LINEは13日、京都市内に新たな開発拠点を開いた。開発拠点は東京都、福岡市に続く3カ所目。京都のブランド力を生かして国内外の優秀な技術者を集める狙いがあり、3年後にも100人体制を目指す。人工知能(AI)を中心に先端技術を取り入れたサービス開発を進める。
京都市内で記者会見した出沢剛社長は「インターネット企業は人材が競争力の源泉となる。技術者の能力や感性がサービス開発を左右する」と強調した。
新拠点「LINE KYOTO」はオフィスビルの5階と地下1階に入居した。延べ床面積は399平方メートル。学生インターン2人を含む18人体制でAIスピーカーの開発を中心に手掛ける。
京都に開発拠点を設ける狙いの一つが海外の技術者を集めること。京都拠点に応募した1000人の技術者のうち8割が外国人だった。初期メンバーでドイツ出身の技術者のフォルグ・フレデリックさん(34)は「京都には若い学生がいて文化もあり、様々なインスピレーションを受ける」と話す。
京都に集積する大学や企業との関係強化も狙う。拠点にはイベントスペースも併設。ブログ運営会社はてなや関西のIT(情報技術)系スタートアップ企業などと2カ月に1回のペースで勉強会も開く。夏には1カ月で40万円の報酬がもらえる学生向けインターンシップを実施する。
LINEは2018年中にAIスピーカーの技術仕様を公開し、外部企業が自由にサービスを開発できるようにする。学生や企業との関係を強めて同社のサービスの関連技術に詳しい技術者を増やし、サービスに厚みを持たせる狙いもある。
LINEはAIや、金融とITを融合させたフィンテック分野を成長戦略の柱に掲げている。18年は両分野に計300億円投資する。ただ、技術者の獲得競争は激しく、京都の地理的な条件を生かして国内外の技術者をひき付ける。