「うつ病にならないような働き方をすることが大切」 月358時間の長時間労働で夫を亡くした寺西さんが「働き方改革」に反対する理由

「飲食店の店長として働いていた夫は、亡くなる1か月前から、ご飯を食べられない、寝られないと訴えていました。バブルが崩壊して売り上げが減少する中、達成困難な右肩上がりのノルマを課され、社長から毎日のように叱責されていました。結局、夫は自宅近くの団地から、飛び降り自殺を図りました」

寺西笑子さん(68)の夫、彰さんが亡くなったのは1996年2月15日。彰さんは当時49歳で、2人には20歳と14歳の息子がいた。月321~358時間、年間で約4100時間にも及ぶ長時間労働にパワハラが加わり、うつ病を発症した末の自殺だった。

「店長としてのマネジメント業務は夫が一手に引き受けていました。人件費削減のため、他店の仕入れ管理や宴会客開拓の飛び込み営業もやらされていました。サポート体制がないので、丸一日休める日はありませんでした。私は『いつか倒れるから、休めへんのか?』と毎日のように言い続けましたが、その度に『人がおらへんのや』という答えが返ってきました」

全治2週間のケガでも、1日で退院して翌日から出勤