のぞみの先頭破損、ボンネット内部から人体

異音に気付いた後も点検せず走行を継続

破損したボンネット部分を取り外し、車両を調べる作業員(14日午後8時18分、JR新下関駅で)=山田裕子撮影

14日午後、JR山陽新幹線の小倉駅(北九州市)を出発した博多発東京行き「のぞみ176号」(700系、16両編成)の先頭車両のボンネットが破損しているのがわかり、緊急点検の結果、ボンネット内部から人体の一部が見つかった。運転士は博多(福岡市)―小倉間で異音に気付いていたが、点検をせず、新下関駅(山口県下関市)まで走行を続けていた。昨年12月の新幹線台車亀裂問題を受け、JR西日本は異変を察知すれば運行を止め、安全確認する方針を示したばかりだった。

山口県警下関署やJR西などによると、午後2時10分頃、小倉駅を発車したのぞみ176号の先頭車両のボンネットが破損しているのを、すれ違った新幹線の運転士が発見。次の新下関駅で車両を緊急点検したところ、ボンネットは先端が大きく割れ、内部から性別不明の人の胴体の一部と腕などが見つかった。先頭車両の表面には血のようなものも付着していた。

JR西によると、のぞみ176号の運転士は「博多―小倉間で『ドン』という音を聞いたが、同じような音を過去にも聞いており、ただちに止める必要はないと判断し、運転を続けた」と説明。また、異音について東京の総合指令所に伝えておらず、小倉駅でも「必要ないと思った」として、点検をしなかったという。

福岡県警八幡西署によると、博多―小倉間にある石坂トンネル(北九州市八幡西区)の東側に、衣類のようなものが落ちているのをJR西の社員が発見。同署は付近で事故が発生した可能性もあるとみて、トンネル内などを調査した結果、トンネル西側の線路上で人体の一部が複数見つかった。

JR西によると、当時、博多―小倉間の線路やトンネル内で点検作業などは行われておらず、関係者以外がトンネル内などに立ち入った可能性があるという。

同列車には約200人の乗客がいたが、けがはなかった。この事故の影響で、山陽新幹線は広島―博多間で14日中の運転を取りやめた。JR西は車両を宿泊用に開放する「列車ホテル」を広島駅などに用意した。

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