こんにちは。今回は
10万円ほどの価値があるレアスニーカーを税関に処分された上に、書類を書かされ、お金まで取られました…。
Converse chuck taylor All star Hi Off-White
(コンバース チャックテイラー オールスター ハイ オフホワイト)
最近人気急上昇中のOff-White(オフホワイト)とConverse(コンバース)のコラボレーションスニーカーで、定価17000円程度なのですがあまりにも希少なため、10万円前後で取引されているのです。
StockXについてはこちら
このスニーカーを偶然にも海外サイトで購入できたため、日本に個人輸入しようとしたのですが
税関に滅却(廃棄)された上に、約5000円の滅却費用まで取られてしまいました。
しかも商品代金、発送費用(合計32000円ほど)は返金されませんでした。
オマケに面倒な書類まで書かされてしまいました。
どうしてこんなことになったのでしょうか…。というのも、
実は、海外で発売されているコンバースは”輸入禁止物”なのです。
(一部密輸されている方もいらっしゃいますが、法律的にはアウトです。)
これからコンバースを個人で輸入してみようかな、と考えられている方がいらっしゃいましたら、この記事をお読みいただき、そして一度考え直していただくことをお勧めします。
輸入禁止物だとは知らなかった方も、今後私のように痛い目を見ないように、頭の片隅に入れていただければと思います。
目次
経緯 購入してから滅却まで
私はこのスニーカーをConverse UKで購入しました。ゲリラ発売されたのですが、たまたま気づいて運良く購入できました。できてしまったのです。
※ゲリラ発売:発売予告など無しで、いきなり発売されることです。
購入完了メールがこちら。
この時私は大いに喜び、1日、1時間でも早くお目にかかりたいと思っていました。
ところが、この時の私はまだ知らなかったのです。法という超えられない(超えてはいけない)壁が存在することを…。
大人気ストリートブランド【Off-White(オフホワイト)】と、根強い人気のあるブランド【Converse(コンバース)】の限定コラボモデル。街中で履いている人がいたら思わず目を奪われてしまいそうです。
この商品はUK圏内限定で発売されていたのですが、私はUK内の転送サービスに登録していたので、そちらを利用しました。
転送、というと難しいのですが、簡単に説明すると
「日本に直接送れないものを一度経由して日本に送るサービス」です。
このように、直接送れない商品を…
こうして、転送を利用することで輸入できるのです。
もちろん、転送業者に手数料と送料は払わなければいけませんが、この方法を使うことで、限定商品や日本へ発送を行なっていないオンラインショッピングサイトの商品を購入できます。
使用したのはforward2meという転送業者です。
こうして、私はこのスニーカーをforward2meを利用しました。
forward2meの倉庫に向けてコンバースを発送し、そこから日本へ向けて発送しました。
その数日後に事件は起きました。通関業者から突然電話がかかってきたのです。
通関業者「こちらは輸入禁止物となっておりますので、滅却処分となります。必要な書類をメールで送付しますのでご確認いただき、送っていただきますようお願いします。」
とざっくり電話で説明され、その後メールが送られてきました。
この商品の所有権は私にあるため、一度UKに返送出来ないか、意義申して立て書類などを書けないかと持ちかけましたが、全て断られました。
しかも電話してきたのが、かなり態度の悪いおばさんで、面倒くさそうに
「もう5分もこの話してますよ^ ^; 滅却以外の選択肢ないです。書類送りますから。失礼します。」
みたいな感じで対応してきたので非常に不愉快でした…。
また、この商品を空港に預けたままにしておくと管理費まで取られるとのことで、
「速やかに滅却同意書を書くのが身のためですよ!」
とまで言われてしまいました。今思い出すだけで腹が立ちます。
こうして私のコンバースは滅却され、商品代金や発送費用、滅却費用合わせて37127円を失いました。
なぜ海外のコンバースは輸入できないのか?
そもそもどうしてこんなことになってしまったのか?
実は、伊藤忠商事という会社が関係しています。
(著作権に触れる可能性があり、恐れ多いためロゴは手書きです。お許しください。)
この伊藤忠商事、伊藤忠兵衛という人が立ち上げた大手総合商社なのですが、日本国内で【コンバースの商標権】を持っています。
かつてコンバースは海外で発売され、国内に輸入されていたのですが、倒産や商標権の譲渡、社号の変更などがあり、現在国内と海外で【コンバースの商標権】を持つ会社が異なっているのです。
この【商標権】と言う権利は簡単に説明すると「物やサービスを売る権利」のことです。
物やサービス、ブランドロゴを独占できる権利であり、そのブランドを守る権利でもあります。
また、この権利は偽物に対して罰することができる権利でもあります。
例えば、適当に作った偽物のNIKEスニーカーを発売している悪い業者などに対して、NIKEは販売の差しどめや賠償請求をできるのです。これは”NIKE”というブランドの威を借りて利益を得る行為であり、NIKEのブランドを傷つける行為でもあるからです。
同じように、国内で偽物のコンバースを発売した場合、罰せられます。
「でも、このオフホワイト×コンバースは正規品なのにどうして?」
と思う方がほとんどだと思います。ここが重要なのです。
日本国内での【コンバースの商標権】は伊藤忠商事が所持しており、海外での【コンバースの商標権】はNIKEが所持しています。
つまり海外のコンバースは、【日本国内でコンバースの商標権】を持つ伊藤忠商事の許可無しでは輸入することができないのです。
例え海外のコンバースが本物であったとしても、日本国内で【コンバースの商標権】を持つ伊藤忠商事の許可なしでは、日本国内で売ることができません。
全ては、伊藤忠商事が起こした裁判が原因です。
かつて、株式会社ロイヤルという会社が海外からコンバースを輸入し、国内で発売していました。もちろん、正規品です。そもそもコンバース自体米国のブランドなのでどちらかと言うと日本のコンバースが偽物(?)に近いのですが…。
この株式会社ロイヤルに対して、伊藤忠商事は裁判を起こします。
「国内での【コンバースの商標権】は我々、伊藤忠商事が所持している。株式会社ロイヤルが海外からコンバースを輸入し、販売することは商標権違反だ!」
ということで裁判が始まりました。
先ほども説明しましたが、【海外でのコンバースの商標権】はNIKEが所持しています。
つまり、「海外のコンバースが国内で売れることはNIKEのシェアが増加することと同じ」なのです。これも、伊藤忠商事が裁判を起こした理由の1つでしょう。
これに対して株式会社ロイヤルは
「そもそもコンバースは米国ブランドで、我々が輸入しているコンバースは全て正真正銘の正規品。正規品を販売して何が悪いんだ!」
と反論。株式会社ロイヤルの言い分はもっともです。
しかし、何がどうしてこうなったのかはわかりませんが、
「例え伊藤忠商事のコンバースが偽物で、海外のコンバースが本物であっても、現時点で国内での【コンバースの商標権】は伊藤忠商事が所持している。そのため、海外コンバースを国内で販売することは許されない。」
この裁判の判決文はこちら(pdf)。
この裁判結果にスニーカーマニア達は激怒。「裁判官が伊藤忠商事から賄賂(わいろ)を貰い、結果をねじまげたのでは」とまで噂されていました。
結果として海外コンバースは輸入禁止物となり、輸入すら許されなくなってしまったのです。
そして、海外コンバースが輸入された場合(今回の私のような場合)、問答無用で滅却されます。
海外のコンバースは麻薬や密輸した動物の皮や牙などと同じで、例え本人が知らなかったとしても一発アウト、ゴミとして処分されます。
ちなみに、後ほども説明しますが、滅却には費用がかかり、輸入した本人がその費用を払う必要があります。
「海外のサイトでおしゃれなコンバース見つけたから買ってみよう!」といった軽い気持ちで、何も知らずに個人輸入しようとしたとしても、
「これは輸入禁止物なので廃棄します。処分費用はあなたが払ってくださいね!商品代金も送料も、私たち通関業者は知りませんので!それではさようなら!」
と言った感じで処分されます。しかも面倒なことに、メールで送られてきた書類を印刷し、印鑑を押し、サインもして、実費で通関業者まで送らなければいけません。
悲しいことに私はこのようにあれこれ手順を踏まされたあげく合計金額37127円を、憧れのスニーカーを、ゴミ箱にポイされてしまったのです…。
滅却までの手順 必要な書類、費用など
「滅却って警察にも何か言われるの?」「親や学校に連絡が来るの?」と心配される方もいらっしゃるかと思いますが、ご安心ください。
海外コンバースは確かに輸入禁止物ではありますが、麻薬などに比べて重要度が低いため、本人が書類を書いてポストに入れ、滅却費用を速やかに支払えばそれで済みます。
(ただしコンバースを密輸し、国内で販売した場合は罰せられる可能性がありますので絶対にやめましょう。)
先ほども説明したように、税関(通関業者)から「これは輸入禁止物ですので滅却処分になります。」という電話がかかってきます。
もうこの時点で逃れる術はありません。わかりましたと伝え手順を聞きます。
はじめに、配送業者に伝えているメールアドレスにメールが届きます。このメールに書類が添付されているので、それを印刷します。
これは滅却同意書です。たとえ輸入禁止物とはいえ、所有権は輸入した本人が持っているため、この滅却同意書なしで勝手に滅却することは許されません。逆に言えば、輸入した本人が書く必要のある書類です。
このような文章がメールに記載されていました。通関業者によって段取りが少し異なる場合がありますが、基本的にほとんど変わりません。
この滅却同意書を書かない場合、空港で一定期間保管されますが、その間にも保管料が発生し余計にお金がかかりますので、観念して滅却同意書を記入してください。
これを通関業者に送ります。元払いですので、折って封筒などに入れ、切手を貼ってポストに投函するか郵便局で送りましょう。到着し滅却が決定すると滅却予定日が掲載されたメールが届きます。
そして予定通り滅却された後にメールが届き、滅却終了です。この悲しさと虚しさしかない作業を私もやらされました。しかも滅却されたのは約10万円もの価値がある激レアコンバースです…。
血も涙もありません。たとえ10万円の価値がある、人畜無害なスニーカーであっても捨てられます。
海外限定のコンバースは手に入れられないのか?
それでは、海外のコンバースは一生手に入れられないのでしょうか?
現時点で海外コンバースを輸入する正規の方法はありません。
輸入して税関に見つからなければ届きはしますが、麻薬やその他輸入禁止物などを取り締まっていますのでそうも運良くすり抜けられるということはありません。
「upsやemsといった個人配送を使えば問題ない」と言っている、またブログに書いている人もいますが、無事に届く保証はありません。そもそも法律でダメだと決まっていますし、見つかった場合、商品が滅却される上に滅却費用まで取られるのであまりにリスキーです。
どうしても欲しい!という場合
という方法があげられます。
海外に行って購入し、履いて帰ってくる
これが一番安全です。伊藤忠商事の商標権にも一切触れることはありません。
購入し、箱などを捨て、履いて帰国することで没収されずに済みます。
新品を箱ごと持って出国しようとすると没収される可能性が高いです。お土産でも許されません。
国内に密輸している人から買う
この方法はリスクが比較的高く、値段も高いです。というのも、私が購入したようなレア物の場合は特に高いため、先立つものが必要です。加えて伊藤忠商事にマークされる可能性もあります。もし見つかった場合、没収される可能性が高いです。
まず密輸して販売する行為自体が違法のため、実質違法取引になります。
さらに、そのコンバースが密輸したものではなく、偽物である可能性もあります。
やはり、オススメはできません。
リスクを承知で輸入する
これは一番危険です。
見つかればほぼ確実にアウトですし、そもそも見つかる可能性が極めて高いです。
転送業者のオプションで、商品名を変える、箱を詰め替えるなどのオプションがありますが、それでも危険です。そもそも輸入禁止物です。
それでもどうしても欲しい、挑戦してみたいというのであれば、止めはしません。
正規店で購入したものをups、emsといった「国際郵便」で配送する事で、輸入できる可能性は高まりまが、保証はありません。
Converse UKやSSENSE、Luisaviaromaといった正規品取り扱い店で正規品のコンバースを購入し、一度転送業者に送り、そこからupsかemsを利用して日本に送るというプロセスになります。直送は99.9%アウトです。
転送についてはまた記事をまとめる予定です。
まとめ
- 日本国内での【コンバースの商標権】は伊藤忠商事が持っている
- 海外コンバースと国内コンバースは別物で、海外コンバースは輸入できない
- 滅却する場合は別途費用が必要。書類も書かなくてはいけない
- 商品代金や送料は返って来ない
- 輸入できた場合、他人に販売、譲渡してはいけない(特に重要)
世の中は辛く厳しいものです。麻薬や銃のような危険性の高いものでもなくてもダメ。ただのスニーカーであっても、海外のコンバースが本物であったとしても、法がダメだと言ったらダメなのです。
そもそも
自身の記事で注意喚起しておいて、自分が大目玉を食らうことになるとは思いませんでした。
日本国内に密輸している人もそこそこいるようですし、なんなら堂々とオークションサイトやフリマアプリなどで出品している命知らずな方々もいらっしゃいます。
できることなら私もここでお披露目したかったのですが残念です。輸入できないのが当たり前なのですが、輸入できている人がいる以上私の実力と運不足でしょう。
一部スニーカーマニアは伊藤忠商事にとどまらず、裁判を担当した裁判官も無能呼ばわりしていましたが、仕方ない事だと思います。某匿名掲示板では法学部すら「クソ学部」とボロクソに叩かれていました。
さすがにそこまで言わなくても…と思いましたが、裏を返せばそれだけスニーカーを、そして”本物の”コンバース”を愛しているということなのでしょう。
やはり、着たい服を着て、履きたいスニーカーを履きたいものです。この長い人生で、海外産のコンバースを1足履くことすら許されないのは悲しいです…。
この事実を初めて知った方はもちろん、「実は輸入してみたかったけど、気が変わった。」「それでもやっぱり個人輸入したい!」「密輸した人からコッソリ買います…。」と、人によって思われたことは様々だと思います。
この記事は教訓でもあり、これから海外コンバースを輸入しようとして方法を模索していた方への道しるべでもあり、退路でもあります。
個人的には申し訳なさも感じています。私がこのオフホワイト×コンバースを購入しなければ、海外のどこかでこのスニーカーを手に入れ、ともに人生を歩んでいたのではないかと思っています。
服や靴を愛する皆さま、本物のコンバースを手に入れたいと切望している皆さまに敬意を表すとともに、ここまで読んでいただいたことに感謝いたします。
いつの日か海外のコンバースが当たり前のように店頭に並ぶ日がやってくることを願って止みません。
StockX StockXについて、StockXでの買い方はこちら
forward2meさんは非常に良い転送業者さんですので、日本へ直送できない商品をUK圏からお買い物をされる方、ぜひ使ってみてください。
本記事は私の体験談、経験談であり、海外コンバースの密輸を推奨、また、伊藤忠商事の商標権を侵害すること、密輸することを推奨する文章ではございません。
また、本記事を読み、個人で輸入し滅却された場合などに対しての保証などは一切いたしません。