神奈川県内を走行中の東京発大阪行きの東海道新幹線のぞみ265号(16両編成)で9日、男がなたで乗客を襲い、3人が殺傷される事件があり、神奈川県警は10日、殺害されたのは兵庫県尼崎市の会社員梅田耕太郎さん(38)と発表した。26歳と27歳の女性が軽傷を負った。県警によると、女性の1人は梅田さんについて「止めに入ってくれた」と話している。殺人未遂容疑で現行犯逮捕された無職小島一朗容疑者(22)は「誰でもよかった」などと供述。県警は11日に殺人容疑に切り替えて送検する。

 小島容疑者は「生きてる価値がない」と家族に自殺願望を語っていた。同居していた母方の祖母(81)らによると、約半年前に「旅に出る」などと言い、愛知県岡崎市にある祖母宅を飛び出したままだった。

 中学までは同県一宮市で両親や姉らと6人暮らし。中学では野球部に所属したが、いじめが原因で不登校となり、進路などを巡り父親とけんかをして関係が悪化。家を出たという。14歳から約5年は母親が働いていた自立支援施設で暮らし、この間、定時制高校に通学。その後名古屋市の職業訓練校に入り、電気工事や溶接など各種資格を取得し、埼玉県の機械メンテナンス会社に就職した。

 だが人間関係がうまくいかず退社。約1年半前に母方の祖母が引き取り、養子にしたという。祖母は「私を気遣って外出の際も歩調を合わせてくれる優しい子。信じられない」。実家を出て以降、ほとんど小島容疑者に会っていないという父親は取材に「幼いころから、人の言うことを言葉通りにしか理解できなかった。変わった子だった」と話した。