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壁越しに人の動きがわかる「RF-Pose」をMITが発表。無線電波+AIで骨格を推定

透視能力をニューラルネットワークで実現

Kiyoshi Tane
3 時間前 in Ai
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MIT CSAIL(MITコンピュータ科学・人工知能研究所)の研究者チームは、壁などの遮蔽物の向こうにある人間のポーズを無線電波とニューラルネットワークによって推定するシステム「RF-Pose」を発表しました。

この手法は、Wi-Fiなどで使われる無線電波が壁を透過して人体に反射することを利用したもの。低出力の無線電波に乗せ信号を送信し、受信結果をニューラルネットワークにより解析して、人間の骨格を推定するとのこと。

研究成果を発表したデモ動画では、壁の向こうにいる人の動きが棒状モデル(骨格)としてリアルタイム描画されるほか、複数の人間のポーズを正確に認識していることが確認できます。



もともと本研究は、2014年に発表されていた「Multi-Person Motion Tracking」(複数人のモーショントラッキング)が発展したもの。当時は専用のウェアラブル機器を身につけることなく、微細な人の動きまで追跡できる点が強調されていました。

人が住む環境は、壁に限らず家具や電化製品など視野を遮る障害物が多数あり、可視光線はたびたびブロックされます。RF-Poseの強みは、ワイヤレス信号がそうした遮蔽を横切れることですが、反面では人の細かな動作を捉える上で精度に難点を抱えていました。

本システムは低電力のワイヤレス信号(Wi-Fiよりも1000倍の低電力)を送信し、環境からの反射を観察。それを解析するニューラルネットワークは、まずWebカメラによる視覚情報とワイヤレス信号の結果を照合して訓練し、後にワイヤレス信号のみでの観察へと移行させて訓練し、学習させたとのこと。

研究成果のデモ画像では、通路を歩く男性がドアを通り、壁の向こう側で折り返して歩行。目線が遮られた壁越しの動きも棒状人形として視覚化できることや、それを垂および水平方向でのRF信号により3次元的に検知している原理が解説されています。

目を惹くのは、ブラインドで人体の一部が隠れていても、暗い環境でもほぼ問題なく視覚化できている点。また、一つの場所で複数の人間がいても、それぞれの動きを追跡できている様子も覗えます。ただし、人と人が重なり合ったときは画像にブレがあり、課題を残しているようです。

発表によれば、100人もの大規模なグループでも、83%の信頼性で動きが追跡できるとか。このため応用例としては、患者一人一人を対象としたパーキンソン病、多発性硬化症、筋ジストロフィーなどの病気の監視や、高齢者の活動パターンの変化を監視して安全性の強化、さらに災害現場の捜索救助などに活用できると述べられています。

屋外にいながら建物の中の人々の動きが分かり「全部で5名、全員男!」などと認識できるのはSF映画のようですが、反面ではプライバシー保護が心配になります。

その点はCSAILも配慮しており、モーション追跡前に同意を意味する特定の動きを必要とする「同意メカニズム」を開発しているとのこと。低電力ゆえに大掛かりな装置を必要とせず、モーショントラッキング用の専用スーツも着なくていいこのシステム。ぜひ安全な形での普及が待たれるところです。

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