こんにちは。斎藤充博です。インスタントラーメンの「出前一丁」を食べたことがありますか?
僕は久しぶりに食べたんですが、ごま油の香りがすごい。すごくおいしいインスタントラーメンです。
この「出前一丁」が、香港で大人気らしいのです(テレビで見た)。家の中で食べるのも人気だし、お店で出前一丁を出すところもたくさんあるとか。
外食で出前一丁を出すのって、なんかふしぎじゃないですか。それはもはや「出前」っていうネーミングの意味が失われているし。
出前一丁を出す香港カフェ
調べてみたら、日本にある香港カフェでも「出前一丁」を出しているところが、あるみたいです。お店で食べる出前一丁ってどんな味なのか。
というわけで、飯田橋駅から徒歩5分のところにある「香港 贊記茶餐廳」(ほんこんちゃんきちゃちゃんてん)にやってきました。
「茶餐廳(ちゃちゃんてん)」 とは香港でいう「喫茶店」のようなお店のこと。
ぜんぜん覚えられない店名だなと最初は思ったのですが、「ほんこん・ちゃんき・ちゃちゃん・てん」リズムをつけて発音すると意外と覚えられます。しょっぱなから異国情緒を感じざるを得ません。
お店の中を見ると……
百万ドルの夜景と称される香港……。その昼の写真。
中国語の雑誌(なにが書いてあるか全然わからないんですが、載せられないようなヤバい雑誌じゃないですよね?)。
変わった値段表記のメニューがあります。縦の三本線は謎、真ん中の三本線は漢数字、右の丸っこいのは「0(ゼロ)」でしょうか……。
調べてみたところ、どうやらこんなルールになっているらしいです。
スイス手羽先
メニューを見てみると、僕の知っている中華料理とはちょっと違う感じの物が並んでいます。出前一丁の前に、いろいろ食べてみましょう。
スイス手羽先(400円)。香港なのにスイスとはいったいどういうことなのか? 香港出身の店員さんに聞いてみると、一度お店の奥に引っ込んだ後に答えてくれました。
「いまネットで調べたのですが、国のスイスとはぜんぜん関係なく、『スイート手羽先』がなまって『スイス手羽先』になったそうです!」
スイス関係ないのか!
瑞士鶏翼(スイスチキンウィング)
この料理名に関する確かな由来は不明であるが、よく知られている説として、西洋人がレストランで「甘い醤油の手羽料理」というメニューを目にし、英語に不慣れなウェイターに対してどのような料理であるか質問したところ、ウェイターは「Sweet Wing(甘い手羽)」と答えたが、西洋人にSweetをSwissと誤解されてしまい、以降Swiss wingの名前を使用するようになったというものがある。しかし、この説は単なる都市伝説と考えられている。
自分でも調べてみたら、Wikipediaに以上のような説が載っていました。都市伝説とも書いてありますが、ともかく、スイスとは関係ないみたいです。
箸でほぐれるほど柔らかい手羽先。ものすごくうまそう。
名前から「どんなに甘い味なんだろう」と思っていましたが、思ったほど甘くないですね。さっぱりとしていて、うめえ。何本でもイケちゃいそう。
鹵水(ロウソイ)
店員さんに「記事にするなら、新しいメニューを試してくださいよ」と言われて、注文したのが、鹵水(ロウソイ、400円)。鹵水は「味のつまった」という意味らしいですが……。しょっぱいのかな?
ひよせ「そんなに味濃くないですね。すごくさっぱりしている。八角がきいているのもいい」
急に女性が出てきましたが、今回の取材を手伝ってくれている友達です。特に香港に詳しいわけではなく、僕と一緒に「これが本場の香港?」と驚く係の人になります。
鹵水に戻りますが、たしかにさっぱりしていてうまい。これいくらでも食べられそうだし、お酒を飲みたくなりますね。飲むつもりのなかったビールも頼んでしまいました。
叉焼(チャーシュー)ローストポークライス
チャーシューとローストポークのワンプレートご飯。880円。かんたんな食事のように見えますが、ものすごく本格的な味がします。
特に見てほしいのは、ローストポークののここ! 表面がカリカリ。それでいて、中は柔らかくてジューシー。生姜をきかせた調味料といっしょに食べると、ご飯にめっちゃあう。
ハムと玉子をトッピングした出前一丁
そして、ようやく今回の本題。出前一丁です。ハムと玉子をトッピングしています。なんといったらいいか迷うのですが、とても見覚えがある見た目です。
お値段は880円。正直なところ、インスタント麺の値段かよ、と一瞬思いました。しかしこのお店では「ふつうの麺よりも出前一丁の方が高い」んです(同等のメニューで100円増しになる)。こちらの価値観を正してゆく必要があります。
ついつい「インスタント」だということを何度も確認してしまいます。
「出前一丁」はよく知っているのに、店で食べるのは未知の食文化。動揺を隠せません。
出前一丁はこの世で一番うまい食べ物
一緒に食べていた2人も動揺しています(いつの間にか女性がもう一人増えましたが、撮影を手伝ってくれるもう一人の友人が遅刻してきただけです)。
「本気で出前一丁だ!」
「こんなのアリなのか?」
「でも、出前一丁にハムと玉子って、この世で一番うまい物なんじゃないでしょうか?」
「この世で一番うまい……? どういうこと?」
「だってほら、塩分と炭水化物とタンパク質でしょ? 人間に必要な物だし」
「そうかもしれない。この世で一番うまい物かも……」
「それにしても、なんで出前一丁なんでしょうね? ラ王じゃダメなんでしょうか?」
「あんな本物志向のインスタントラーメンだったら、本物を食べた方がいいってなるんじゃないのかな……」
「じゃあやっぱり、出前一丁じゃないとダメなんだ!」
なんかよくわからない会話ですが、とにかく興奮が止まらない。
汁なし出前一丁
汁無しの出前一丁も頼んでみました。「サデビーフ」という八角のきいた牛肉の煮物をトッピング。780円。香港では汁なしの出前一丁もよく食べられているみたいです。
こちらも味はやっぱり出前一丁。でも、いままで出てきた料理によく合っていて、違和感ありません。出前一丁って、ひょっとしたら香港っぽい味付けなのかもしれないな……。
本当にはやっているの? 出前一丁
香港出身の店員さんに聞いてみたところ
「出前一丁が香港ではやっているのは本当ですよ」
とのこと。
ちなみに
「個人的にはカップヌードルの方が好きかも」
なんて話も出てきました。香港贊記茶餐廳 (ほんこんちゃんきちゃちゃんてん)ではカップヌードルは出していませんが、いつか香港の雰囲気でカップヌードルも食べてみたいです!
香港式のメロンパン、ポーローパオ
周りのお客さんを見渡すと、中国の人ばかり。そしてみんなが出前一丁と一緒にパンのようなものを食べているんですよね。これが気になって注文してみました。
みんなが食べているのは、ポーローパオというパン。お店で焼いているそう。
ちなみにこれにバターを挟んだものは「ポーローヤオ」という名称になります。260円。
表面はクッキーみたいになっていて、ようはメロンパンですね。ただし、日本のメロンパンよりもずっとやさしい味でした。
表面のサクサク感、これで伝わるでしょうか……? バターの塩気がパンの甘さとマッチして、メチャクチャうまい……。
それにしても麺とパンを食べるって発想がすごいです。日本じゃあり得ない。そんなことを言ったら同行の友達から
「日本だってうどんと一緒においなりさんを食べたりするでしょ。あれと同じなのでは?」
なんて答えが返ってきました。うどんとおいなりさんかー。
***
というわけで、香港の軽食はたのしかったです。出前一丁を外で友達と食べるの、初めての体験……。
帰るときに出前一丁坊やを見つけました。本当に人気あるんだな、出前一丁!
行ったお店
香港贊記茶餐廳(ほんこんちゃんきちゃちゃんてん)
- ジャンル:カフェ
- 住所: 〒102-0072 東京都千代田区飯田橋3-4-1
- エリア: 飯田橋
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※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。
プロフィール
斎藤充博
1982年生まれの指圧師(国家資格所有)。指圧師なのにインターネットで記事を書くことをどうしてもやめられない。
ツイッター:@3216
ホームページ:下北沢ふしぎ指圧