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10Gビット/秒で通信できる10ギガビットイーサネット(10GbE)。例えばファイルサーバーであれば、もはやローカルドライブと変わらない転送速度が得られる。ここにきてネットワークカードで1万円台の製品が登場。KDDI(au)が10GbE対応の光回線サービスを始めるなど、普及の機運が高まっている。本特集では、手に入りやすくなった10ギガイーサがもたらすメリットやその落とし穴などを5回にわたって解説する。

 10ギガビットイーサネット(10GbE)環境を整えたものの、いざ使ってみたらギガビットイーサネット(GbE)と変わらない。そんな時はデバイスドライバの初期設定を見直す必要がある。

 初期状態では速度が出ない場合にまず確認したいのが「ジャンボフレーム」や「ジャンボパケット」と呼ぶ設定項目だ。例えば、1万3000円前後で買える台湾エイスーステック・コンピュータ(ASUSTek Computer)の低価格NIC「XG-C100C」では、デバイスドライバの詳細設定にある「Jumbo Packet」の項目で「9014 Bytes」を指定する。

台湾エイスーステック・コンピュータ(ASUSTek Computer)の低価格NIC「XG-C100C」のジャンボパケット(Jumbo Packet)の設定画面
デバイスドライバの「詳細設定」にある。
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 当然、通信相手となるNICや途中にあるネットワーク機器もジャンボフレームに対応する必要がある。ジャンフレーム自体はGbEの普及で珍しいものではなくなり、2万円台で買える10GbEスイッチなど低価格な製品でもほぼ対応している。スイッチは設定不要だが、通信先のNASやサーバーのNICなどの設定値は通信元のNICとそろえておく。

台湾シノロジー(Synology)製のNAS「DS1618+」でジャンボパケットを設定
イーサネットで扱うパケットサイズ(MTU)を指定する。標準は1500バイト。MTUで指定する場合は「9000」を選ぶ。
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 イーサネットの仕様では、標準で最大1500バイトごとにデータを区切り「イーサネットフレーム」という単位で伝送する*1。10Mビット/秒や100Mビット/秒では問題なかったが、1Gビット/秒のGbEの頃から問題になり始めた。伝送するデータの容量に対してフレームの大きさが小さいため、フレームに区切ってやり取りするオーバーヘッドが無視できなくなってきたからだ。

 そこでイーサネットフレームの大きさを1500バイト超に拡張したのがジャンボフレームだ。イーサネットの上位層で使うIPでの言い方で呼ぶとジャンボパケットとなる。読み書きするデータ量が同じであれば、単位時間当たりに処理するフレームの数が少なくなる。ヘッダーの処理とフレームごとに起こる「割り込み」処理が少なくなるため、CPU使用率の削減に効果がある。実データに対するヘッダーの割合も減り、実効速度が上がる。