科学
専門家が証明! ベーコンは静かに身体を蝕む“殺人鬼”だった|あなたはそれでも、食べ続けますか?
それは、私たちの健康を害さないベーコンを作る方法もあるという事実だ。製造法さえ変えれば、ベーコンの発がん性を大幅に下げられる。
このことは世間にはあまり知られておらず、WHOも言及することがない。そこに食肉業界の影響力の強さを感じ取れるのではないだろうか。食肉業界はこの40年間、大手タバコ会社も顔負けの汚い手段を使い、でっちあげやごまかしに手を染めてきたのである。
ここで肉好きの人に質問だ。あなたはベーコンをカゴに入れる際、ちらっと肉の色を見て、それが美味しそうなピンク色になっているかどうかをチェックするのではないだろうか。
Photo: Joe Raedle / Getty Images
私たち人間は食べ物を「目」で食べる。だから私たちは、その肉が美味しそうなピンク色かどうかを気にしがちなのだ。
だが、フランス人ジャーナリストのギヨーム・クドレによると、このピンク色こそ、「警戒すべき色」なのだという。クドレが2017年に上梓したノンフィクション『コショヌリー』(フランス語で「ゴミ」「ジャンクフード」の意)に、その理由が説明されている。
この本の副題は「食肉加工品はいかにして毒になったのか」である。
ベーコンやサラミ、ハムがピンク色なのは、硝酸塩や亜硝酸塩といった食品添加物が使われている印である。そして、これらの添加物こそ、なぜ「加工肉」のほうが生鮮肉にくらべて発がん性が大幅に高いのかを説明する要因だとされているのだ。
クドレに言わせると、問題なのは「加工肉」ではなく、「ニトロミート(硝酸塩や亜硝酸塩を使った加工肉)」であり、発がん性を低くおさえる製造法を採用せずに、硝酸塩や亜硝酸塩がいまだに加工肉に使われていることは「狂気以外のなにものでもない」。
塩漬け製法を拒む理由
肉を塩漬けにする最も単純な方法は、肉に塩をすり込んだり、塩水に漬けたりするものだ。だが、ハムやベーコンの製造業者は、この古臭い塩漬けの方法では、安全なハムやベーコンを作れないといっている。
クドレに言わせると、製造業者が、この製造法を拒否する本当の理由は「コスト」である。この製造法で肉を塩漬けにすると、肉がおいしくなるのに時間がかかるのだ。
ベーコンに健康リスクがあるのは、おもに二種類の添加物による。硝酸カリウム(硝石)と硝酸ナトリウムで、どちらも硝酸塩と呼ばれる物質だ。これらの添加物がサラミやベーコン、加熱ハムなどの美味しそうなピンク色をもたらす。
英国のフードライターのジェイン・グリグソンによると、硝石は、一部の地域では古代から肉を塩漬けするときに使われてきた。「本来であれば、くすんだ灰色がかった茶色の肉になるのを、美味しそうなピンク色にする」効果があるという。
20世紀前半には、肉を塩漬けする過程で硝石が亜硝酸ナトリウムに変わることが発見された。以来、塩漬け肉の生産をスピードアップさせるために、硝石のかわりに純粋な亜硝酸ナトリウムが添加されるようになった。
微量でも発がん性がある
こうした添加物は、それ自体では発がん性があるわけではない。
硝酸塩はセロリやホウレンソウなどの緑色の野菜にも含まれている物質だ。ベーコンの製造業者のなかには、この事実を嬉々として指摘する人が多い。英国のあるベーコン生産者は私に言った。
「硝酸塩はレタスにも含まれています。それなのに誰もレタスを食べてはいけないとは言いませんよね!」
だが、硝酸塩が肉の加工に使われると、通常とは異なることが起きる。硝酸塩が赤肉に含まれる成分(ヘム鉄、アミン、アミド)と相互作用し、N-ニトロソ化合物ができ、これががんの原因となるのだ。N-ニトロソ化合物のなかでも、とくに有名なのがニトロソアミンだ。