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数千万円から1億円程度のコアルーターは、専用ハードウエアを搭載して性能を高めている。一方、ソフトウエアとしてルーター機能を実装するソフトウエアルーターは、Linuxを搭載したパソコンで動作するため安価にルーターを実現できるが、性能は高価なコアルーターよりも1桁から2桁低い。
この常識を打ち破るソフトウエアルーターが現れた。NTTコミュニケーションズが開発し、2018年6月に発表した「Kamuee」だ。200万円程度のパソコンと1枚10万円程度のネットワークカードを複数組み合わせて使えば、高価なコアルーターと同等の性能を実現できるという。
Kamueeの速さの秘密は、NTTコミュニケーションズと東京大学が共同開発した画期的なアルゴリズムと、米インテル(Intel)が開発した新技術にある。
キャッシュ内で処理が完結
従来のソフトウエアルーターの性能が低かったのは、大きく二つの課題を抱えていたからだ。「経路検索能力の低さ」と「パケット転送能力の低さ」である。ソフトウエアによる経路検索処理は、経路検索に特化したハードウエアに比べるとどうしても遅かった。また、従来のソフトウエアルーターはLinuxカーネルが他の処理の合間にパケットを転送していたため、パケットの転送の高速化に限界があった。
Kamueeでは、経路検索に「Poptrie」(ポップトライ)という新しいアルゴリズムを採用することで、検索能力を大幅に向上させている。Poptrieは、開発当時は東京大学所属で、現在はPreferred Networksに所属する浅井大史(あさいひろちか)氏が中心になって開発した。NTTコミュニケーションズはPoptrieの特許を取得している。