つい最近の話。
自分が「毒親育ちである」という事実を消化したな。
と思ったタイミングで
さて、ではこの事実をどう昇華させてようかと考えていた時期に
「あなたの知識を記事にしませんか?」
というWEB広告に目が止まった。
それは、よくある1文字いくらのWEBライター募集ではなく
個人が持っている経験や知識をプロの編集者がまとめてWEB記事としてUPしてくれるというものだった。
無料で。
プロによって編集された記事は、その会社によって拡散され、反響次第では講演会や出版も出来るという。
「あやしい」
とは、思ったものの 私は暇である。そして、素人である。ただの主婦である。
セミナー料や指導料など、金銭を要求された時点で辞めたらいい。
とその程度に考えていた。
直ぐに応募した。
しばらくして、立派な構成案が届き、それに沿って文章を書いてくれと言われるままに執筆。過去の経験を多く入れるように指示されたので、毒親エピソードもきちんと入れた。3週間くらいかけて、私なりに真面目に取り組んだ。
数週間後
記事が公開されました!
というメールが編集さんから来た。
「編集されたものをチェックする前に公開するんだ…。」
と少し不思議に思ったが
嬉しい気持ちが勝っていた。
その記事を読むまでは。
出来上がったその記事は とてもキレイだった。
文章の合間に知らない子どもや知らない親子が一緒に絵本を読んでいる写真がはいり、
目を引くタイトルが付けられていた。
しかし、読んでみるとそれはそれは酷いものだった。
タイトルと内容が違う。
日本語がおかしい。
脱字。
文章がつながっていない。
そもそも、私の意図が反映されていない。
え?私そんなこと書いたっけ?
など、上げればきりがない。
もともと私が書いたものが酷かったのもあるだろう。
しかし、プロの編集者がおかしな日本語を使うとは。
私は、編集さんに対して
すぐに記事の公開を中止し、自ら修正させてもらえるようお願いした。
直ぐに対応してくれたので その点では本当にありがたい。
私はまる一日かけて修正した。
その間、改めて自分が書いたはずなのに、自分が書いていない文章と向き合った。
修正後の文章は タイトルは地味になったが、文章もつながったし、編集さんが読み違えていたと思われる私の意図も伝わる形にはなったと思う。
しかし、なにか物足りなかった。
ドロドロとした感情や醜い思いが詰まったどす黒いオーラを出すなんだかわからない両手で抱える程の大きさの丸いものが、まわりのオーラは消え、凸凹をそぎ落とされ つるんとした 新品の どこにでもある小さいボールに変化したようだった。
30数年かけて経験してきたものが、よくあるWEB記事になっていたのだ。
ポータルサイトなので「あなたへのおすすめ」とかで出てくる
「言っちゃダメ!子どもをダメにする3つの言葉!」
「もう手遅れ?まだ間に合う子どもへの接し方」
「小学校入学前に親がやるべき5つのこと」
みたいなやつ。
私が3週間かけて一生懸命書いたものは
世の中の専門家でもないWEBライターさんたちがせっせとこしらえた
毒にも薬にもならない記事になっていることに気付いた。
私のドロドロとした30数年が気軽に消費されるのは嫌だ。
結局、私は修正したものの
編集さんに対して 記事の非公開 もしくは 私はこの文章に対しての権利を放棄するので記事から私の名前と写真を消してくれるようにお願いした。
編集さんからは「非公開にする」とすぐに返事がきたので、
私が書いた文章の価値など その程度のものだったのであろう。
とは言え、忙しい中構成案を作り、編集していただいた恩はある。
だから会社名は出さない。
けれど、「あなたを経験を記事に!」
と無料で文章集めて 適当に編集して公開するって
…まぁ、どうなんでしょうねぇ。
良い経験になりました。