最近は通販サイトでデグー用品が充実していてとても助かりますね。欲しい商品がクリック一つで簡単に探せて、Amazonや楽天ではペットショップより安く手に入ることもあります。
何より自宅まで配送してもらえるので、私も毎月大量に購入しています。安いとついつい大量に買ってしまうチモシーやフードですが、これからのシーズンはちょっと待ってください!皆さんのお宅では、チモシーやフードをきちんと保管できてますか?
梅雨~夏場時期の保管方法を誤ると、とってもやっかいな「虫」が大繁殖して大変な事態になってしまいます。今回はそんな身の毛もよだつコワイ「虫」のお話をしたいと思います。
(執筆者:hanatorapooh)
夏場の対策は温度湿度だけじゃない
普段、皆さんはフードや牧草の保管はどうされていますか?
夏場対策で忘れがちなフードやチモシーなどの牧草類の保管。湿度が70%を超えるようになると、カビやダニといった害虫の繁殖が活発になります。
我が家ではペレットやチモシーは無造作にダンボールに入れ、使用後は商品袋の封を閉めるだけの保管方法をしています。エアコンの稼働で湿度や温度の管理がされているためか、そのような無造作な保管でも害虫などの発生は一度もなく、気にもしていなかったのです。
我が家の害虫事件簿
昨年の梅雨時期、事件は突然起こりました。実家を引き払った際、実家に里子に出していたデグーを引き取りました。その時、使用していたペレットやチモシーなどを一緒に譲り受けました。
ところが、しばらくして部屋の異変に気が付きます。ケージ付近に見たことのない虫が・・・それは体長1㎝程度で茶色のしま模様がある蛾のようでした。
その時は外から入ってきたのだと思い、あまり気に留めませんでした。
しかし、徐々に見る回数が増えていったのです。まさかと思い、実家から持ってきたフード類を確認すると・・・後はご想像のとおり。まさに鳥肌ものでモザイクをかけるレベルです。
実家のあった岡山は、関東よりも蒸し暑く、ジメジメとした気候です。引っ越しの際に家中の窓を全開にしていたり、一時的に荷物が外に出されていたことがありました。おそらくその際に袋の中に害虫が卵を産み、我が家で大量に繁殖してしまったのでしょう。
「しまった」と思った時には、時すでに遅し。部屋だけでなく、ケージ内でも発見するようになり、もう手の付けられない状態になっていました。
一番頭を悩ませたのは、ほとんどのフード類が害虫の被害にあったこと。我が家で使用していたペレットやチモシーはもちろんのこと、未開封の物まですでに被害にあっていたのです。
ネット通販で大量にストックしている我が家では、泣きっ面に蜂状態。危なそうな物は未開封も含めてすべて捨てましたが、気が付くと壁や天井にいて、もう気が狂いそうでした。見つけては退治し、見つけては退治してと、害虫と私の攻防は涼しくなる季節まで繰り広げられました。
悩める害虫の正体
調べてみると、私を恐怖のどん底に陥れた正体はどうやら「ノシメマダラメイガ」のようです。米びつの中に湧く虫として有名な1cmくらいの小さな蛾でした。
ノシメマダラメイガとは
5月頃から秋頃まで活発に繁殖し、一度の産卵で200個ほどの卵を産む。卵期は数日、幼虫期は45日、蛹期は約1週間、成虫寿命は2週間程度。
幼虫は米などの穀物、豆類、ドライフルーツ、乾燥植物、ペットフードなどを好み、包装容器を食い破るほどの強靭なアゴを持っている。幼虫が食い荒らした後には白い糸が至る所に見られる。
成虫になると食料を一切食べず、繁殖行動を繰り返し、一生を終える。卵、幼虫は越冬する場合もある。
デグーフードを狙う害虫たち
未開封のフードが被害にあった謎は解けました。どんなにしっかりと封がしてあっても、強靭なアゴを持つ腹ペコの幼虫にはかないません。「もしかしたら他にもペットフードを好む害虫がいるのでは?」と、少し調べてみました。
シバンムシ
死番虫と書いてシバンムシ(タバコの葉を好むタバコシバンムシもいます)。2㎜ほどの大きさで、カブトムシのメスをぐっと小さくしたような茶色い虫。ノシメマダラメイガと同じく、5月頃から秋頃まで活発に繁殖し、一度の産卵で300個ほどの卵を産む。
好物は、パン、乾麺、小麦粉、畳、本、紙、ドライフラワー、ペットフード。強靭なアゴで包装容器を食い破ったり、畳などに穴を開けてしまう。とにかく何でも食べ、よく飛び回る。放置しておくと一気に増える危険性がある。
コクゾウムシ
成虫は2~3㎜程で、赤褐色ないし黒褐色で、ゾウの鼻の様な形をしているのが特徴。好物は、米、麦、とうもろこしなどの穀物、加工食品(乾麺やマカロニなど)。卵は白くお米の色と同化しているのでなかなか発見されにくい。生息期間は約3~7カ月で、その間に約300個の卵を産みつける。
チャタテムシ
ダニよりも少し大きく、見た目は白アリのような小さな虫。湿気とカビを好み、英語で「Booklouse(本のシラミ)」と呼ばれ、古本や昆虫標本などに湧くことも有名。
好物はカビ、ホコリ、鰹節、乾麺、小麦粉、壁紙の糊など。卵から成虫になるまで約2週間。メス単体で繁殖が可能で毎日1~2個卵を産む。
害虫対策その1(基本)
やはり、ノシメマダラメイガ以外にもいましたね。もしかしたら、どこかでこれらの害虫を見たことがあるのではないでしょうか。きっと他にもまだまだフードを狙う害虫はいるはずです。
とにかく害虫をみつけたら放置せず、手早く駆除しながら、できるだけ早急に発生源を見つけることです。発生源として考えられる場所は、フード、乾燥野菜、エンムギ、チモシー、台所の米や乾物、小麦などです。
ノシメマダラメイガの場合、食害されると必ず白い糸が絡みついています。フードとフードが糸で不自然につながっているなど、証拠が残っている場合は袋ごと処分します。
先ほども述べましたが、未開封だからと言って安心できません。未開封の物も可能な限り調べましょう。また、シバンムシなどは畳に寄生して繁殖するので、和室で飼育している場合は要注意です。
発生源なるものを処分できたら、後はとにかく部屋を徹底的に掃除することです。ケージの下に落ちた食べかすやチモシーなどはこまめに片づけ、幼虫の餌にならないようにするのが重要です。
また、ケージ内の底に落ちた食べかすや余ったフードもそのままにせず、器を良く洗い、フードは常に新しいのに交換してください。定期的にケージをアルコールで拭いたり、丸洗いするのも効果的です。
害虫対策その2(薬剤)
害虫を見つけたらその都度退治していくのでは、いたちごっこです。簡単に駆除できる方法はないのでしょうか。いくつか考えられる駆除方法を書いてみます。
1.燻煙剤を使う
一番簡単な方法は、部屋を燻煙剤(バルサンなど)で一気に駆除してしまう方法です。使用するときは、デグーのケージと薬剤が直接ついて欲しくない物(エサ、砂など)も部屋の外に避難させます。燻煙剤は飛ぶ成虫、這う成虫には効果的です。
注意点
ケージを運ぶ手間がかかることや、使用後は数時間入室できません。しかも燻煙剤が届かない場所に潜り込んだ卵や幼虫には効果が無いというデメリットがあります。
2.フェロモントラップやコバエ駆除用の誘引剤を使う
フェロモントラップは、雄の性フェロモンを使って誘引し駆除します。少し値段が高いですが、ネット通販でも手に入りやすく、駆除したい害虫別に売ってるので安心です。
コバエ駆除用の誘引剤はドラッグストアやホームセンターでも簡単に手に入ります。置き型タイプと、ぶら下げタイプがあります。(子供のころ遊んでいると、天井からぶら下がった誘引剤によく髪の毛がくっついて大変でした)
注意点
これも駆除の対象は成虫のみです。卵や幼虫には効果が無いというデメリットがあります。
3.殺虫剤(スプレー)
殺虫剤は、簡単に手に入れやすく、飛ぶ虫や這う虫に即効性があります。効果は絶大ですが、生き物がいる部屋での使用は絶対にしないでください。
ゴキブリが出ると殺虫剤を噴射して退治していませんか?
床に近い場所にケージがある場合は注意してください。殺傷能力の高い薬剤が、知らず知らずに小さな生き物を苦しめることになるかもしれません。
4.防虫剤の使用
最近は色々な種類の防虫剤が売られています。シバンムシはハーブにつくこともあるそうで、ハーブのニオイで撃退するような商品は逆効果かもしれません。
シバンムシはヒバのニオイが苦手なようです。防虫剤を選ぶときは、駆除したい害虫の嫌いな成分が入っているような商品を選ぶとよいでしょう。
5.貯穀害虫防除剤:虫どろぼう
色々調べていたら、穀物屋さんが使う防除剤がありました。貯穀害虫防除剤「虫どろぼう」のすごいところは、置いておくだけで成虫と幼虫だけでなく、さなぎの脱皮抑制効果や卵の孵化抑制効果があるという点です。
値段が高いのが難点ですが、天然成分でできているので、小さなお子さんがいるご家庭やペットを飼っているご家庭など、安心して使えるのが魅力的な商品です。
ただ、商品紹介に「ネズミに対する忌避効果が高く・・・」と書かれており、デグー飼い主は使わない選択をするべきでしょう。
6.専門業者に依頼
お金との相談ですが、終わりの見えない虫との戦いに疲れたら、選択肢の一つに考えてもよいと思います。残念ですが、5以外は効果があるのは活動している成虫に対してだけで、餌などに入り込んでいる卵や幼虫は生き残ります。
根絶させるには、やはり専門業者の知識と技術が頼りです。経験しないとわかりませんが、害虫との戦いは本当に壮絶で、心身ともに疲れ果ててしまうものなのです。
害虫対策その3(保管方法等)
ここまで読むと、害虫がなんだかちょっと怖くなってきませんか?
私も害虫駆除がこんなに大変なものだとは思いもしませんでした。今年は色々勉強して、昨年の失敗を繰り返すまいと、早々から対策に取り組むことにしました。
1.フードストッカーの使用
ペレットや牧草類の保管にフードストッカーを使用することにしました。フードストッカーはフタがしっかりと密閉するものにしましょう。また、フードストッカーの置き場所も考えました。
チモシーなどの牧草は嗜好性をあげるために、多少の水分を含んでいるものが多いそうです。直射日光によりフードストッカー内の温度が上がると、チモシーに含まれる水分が蒸発し、結露ができてカビが発生する原因にもなります。こうしたことを防ぐためにも、直射日光が当たらない風通しのよい場所で保管するようにしています。
フードストッカー
気密性の高い容器で開封後の酸化などを防ぎ、虫の侵入も防ぎます。値段の割にとてもしっかりした商品が多い印象です。
フードを冷蔵庫(冷凍庫)で保管されている飼い主様へ
フードを冷蔵庫(冷凍庫)で保管⇒常温に戻す際に失敗しないように注意してください。結露によってカビが発生することもあるので、できれば冷蔵庫ではなく、冷暗所で保管することをオススメします。
2.食べきりサイズ
夏場の時期だけ、いつもよりストックの量を抑えて購入することにしました。チモシーやフードはジップロックに小分けにして入れ、シリカゲルのような除湿剤を入れて保管。本当は真空パックにする方がよいのですが、我が家にはその器具がなくて今回は断念しました。
デグーはグルメな生き物です。香りのしない(抜けた)フードやチモシーは好みません。真空パックで保存すると、品質や香りがより長持ちするので、器具をお持ちの方は真空にされた方がよいでしょう。
3.こまめな掃除
デグーは臭わないので、これまでは汚れてきたら掃除するという感じでした。でも、実はこの放置された食べこぼしが害虫の繁殖の原因となります。成虫は幼虫がエサに困らないような場所に卵を産みつけるそうです。
年中エサがあるケージ周りは、格好の産卵場所だといえます。夏場はこまめにケージ内外の掃除(除菌)をして、害虫を寄せ付けない飼い主の努力が必要です。
意外なところから害虫の発生が!
室温や湿度、保管場所にも気を付け、さあ、これでもう安心!・・・ではありません。外からの侵入ばかりでなく、実は購入したチモシーなど、未開封の袋の中にもすでに害虫が潜んでいることもあるのです。
しかし、虫の発生は皮肉にも無農薬や低農薬の証拠であるとも言えます。すべての無農薬のチモシーに虫が発生するわけではなく、温度や湿度の条件が重なったときに発生するようです。
もし袋の中に虫を発見したら、天気のよい日にしっかりはたいて日干しましょう。購入したら、あらかじめ虫対策に天日干しするのもよいかもしれません。
もし、デグーが害虫を食べてしまったら‥‥
今のところ、人間や動物が誤って口にしても害があるわけではないそうです。(あまり気持ちのよいものではないですが)
ただ、農作物に影響する害虫などの研究をしている「農研機構」のサイトには、ノシメマダラメイガの幼虫が哺乳類などの(鳥やネコ)体から、生きた状態で見つかったという文献を紹介していました。
これはかなり稀なケースだそうですが、想像するだけでゾクッとしますね。気になる方は、のぞいてみてください。
(参考:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)
害虫対策のまとめ
前に挙げた害虫は、人や動物を噛んだり刺したりしませんが、害虫に侵された食物を口にして、アレルギーを引き起こす例が報告されています。とくに小さいお子さんがいる家庭では、口に入るものが害虫に侵されないようにする必要があります。
害虫対策はとにかく最初が肝心です。ちょっとした工夫と努力で改善することもあります。でも、万が一害虫を見つけてもがっかりしないでください。
「次に卵が孵羽するまで数週間ある!それまでに退治すればいいんだ!」という余裕の気持ちを持つことも大事です。
この記事が、害虫に悩まされている飼い主さんの少しでもお役に立てられたら嬉しいです。そして、まだ害虫の被害にあったことがない飼い主さん、「害虫対策、備えあれば患いなし」です。どうか、飼い主の皆さんと可愛いデグーに、害虫に悩まされない日々が訪れますように。