楽なもの8割、努力が必要なもの2割が黄金比
私はアプリを使いこなすことが苦手で、スマートフォンにもほとんど入れていないのですが、英単語を覚えるアプリは入れています。これらは基本的には反復型アプリです。
何かを覚えるには、反復がもっとも重要で、反復すれば、絶対に解けるようになってきます。解けるようになると面白くて、さらに努力を続けることができます。
私がよく使う英単語のアプリは英単語の意味を答えるというクイズ形式になっています。そして10問答えたところで正答率が出ます。はじめは正答率が上がらなくて5割を切ってばかりでしたが、一度正答率が8割を超えるようになってから、反復することがまったく苦ではなくなりました。
そう、反復という観点からは、この8割が正解できて、2割が努力が必要なくらいのレベルというのが重要なのです。
今の実力で8割は解けて、解くのに努力を要するもの2割。パレートの法則ではないですが、これが黄金比なのです。これより負担が大きいと反復できなくなるし、逆にこれより負担が小さい、たとえば、10割正解できるクイズを延々と続けても今のレベルよりも向上しません。
この法則を忘れずにいれば、自分の成功体験を積み重ねられます。
答えの丸読みでもOK
新しいものを学習するときには、知っていることが8割、知らないことが2割というわけにはなかなかいきません。できるだけ早く、知っていることが8割、知らないことが2割の状態に持って行くのが重要です。
だからこそ、以前述べたように、本を読み始めるときにはできるだけ抵抗の少ない方法で始めるほうがいいのです。覚えようと思えずに、ただ単にページをめくり続ける、聞き続けるということをすればいい。それを何度も繰り返すことから始めるべきです。先程いったように、読書に時間も手間もかけてはいけません。楽な読み方でかまいません。
すると、2対8だったのが、3対7、5対5、7対3、8対2と徐々に変わっていきます。この段階では、答えの丸読みでもかまわないのです。
とにかく、とっかかりのハードルを低くする。これが重要なのです。
私は苦手な数学の問題は、すぐに解答を見ます。そして、その解答に従って解いてみます。それからもう一回解きます。その繰り返しです。そのうち解答を見なくても解けるようになり、だんだん8割の問題は解けるようになります。これは本当です。
ビジネスや教育の現場で、何もわかっていない段階の人に「とりあえず自分の頭で考えて」という上司や教師がいます。彼らは何年も経験を積み、十分な知識を持っています。つまり、8割知っていて、2割を知らない状態です。だから、この2割を「自分の頭で考える」ことができるし、それをおもしろいと思えるのです。
けれど、考えるための枠組みさえない状態の人にとっては、「自分の頭で考える」ことは効率的でもないし、知的な面白みのある作業でも何でもありません。右も左もわからない状態で一から自分の頭で考えるなんて、ストレス以外のなにものでもないのです。
だからこそ、ストレスを感じずに、8対2まで持っていくことが重要です。それさえできればそこから先の反復作業において、ストレスはどんどん少なくなってくるのです。