『HINOMARU』騒動を受けて、ネトウヨ達が「日本を愛して何が悪い!」「美しい日本を描写しているだけじゃないか!」の大合唱だが、これ自体にとんでもない違和感を覚える。

お前ら、日本の何を愛しているの?


例えば『海街diary』で長澤まさみが立膝で食事しているのを「日本の作法としてはしたない!日本の伝統を汚している!あれは朝鮮の作法だ!」としれっと言ってしまうふてぶてしさ。
ちょっと調べれば解るが、正座が日本に普及したのは江戸時代以降だ。
それ以前、例えば平安期は、立膝か胡坐が普通で、それ前提で衣服がデザインされていた。

さて、どこに「日本の伝統」を見出せばいいの?

あと、正座の作法は朝鮮にもある。


そこから一気に議論を展開してしまうのだが、「女性の貞操」。
みんな当たり前のようにMeTooセクハラうるせぇが、今の女性の貞操観念は明治以降、西洋の作法を真似たものだ。
江戸時代はフリーセックスだったことが幾多の書物に明記されている。
ほれ、平安時代は夜這いも当たり前だったと『源氏物語』にも書いてあるじゃん。

ちなみに江戸の銭湯には堂々と「覗き穴」があったそうな。


そういう、近世・近代からの日本のみを挙げつらって「伝統」だと言うのは、非常に疑問が残る。
あたかも戦後の「自虐史観」をGHQによって信じ込まされていたような、同様のマインドコントロールぶりだ。
ネトウヨの言う「美しい日本」の虚構っぷりがなんとも、残念だ。


「伝統」と言うからには、もっと古来から私達のDNAにしかと根付いたものを考えるべきだ。
それが『万葉集』の一節だったり、あるいは神社の佇まいだったり、「八百万の神」のアニミズムだったり、それなら解る。

でも少なくとも、「日の丸」が「美しい日本の伝統」ではないと思うよ?
別に国旗を忌み嫌っている訳ではないけれども、ネトウヨ達の壮絶な勘違いっぷりには、苦笑を禁じ得ない。
あ、こう言うとすぐ「日の丸は平安期からあったじゃないか!」と言われるかも知れないが、残念。
平安期の日の丸は「赤地に金丸」であって、今とは違います。
色なんかどうでもいい?じゃあバングラデシュの国旗もついでに崇めていれば?


彼らのイメージする「日本の伝統」はとても薄っぺらい、ファンタジーにも似た虚構性に溢れていて、それはどう見てもアニオタの浅薄な想像力と近似して、ああやっぱり同類なんだねぇ、と呆れ返るしかない。

そんな薄っぺらい連中に日本を騙られたくはない。