先日、ファッションサイトZOZOTOWN運営企業の社員による発言が炎上するという騒ぎがあった。「過労死は本人にも責任がある」という旨の内容で、あくまで個人としての発言だったが、批判の矛先は所属企業にも及んだ。
このところ、社員にツイッターで自由に発言させたり、ネット上での知名度や会社のカンバンを生かして、個人的にビジネスを営むことを許可する企業が増えている。
これは、政府の副業解禁と同一線上の動きと考えられるが、こうした流れが拡大してくると、個人と会社の関係が大きく変化する可能性がある。企業はこれまでとは違った意味でのリスク管理が必要となるかもしれない。
炎上のきっかけとなったのは、現在、株式会社スタートトゥデイのコミュニケーションデザイン室長を務める田端信太郎氏によるツイッターでの発言である。
田端氏は過労死問題について「過労死には本人の責任もある」「上司が屋上から物理的に突き落としたりしたのですか?」「会社なんて辞めて生活保護受ければいいわけです」などと発言。
内容に理解を示す反応もあったが、「過労死の問題をまったく分かっていない」「過労死した人の前でも自己責任といえるのか」といった批判も数多く寄せられた。
発言の真意は、労働者は自分で自分の身を守る必要があり、企業に対しては権利を主張しなければいけないというもので、一方的に長時間労働を強いる会社側を擁護したわけではない。
しかしながら田端氏は、実質的な奴隷労働として国際問題になりつつある外国人技能実習制度についても、環境が劣悪なら「労働基準監督署に駆け込めばよい」などと、かなり安易な発言を行っている。
劣悪な環境に置かれた人は、権利の主張そのものが困難という、もっとも重要な部分についての認識が欠落しており、労働問題に関して十分な見識を持った上での発言ではなかったのではないか、と考えられる。
さて、ここで重要なのは、発言内容の是非や田端氏の見識の有無ではない。こうした一種、無邪気で自由奔放なネット上の活動について、会社側がある程度、容認していることである(もちろん、過労死などの発言に対して、会社側が田端氏と同様の見解を持っているわけではない)。