仮想通貨を採掘させるCoinhiveで逮捕・書類送検された人たちについてまとめた

仮想通貨の獲得に必要な計算を行うプログラムをサイト等に設置し、他人のパソコンでその計算を行わせたとして、今月14日までに、全国で3人が逮捕、13人が書類送検されたことが警察庁による発表で明らかになっています。

この件については、piyoKango氏の記事や、高木浩光氏の解説記事により詳しく書かれています。この記事を読む必要はそれほどありません。

「Coinhive」については、本ブログでもサービス開始直後に記事を書きました(当該記事)。

暗号通貨には、ハッシュ計算の総当りを行って特定のハッシュ値を出力できた人に、あらかじめ定められた報酬を獲得することができる「採掘」と呼ばれる仕組みがあります。

これを行うには、一般的には自分が所有するパソコンのCPU、あるいはグラフィックボード(GPU)や、マイニング専用のチップを使って処理を行いますが、Coinhiveは、ウェブサイトの所有者に対してその処理をウェブサイトを閲覧する人々に肩代わりさせて「俺とお前で分け合おう」という、サイト運営者向けのサービスになっています。

今回の件では、このCoinhiveの設置方法について、サイトの所有者がその閲覧者に対して告知なく採掘の処理を行わせていたことが問題とされているようです。これに関してはすでに各所で言われているとおり、採掘の告知のあるなしにかかわらず、ウイルスと定義されるべきではないという論調に同感で、Coinhiveが処理を行うにあたってPCにかける負担は常識的なものだと思っています。

全国10県警(宮城、茨城、栃木、神奈川、埼玉、千葉、愛知、滋賀、福岡)がこの捜査にあたり、うち神奈川、埼玉、茨城、千葉、栃木などの5県警は合同捜査本部を設置しています(産経新聞毎日新聞)。

時事通信によれば、これらの事件で採掘された暗号通貨は4種あり、うち1つがCoinhiveで採掘される「Monero」で、14人がこれを使用。ほかに「JSEcoin」があり、他2種は不明。年齢別内訳では、10代が1人、20代が7人、30代が4人、40代が4人となっています。

現時点ではまだ公表されていませんが、これを除いてほかに10代の少年2人が福岡県警のサイバー犯罪対策課に家宅捜索を受けています。

私が話を伺ったところによれば、他の事件と同様に、自身のサイトにCoinhiveを設置しており、告知なくサイトの閲覧者にマイニングをさせたことで捜査を受けたようです。Coinhiveは半年ほど設置し、採掘パワーは70%ほどに調整していたとのことで、Coinhiveで得た収益は日本円でたったの約1円だったと語っています。

ちなみに私は、昨年12月くらいにCoinhiveで採掘して寄付を行うページを作成しましたが、これできょうまでに得られた収益は 0.01239 XMR(XMR=Moneroの単位) で、これは日本円では約175円です。なお、Coinhive内での最小引き出し額が 0.02 XMR なため、Moneroの引き出しを行うことすらできていません。

おわりに

個人的には、コインチェックの件はどうしようもないとしてドテンくるの件はなんとかなったらいいのになと思っていました。あとは特にありません。

まとめ

今回の件で検挙された人を報道などからまとめました。

初出 被疑者 居住地 担当 処分 収益 備考
6月12日 デザイナー(30) 東京都 神奈川県警 書類送検 900円 毎日新聞
サイト運営業(31) 神奈川県 神奈川県警 逮捕 12万円 18のサイトに掲載
会社役員(37) 三重県 神奈川県警 逮捕 5万円
20代 神奈川県警 書類送検 「県警はこのほか、無断でマイニングをしたなどとして3~6月に、ウェブデザイナーの男性(30)ら4人を同容疑などで書類送検した。」(カナロコ
20代 神奈川県警 書類送検
神奈川県警 書類送検
6月14日 会社役員(24) 東京都 宮城県警 書類送検 数円〜200円 NHK
無職(24) 兵庫県 宮城県警 逮捕
会社役員(23) 京都府 愛知県警 書類送検 900円 中京テレビNEWS, 東海テレビ
デザイナー・会社員(30) 神奈川県 千葉県警 書類送検 産経新聞
無職(43) 茨城県 埼玉県警 書類送検 京都新聞
会社員(48) 広島県 埼玉県警 書類送検
埼玉県警 書類送検
会社社長(40) 和歌山県 福岡県警 書類送検 京都新聞
大学生(24) 東京都 滋賀県警 書類送検 数百円 京都新聞
少年(18) 書類送検
栃木県警 書類送検 未発表(毎日新聞
10代 福岡県警 未公表
10代 福岡県警

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