着している
見た目は日本で売っているカニカマとほぼ同じだが、商品名が違う。
12時の位置にあるのが、ALASKAN Snow Leg(アラスカンスノーレッグ)そこから時計回りに、 Contempo Flake(コンテンポフレーク) Ocean Leg stick (オーシャンレッグスティック) ALASKAN Snow Shred (アラスカンスノーシュレッド) 技の名前みたいである。アラスカンスノーシュレッド! しかしアラスカというのはノリでつけているわけではなくて、アラスカ湾で捕れたタラを原材料にしているからなのだ。Contempoはコンテンポラリーの意味。 シュレッドとはシュレッダーのシュレッドである。日本だとほぐし身だが英語だとシュレッド!だ。 スーパーボウルの時期に売れるアメリカのカニカマ食べ方も日本とは違う。アラスカンスノーレッグの調理例として出してもらったのがこれ。
容器がフットボール型であるのが伏線になっています
この状態でスーパーで売られているそうだ。この食べかたをスギヨUSAが開発し、スーパーはカニカマをバックヤードでこの形に盛り付ける。
真ん中にあるのはカクテルソースである。 カクテルソースはケチャップがスパイシーになったような味。アメリカではシーフードと言えばカクテルソースらしい。
うまい…!
パーティー仕様のカニカマである。となるとパーティーシーズンが繁忙期だろうか。
新田:繁忙期はしいて言うならばスーパーボウルのシーズンやクリスマス。ハロウィンだったりサンクスギビングだったり、家で過ごす時期に売れますね。 スーパーボウルのシーズンに売れるカニカマ。お前すっかりアメリカになじんでるな。 とっさに理解できなかった売り場の写真アラスカンスノーレッグの売り場の写真を見せてもらった。
カニカマ売り場?
???これのどこにカニカマが?
理解できずに聞いてしまった。中央の$5.49がアラスカンスノーレッグである。左はカニ、右はボイルドシュリンプだ。 新田:「袋の状態で冷凍コーナーでも売っているんですけども、それ以外にお店で解凍してもらって並べてもらってます。ポンド単位の量り売りです」
浦邉 「成功の秘訣はこれだったと言われています。売り方を変えたらアメリカにフィットしました」 これは冷凍で売っているほうのアラスカンスノーレッグ
いつ頃からこうして売っているんだろう?
浦邊:2007年ぐらいからですね。そのあたりから業績が良くなっていきました。 新田:1987年にこの工場ができて徐々に売れていったんですが、売れたので他社が目をつけて安くて美味しくないものが作られ始めました。 それでカニカマはおいしくないという認識がアメリカで広がって、カニカマが全く売れなくなった時期がありました。 それから業界全体で品質を上げて行って今のアメリカの市場に戻ったとのこと。すぐにスーパーボウルのお供になったわけではなかった。 新田さんの実家は実はカニの卸。「下手なカニよりもカニカマのほうが美味しいですよ」とこっそり言ってました
アラスカンスノーレッグはカニカマでありながら少しカニが入っているそうだ(日本ではカニ入りのカニカマは一部店舗におろしている商品しかないそうです)。
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