しっかり者に見えて実は…「一番っ子の取扱説明書」NG行動や伸ばすポイントは?
「きょうだい型人間学」で子どもを伸ばそう! Vol.1
上の子(一番っ子)、中間の子(間っ子)、末っ子、ひとりっ子。同じ家族の中で育っているのに、なぜ性格や行動は異なるのでしょう? この「生まれ順の不思議」を心理学の面から解明した学問が、国際基督教大学教養学部教授の磯崎三喜年先生が研究する「きょうだい型人間学」。
今回は、一番はじめに生まれた「一番っ子」。どんな接し方が一番っ子を伸ばすのでしょう。
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一番っ子といえば、「しっかり者、きちんとしている」というイメージが浮かびます。これは、ほぼ正解と言っていいでしょう。
一番っ子は、両親にとっても初めての子育て。期待と緊張、喜びと不安でいっぱいの新米ママと新米パパは、それはそれは慎重に育てます。初めての幼稚園、学校、進級……親も初めての経験なので、もちろん気合が入ります。「きちんとした子に育てたい」「頭のよい子になってほしい」……こんな期待をこめられ、とくに母親の心理状態などが影響して、慎重さや几帳面さが育まれていくのです。そんなわけで、十分な教育が与えられる傾向が強いのも一番っ子の特徴です。
ところが! 大人の注目を一身に浴び続けていた一番っ子の生活も、ふたり目の赤ちゃんが生まれることで180度変わってしまうのです。その日を境に、自分中心の生活から、弟や妹がアイドルの生活に……。赤ちゃんがえりをして甘えみても、本物にはかなわない。そこで一番っ子は、ある日方向転換を決意するのです。
「下の子の面倒を見て、親の助けになる自分になろう」と。
これは、親の愛情を取り戻すための、無意識の作戦でもあるのです。面倒見がよく、責任感が強い、きょうだいのリーダー。一番っ子はこうして、どんどん一番っ子らしさに磨きをかけていくのです。
こんな頑張り屋さんの一番っ子は、自分の働きを認めてもらえるのがいちばん嬉しいもの。「いつもきちんとしてるね」「頑張ってるね」と、コツコツ努力をしているところを盛り上げてあげましょう。えへへ、と控えめに笑いながらも、心の中では「やったー!」と飛び上がって喜んでいるはずです。