前編のあらすじ
1)委員会を設置する
2)委員会で5分の4以上で議決
3)議決を労基署へ届ける
4)2号に該当する労働者から同意を取る
5)1号に該当する業務をやらせる
6)3号から5号の措置を講じること
以上をやると
となります。
じゃあ、1号とか、2号とか何なの? パーマン?(古い)
というわけで、「〇号」の解説に入ります。
対象業務
まず1号。
対象業務を定めているのが、この号。
しかし、具体的な記述はなく、「厚生労働省令で定める」とされています。
そのため国会審議を経ずに広げられる危険性があります。
このあたりの危険性は、次の記事がわかりやすいです。
また、「高度の専門的知識等」が必要で、「その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるもの」とされていますが、そんな業務たくさんありすぎて、全然、範囲を限定できてないですね。
労働者の範囲~年収要件
次、2号。これは労働者の範囲を定めるところです。
次の「いずれにも」として、「イ」と「ロ」が挙げられます(なぜか法律では「いろはにほへと」なのです)。
まず、「イ」。
ほうほう。書面で職務が定められていればいいのか。
次、「ロ」。
出ました。
これが年収要件です。
年収と言っても、見込まれる額でOKです。
交通費もコミコミという答弁がニュースになっていますね。
金額的には、労働者の平均年収の3倍を相当程度上回ればいいことになっています。
現時点で出ている数字は1075万円ですが、これについては、実質的には357万円くらいになる可能性があることは、私が過去の記事で指摘しています。
謎の「健康管理時間」
次、3号です。
ここで出てくる謎の概念「健康管理時間」。
健康管理ができる時間だから、働いていない時間なのかなぁ、と思いきや、逆で、働いている時間です。
高プロでは、労働時間規制がないので、このような変な用語になります。
それゆえ、過労死をしても、この「健康管理時間」が「労働時間」とは言えないとして、過労死認定がなされない危険性が指摘されています。
本当は過労死が増えても、統計上は過労死が減るように見えることも、十分にあり得る話です。
で、この「健康管理時間」を使用者は把握する措置をとりましょう、ということが3号には書いてあります。
おそらく、自己申告でもOKになるのでしょう。
休日104日
次4号です。
これが年間104日の休日の根拠です。
しかし、年間104日の休日は、祝日無視、お盆・年末・正月休み無視で、週休2日程度のものですので、それほどの厚遇ではありません。
また、実際に104日の休日に、労働者が働いたらどうなるのかも、謎のままです。
ただ制度を作って、「措置」をとればいいのか、本当に休ませる必要があるのか、とてもあいまいな条文になっています。
健康確保措置
次は5号です。
これが健康確保措置の根拠条項です。
「いずれかに該当する措置」ですので、次の「イ」「ロ」「ハ」「ニ」の4つのうちから1個とればOKということになります。
まずは、「イ」です。
これは、いわゆるインターバル規制です。
終業時刻から始業時刻までの休息時間を一定程度とるようにするというものです。
また、労基法37条4項は、深夜労働を定めた条文です。
1か月の間に午後10時から午前5時まで働く回数を制限しようというものです。
次は「ロ」です。
これは、「健康管理時間」の上限設定です。
つまり、1か月、もしくは、3か月スパンで、働く時間の上限を決めよう、ということですね。
3つめは「ハ」です。
これは有給休暇とは別に2週間連続の休みを与える、というものです。
最後が「ニ」です。
これは健康診断をしなさいね、ということです。
さて、みなさん、上記の「イ」「ロ」「ハ」「ニ」で、会社がどれを選ぶと思いますか?
どう考えても「ニ」の健康診断に流れそうですよね。
これが高プロの健康確保措置といわれる制度です。
真の後編へ続く
長くなったのでここで切ります。
続きは、真の後編で。
ちなみに、ここまでも成果で賃金とか出てこないですよね。
果たして、真の後編には出てくるのか? ドキドキしますね!