「幸せって相対的ではなくて絶対的なものだから、お金とか仕事内容じゃ決まらないでしょ」と豪語するのは、元2ちゃんねる管理人のひろゆきさん。
頭ではわかってはいても、天職が見つかれば、お金をたくさん稼げたら、違った生き方をすれば、もっと幸せになれるかもしれない──。そんな漠然とした不安な気持ちはなかなかなくなりません。
今回はひろゆきさんに「そもそも私たちはどうしたら幸せになることができるのか?」を中心に話を伺ってみました。
これからの時代は本業以外でワンチャン狙おう
サイボウズ式でひろゆきさんに取材させていただくの、実は2回目なんですよね。
ああ、あれですね。メール1本返信したら記事になっていてびっくりしましたよ。
2017年8月22日
ブラック企業で働く人が安心して辞められる仕組みを作りたい──元2ちゃんねる管理人のひろゆきさんに、どんな働き方改革をしたいか聞いてみた
いつもはフランスにいらっしゃるんですよね。
そうです。なので、先日発売された『働き方 完全無双』も、いま初めて担当者さんから受け取りました。
ひろゆき(西村博之)さん。1976年、神奈川県生まれ。中央大学卒。アメリカのアーカンソー州に留学。1999年にインターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。いろいろあって、2015年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。著書に「無敵の思考 ――誰でもトクする人になれるコスパ最強のルール21」「働き方 完全無双」(大和書房)など。
そうだったんですか。今回タイミングよく日本でお会いできてよかったです。では、さっそく本の内容についてもお伺いさせてください。
今回は「本業とは別に、個人でワンチャンを狙うことをしておいたほうがいい時代です」と書かれていました。
これは「複業」のことを指しているのかな、と思ったのですが。
趣味の場合もあるので、一概に複業だとは言えないですが、複業なり趣味なり、本業とは別の手段を持っておいた方がいいんじゃないかな、と。
たとえば20代で1億円くらい稼ごうと思ったら、本業だけがんばっても難しいですよね。
それはつまり、稼ぎたい人に対してのアドバイスでしょうか?
稼ぐことに限らないと思いますよ。
本業とは別にウェブ漫画を描いていたら、それなりのお金が入るようになる。本業よりは収入が下がるけど、好きなことをして暮らせるようになれば、そっちの方がいいって人もいるでしょうし。
お金のためだけではなく、自分が好きなことをして仕事をするため、と。
仕事って、お金をもらうことで誰かがやりたくないことをしているケースが多いわけじゃないですか。やりたくないことを仕事にしてる人もたくさんいるはずで。
そこから抜け出るには、大金をもつか、楽しい仕事を得るかの二択だと思うんです。
で、それは本業だけやっていても手に入らないから、別の手段をもつべきじゃないかな、と。
なるほど。
ただ、今の複業の状況を見ていると、本業の収入だけじゃ生活が精一杯だから、お金を稼ぐためだけみたいな印象があって。それはあんまり幸せではないですよね。
自分のやりたいこととか天職とか、そういうのってないんじゃない?
仕事の悩みでいえば、そもそも「やりたいことが見つからない」って悩んでいる人も多い気がしていて……。
うーん、別に、自分のやりたいこととか天職とか、そういうのってないと思うんですけどね。
「パン屋に向いてるって、DNAで決まってるわけないじゃないですか」
そうですか? やりたいことや自分に向いているものを仕事にする人は少なくないと思います。
となると、どうやって仕事を決めればいいのでしょう。
自分のやりたいことを探すよりは、自分が苦じゃないくらいのものを基準にすればいいんじゃないですかね。
基本的に、自分の力よりもちょっと難易度が高いものをクリアした方が達成感ありますよね。向いていないものをちょっとずつうまく乗りこなしていくことの方が、何をやっても楽しくないですか?
うーん。そうですね。たしかに「自分が成長しているな」って気持ちになります。
そう。難易度がめちゃくちゃ高い、あるいはそもそも簡単すぎる仕事は、つまり向いてないんですよ。
たとえば、幼稚園児向けの教材って、今の僕たちが解くには超簡単。幼稚園児よりも正解を導き出すには向いているけど、楽しくはないじゃないですか。
出来ることを繰り返すより、出来なかったことが出来るようになる方が嬉しいですね。
でしょう。だから今の仕事内容が難しいんだったら、いろいろと試してみながら、嫌なことも乗り越えていって、「ああ、もう学ぶものはないな」となった段階で辞めればいいですよ。
仕事を向いている・向いてないで判断すること自体がナンセンス?
では、自分で向いている、向いていないを判断すること自体がナンセンスだ、と?
う〜ん。
時が止まったかのような長考
向いているかどうかって、本人の意思とは違うところにあったりしますからね。
たとえばプログラマーって、すごいやる気があるより、イヤイヤやってる人の方が出来るヤツが多いんですよ。
それは意外です。やる気がある人の方が仕事に熱中して、いい業績を残すイメージですが。
プログラムって「自分の手をいかにかけずに、コンピューターにやらせるか」を考えるもの。基本的に仕事が嫌いな人の方が向いているんですよね。
プログラム大好きな人は、自分でアルゴリズムを考え始めちゃったり、いかに早くするかばかり検討しているうちに、結局は途中であきらめたりしちゃう。
なるほど。
だったら、すでに作られたものをちゃっとコピペして使っちゃうような人の方が、プログラマーとして向いていることが多い。
本人は天職だと思っていないけど、はたから見ていたら向いているというケースですね。
でも、それって個人の満足度とはまた違う話ですよね。
それは長期的な視点で見たら、「あ、向いてたんだな」とわかる話だと思うんです。
だからやっぱり「やっていて苦じゃないこと」くらいの基準で仕事を考えればいいと思いますよ。
高級ブランドをもったら幸せになれると思ってるのはアホ
続いて仕事とは切り離せない「お金」の話も聞かせてください。
ひろゆきさんは在学中に起業して成功していますよね。当時は「稼ぎたい」って意識がなかったと聞きましたが、本当ですか?
そうですね。起業当時は会社を作ってみたかっただけの遊び感覚だったので。今もお金がほしいとは思わないです。
ただ、支払うのはめちゃくちゃイヤ。
イヤなんですね
節約家なんですね。
そう。そういう意味ではお金に執着があるし、実際かなりケチな方ですかね。
それは昔からずっとそうなんですか?
10代の頃はお金がなかったから買い食いもしてなくて。そのまま41歳になった感じです。
「できない」からスタートしたんですね。そこから「お金がもっとあれば」とか「稼ぎたい」とは?
手に入らないものをあきらめる経験って誰しもあるじゃないですか。
お腹が空いているからって、いきなり八百屋で売っている野菜をつかんで食べたりしないですよね。フェラーリが道路を走っていても、あれは僕のものじゃないから気にならない。
でも、目の前のフェラーリを見て、欲しくなったりしません?
うーん。ちょっとわかり合えるかわからないですけど。ブランド品に憧れているのを見ると、恥ずかしいお金の使い方をしている田舎者だなって思っちゃうんですよ。
ええー。ちょっと偏見っぽいですけど。
うん、もちろん田舎者に限らないんだけど。とにかく、僕はそういうお金の使い方をしている人たちを、アホなことをしてるなって思っちゃう。
GUCCIと書いてあるカバンを持つことで、幸せになると誤解している頭の悪い人にしか、僕には見えない。
そ…そこまで! ひどくないですか……!
ものすごくお金を払ってるのに、実際はただのカバンだし、意味ないじゃないですか。
そこまで言わなくても……!
そのお金は「無駄づかい」だって意識してる?
うーん。たとえば、そのブランドのコンセプトに共感して身に付ける。これも幸せだと思うんです。
別に自己満足だったらそれでいいんですよ。好きに無駄づかいすればいいんじゃないですか?
僕はタバコを吸っていますけど、それは無駄づかいだとわかっていますからね。別にタバコが社会とか文化にとってどんな意味をもって……なんて考えてないですもん。
自分の中で「無駄づかいだ」とわかっていればいいんですね。
そうそう。自覚があれば、お金が必要になったら止めればいいだけ。
ただ、いいことだと思って金を無駄づかいしてる人って、お金が足りないときに何を削ればいいのか、正常な判断ができないでしょ。それはあとあと困っちゃいますよね。