二〇三〇年に向けた国のエネルギー基本計画の見直し案が示された。依然として電力の二割以上を原発に頼るという。新増設が前提なのか。未来に向けた戦略を名乗るには、時代遅れが過ぎないか。
これを「計画」と呼べるだろうか。今後とも原発を、それも主力電源として使いたい、維持したい-。そんな願望の表れのようにも読める。
総発電量に占める原発の割合を20~22%と初めて明記した。経済産業省が三年前に示した数字のままだ。
たとえこれが、政府の考えるベストミックス、最善の比率だったとしても、どのようにして実現するというのだろう。具体的な道筋は明らかにされていない。
計画を実現するには、三十基程度の再稼働が必要だ。今八基。簡単なことではない。
一方、止まっていても老朽化は進む。一九九一年以降に新設された原発は十八基。四十年の法定寿命が順守されれば、二〇三〇年にはそれだけしか残らない。
日本世論調査会の二月の調査では、原発を即時、あるいは将来的にはゼロにと答えた人は、75%に上る。新増設は世論が許すまい。
経産省は、六十年まで延命させれば実現可能と考えているようだ。
ルール上は可能だが、延命には原子力規制委員会の特別点検にパスする必要があり、そのための安全対策にも膨大な費用がかかる。
電力会社は現に、延命のコストとメリットを勘案し、大型原発の廃炉も検討し始めた。
福島原発事故のあと、安全、安いの神話が崩れ、世界ではコスト面から原発離れが進んでいる。
三〇年には原発の“時代遅れ”が一層明確になっているだろう。
温暖化対策を考えるなら、再生可能エネルギーを増やす方が、確実だし、安全だ。
計画では、再生可能エネルギーについても「主力電源化」を図り、22~24%に増やすという。
ドイツでは現在すでに35%。産油国のアラブ首長国連邦(UAE)さえ、五〇年に44%の目標を掲げている。
経産省による意見公募で多数を占めた「世界の流れに逆行している」などとして脱原発を求める声も黙殺された。そのような計画案に、正当性があるのだろうか。
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